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2008年12月

12月31日の日本の昔話 かさじぞう

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月31日の日本の昔話

かさじぞう

かさじぞう

♪音声配信

 むかしむかし、あるところに、貧乏(びんぼう)だけど心優しい、おじいさんとおばあさんがいました。
 ある年の大晦日(おおみそか)のことです。
 おじいさんとおばあさんは、二人でかさを作りました。
 それを町へ持って行って売り、お正月のおもちを買うつもりです。
「かさは五つもあるから、もちぐらい買えるだろう」
「おねがいしますね。それから、今夜は雪になりますから、気をつけて下さいよ」
 おじいさんは、五つのかさを持って出かけました。
 家を出てまもなく、雪が降ってきました。
 雪はだんだん激しくなったので、おじいさんはせっせと道を急ぎました。
 村はずれまで来ると、お地蔵さま(おじぞうさま)が六つならんで立っています。
 お地蔵さまの頭にも肩にも、雪が積もっています。
 これを見たおじいさんは、そのまま通り過ぎることが出来ませんでした。
「お地蔵さま。雪が降って寒かろうな。せめて、このかさをかぶってくだされ」
 おじいさんはお地蔵さまに、売るつもりのかさをかぶせてやりました。
 でも、お地蔵さまは六つなのに、かさは五つしかありません。
 そこでおじいさんは、自分のかさを脱いで、最後のお地蔵さまにかぶせてやりました。
 家へ帰ると、おばあさんがビックリして言いました。
「まあまあ、ずいぶん早かったですねぇ。それに、おじいさんのかさはどうしました?」
 おじいさんは、お地蔵さまのことを話してやりました。
「まあまあ、それはよいことをしましたねえ。おもちなんてなくてもいいですよ」
 おばあさんは、ニコニコして言いました。
 その夜、夜中だと言うのに、ふしぎな歌が聞こえてきました。
♪じいさんの家はどこだ。
♪かさのお礼を、届けに来たぞ。
♪じいさんの家はどこだ。
♪かさのお礼を、届けに来たぞ。
 歌声はどんどん近づいて、とうとうおじいさんの家の前まで来ると、
 ズシーン!
と、何かをおく音がして、そのまま消えてしまいました。
 おじいさんがそっと戸を開けてみると、おじいさんのあげたかさをかぶったお地蔵さまの後ろ姿が見えました。
 そして家の前には、お正月用のおもちやごちそうが、山のようにおいてありました。

おしまい

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12月30日の日本の昔話 うぶめにもらったかいりき

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12月30日の日本の昔話

うぶめにもらったかいりき

うぶめにもらったかいりき

 むかしむかし、ある北国の町に、こんなうわさが広まっていました。
「お城のおほりばたの、ふるいやなぎの木のあたりに、赤ん坊をだいた、うぶめの化け物があらわれるそうじゃ」
 うぶめというのは、赤ちゃんをうむときに、死んでしまった女の人のお化けです。
「いつも、両手(りょうて)で赤ん坊をだいているため、みだれた髪の毛をととのえることができん。そこで、通りかかった人に、『髪の毛をととのえるあいだだけ、赤ん坊をだいていてもらいたい』と、たのむんじゃ。ところが、この赤ん坊も、おそろしい化け物でな。だかれているうちに、ズンズン大きくなって、ついには人をのみこんでしまうのだと。くわばら、くわばら」
 うわさがひろまると、町の人たちは夕方から戸をしめて、はやくねるようになりました。
 そのため、お城のおほりばたは、夜になるとだれひとり通る者がありません。
 そんなあるばんのこと。
 お城の用事で、帰りのおそくなったさむらいが、はやく家にかえろうと、おほりばたを通りかかりました。
 名前を左内(さない)といいます。
 左内は体が小さいことから、
「ちびすけ左内」
と、なかまにからかわれていました。
 ところが、左内は度胸(どきょう)があり、いつも落ち着きをはらっていました。
 だから、うぶめのお化けがあらわれるというおほりばたも、平気であるいていきました。
 左内があるいていくと、
「もし、おさむらいさま」
 おほりばたの、ふるいやなぎの木の下から、白い着物姿の女が、赤ん坊をだいてあらわれました。
(これがうわさにきく、うぶめだな)
 左内はあわてず、落ち着きはらっていいました。
「なにか、わしに、ようでもあるのかな?」
「はい、髪の毛をととのえるあいだだけ、ちょっと、この子をだいていただくわけにまいりませんか」
「そんなことなら、おやすいごよう。ゆっくりと、髪をとかすがよい」
 左内は、うぶめから赤ん坊をうけとりました。
 赤ん坊は、かわいい女の子です。
 口には、おしゃぶりをくわえていました。
「なかなか、めんこい赤ん坊じゃな。よしよし、ほらほら」
 左内が赤ん坊をあやしていると、だんだん、おもたくなっていきました。
 からだもグングンと大きくなって、石のようなおもさです。
 赤ん坊のかおつきは、からだが大きくなるにつれて、おそろしくなってきました。
 いまにも、左内に食いつきそうです。
「これはいかん!」
 左内は刀をぬくと、やいばを赤ん坊にむけて、口にくわえました。
 赤ん坊はさらに大きくなりましたが、刀のやいばにじゃまされて、こんどは小さくなりました。
 そして、大きくなったり小さくなったりを、何度かくりかえしました。
 刀のやいばがなければ、赤ん坊は、ひとおもいに大きくなって、左内におそいかかったにちがいありません。
 そのうちに、うぶめが、
「ありがとうございました。おかげでこのように、髪をととのえることができました」
と、ほほえみました。
 みだれていた髪の毛が、きちんと、ととのえられています。
 うぶめは、赤ん坊をうけとると、
「おれいに、なにをさしあげましよう」
と、左内にたずねました。
「いや。べつにれいなどいらんが」
 左内がことわろうとすると、うぶめはニッコリして、
「お気づきでしょうが、わたしはこの世の者ではありません。どんな願いもかなえられます」
「そうか。では、遠慮なしに」
 左内は、少し考えてから言いました。
「わしはごらんのとおり、ちびすけ。なかまから、わらいものにされている。なにかもらえるなら、カをさずかりたいな。三十人力でも、五十人力でもよい」
 左内がたのむと、
「それならば、五十人力をあげましょう」
 うぶめはそういって、フッときえました。
 しばらくたった、ある日のこと。
 お城に、江戸のすもうとりがやってきました。
 すもうの大好きな殿さまが、よびよせたのです。
 殿さまは、けらいにいいつけて、すもうとりたちとすもうをとらせました。
 けれど、だれひとりかてません。
 あいてがすもうとりとはいえ、さむらいがコロコロとなげとばされては、なさけないかぎりです。
「だれか、かてるものはおらんのか?」
 そこで左内が、
「それがしが、やってみましょう」
と、着物をぬいだので、殿さまも、ほかのけらいたちもビックリです。
「左内ではむりむり。大けがどころか、死んでしまうぞ」
 殿さまがとめましたが、左内は、ふんどしひとつで土ひょうにあがると、一番つよいすもうとりとたたかって、
「どりゃあ!」
 頭よりも高く、すもうとりをもちあげました。
 そして、
「そりゃあ!」
 大きなすもうとりを、ドスーン! と、なげとばしたのです。
「みごと! みごと! あっぱれじゃ!」
 殿さまは大よろこびです。
「左内よ。ほうびとして、さむらい大将にしてやろうぞ」
 こうして左内は、えらいさむらいにとりたてられたということです。

おしまい

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12月29日の日本の昔話 火正月

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12月29日の日本の昔話

火正月

火正月

 むかしむかし、ある大晦日の夕暮れ、村の金持ちの屋敷に、空海(くうかい)という名の旅のお坊さんがたずねてきて、一夜の宿(やど)をたのみました。
 屋敷の主人は、お坊さんの身なりを見て、
「明日はめでたい正月だ、きたない者に貸す部屋はないわい! 出て行け!」
 金持ちの屋敷を追われたお坊さんは、今度はとなりのあばら家に声をかけました。
 すると、あばら屋にすんでいるおじいさんが言いました。
「わたしたちは貧乏(びんぼう)で、年越しの食ベ物は何もありません。あたたかい火だけがごちそうの『火正月(かしょうがつ)』でよかったら、どうぞ入ってください」
 いろりには、あたたかそうな火が燃えていました。
 お坊さんは、家にあがりこむと、
「食べ物なら、心配はいらん」
と、いって、背おっていた袋から何やら取り出して、お湯のわきたつなべの中に入れました。
 すると、グツグツグツと、香ばしい香りがします。
 なべのふたを取ると、おいしそうなぞうすいが、なべいっぱいに煮(に)えていたのです。
 その夜、おじいさんたちは、久しぶりにいい年越しができました。
 お正月の朝、お坊さんは、わらじをはきながら、
「お礼をしたいが、何か欲しい物があるかね」
と、二人に聞くと、
「何もいりませんよ。ただ、できることならむかしの十七、八に若返りたいものですね」
「おう、そうか、そうか。なら、わしがたったあと、井戸(いど)の若水(わかみず→元日の朝に初めてくむ水)をわかして、あびなさい」
 二人がお坊さんにいわれたとおりにすると、不思議なことに、おじいさんとおばあさんは、十七、八才の青年と乙女に若返ったのです。
 その話を聞いた金持ちは、遠くまでいっていたお坊さんを追いかけていって、
「お待ち下さい。こちらに、よい部屋があります。ごちそうもあります。上等のふとんもあります。ささっ、どうぞ、どうぞ」
と、むりやり屋敷に連れ込むと、お坊さんに寝る時間も与えずに、
「わしらも、若返らせてください!」
と、手を合わせました。
 お坊さんは、眠い目をこすりながら、
「みんな勝手に湯をわかして、あびろ!」
 その声を待っていたとばかりに、家中の者がわれ先にと、お風呂に入りました。
 すると、みんな若返るどころか、全身が毛だらけのサルになってしまったのです。
「ウキー!」
 サルになった屋敷のみんなは、山に走っていってしまいました。
 そこでお坊さんは、若返った二人を屋敷に呼び寄せて、
「サルたちには、この家は無用(むよう→必要ないこと)じゃ。今日からは、お前たちが住むがよい」
と、いって、また旅立っていったのです。
 その日から、二人は金持ちの屋敷で暮らすようになりましたが、困ったことに、屋敷には毎日のようにサルが入り込んできて、
「わしの家、返せ! キッ、キッ、キー!」
と、さわぐのです。
 人のよい夫婦は、サルが屋敷の元の持ち主であるだけに、気の毒やら、気持ち悪いやらで、夜もおちおちねむれませんでした。
 そんなある夜、二人の夢まくらに、あのお坊さんが現れて、こう教えてくれました。
「サルが座る庭石を、熱く焼いておきなされ」
 そして次の日。
 そうとは知らないサルが、いつものように庭石にペタンとおしりをおろすと、
「・・・ウキー! キッキー!」
 おしりをやけどして、山へ逃げていってしまいました。
 それからです、おサルのおしりが赤くなったのは。
 そして、若返った心のやさしいおじいさんとおばあさんは、大きな屋敷でだれにも気がねしないで、末長く、しあわせに暮らしたという事です。

おしまい

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12月28日の日本の昔話 豆つぶころころ

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12月28日の日本の昔話

豆つぶころころ

豆つぶころころ

 むかしむかし、あるところに、正直ではたらきもののおじいさんとおばあさんが住んでいました。
 ある日、おばあさんが家の中のそうじをしていると、豆が一つぶころげ落ち、かまどに入ってしまいました。
「やれやれ、一つぶの豆でもそまつにはできん」
 おじいさんは、そう思って、かまどの中をかきまわしました。
 すると、かまどのそこにポッカリと穴があいて、おじいさんは穴の中へ、コロコロコロと、ころげ落ちてしまいました。
「あいたた!」
 おしりをさすりながらふと見ると、そばにおじぞうさまが立っています。
「じぞうさま、じぞうさま、豆を知りませんか?」
「豆なら、わしが食ろうたよ」
「それならよかった。豆がむだにならずによかった」
 おじいさんがもどろうとしますと、おじぞうさまはいいました。
「一つぶの豆でも、おれいをせんとな。この先をいくと、赤いしょうじの家があるから、米つきを手伝え。またその先には、黒いしょうじの家があるから、天井うらにのぼって、ニワトリのまねをせい。きっといいことがあるぞ」
 おじいさんは教えられたとおりに、穴の中を歩いていきました。
 しばらくいくと、赤いしょうじの家があって、おおぜいのネズミたちが、嫁入りじたくのまっさいちゅうです。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
と、歌いながら、米をついていました。
「おめでとうさんで、米つきを手伝いましょう」
 おじいさんは心をこめて、いっしょうけんめい米をついてやりました。
 ネズミたちは大よろこびで、おじいさんに赤い着物をくれました。
 またしばらくいくと、がけの上に、黒いしょうじの家がありました。
 その家の中では、おおぜいの鬼どもが金銀をつんで、花札(はなふだ)ばくちをしていました。
 おじいさんはこわいのをガマンして、天井うらにのぼって、大声でさけびました。
「コケコッコー! 一番どりだぞー! コケコッコー! 二番どりだぞー! コケコッコー! 三番どりだぞー!」
「うわあ! 朝だ、朝だ!」
 鬼どもは、あわててにげだしてしまいました。
 あとには、金銀財宝の山がのこりました。
 おじいさんが、そのお宝を持って帰ると、おばあさんは大よろこびです。
 この話をぬすみ聞きしていたのは、となりに住む、よくばりなおじいさんとおばあさんでした。
「こりゃあ、いいことを聞いたぞ」
 よくばりなおじいさんは、ザルにいっぱい豆を入れ、となりの家へやってくると、いきなりかまどの中へ、豆をザーッとぶちまけてしまいました。
「おらもいってくるで!」
 そういうと、かまどのそこの穴の中へ飛び込みました。
「どれ。じぞうさまは、じぞうさまはと、・・・あっ、いた、いた。これ、じぞうさま、おらの豆を食うたじゃろう! いまさら返そうたってだめじゃい、おれいはどうした、おれいは!」
 えらいけんまくでどなられて、おじぞうさまはしかたなく、さっきと同じことを教えました。
 そこでおじいさんは、ドンドン進んでネズミの家につきました。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
♪ニャーという声、聞きたくないぞ。
「ははあ、ここだな。ようし、おどかして、ネズミのたからものをとってやれ」
「ニャーオ、ニャーオ!」
 ネズミたちはビックリして、米つきのきねをおじいさんに投げつけました。
「あいた、た、た。やめろ、やめろ!」
 おじいさんはなんとかにげだして、こんどは鬼どもの家へ来ました。
 ところが、鬼たちがあんまりこわかったので、ブルブルふるえながらいいました。
「一番どり~! 二番どり~! 三番どり~! ・・・あわわわ」
「なんじゃ、こいつは? さては、わしらの宝をぬすんだのは、こいつだな!」
 おこった鬼どもは、よくばりおじいさんをつかまえ、地獄(じごく)へつながる谷底へ、けとばしてしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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12月27日の日本の昔話 三郎の初夢

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12月27日の日本の昔話

三郎の初夢

三郎の初夢

 むかしむかし、あるところに、太郎、次郎、三郎という三人兄弟がいました。
 ある年の正月二日の夜、
「どんな初夢を見たか」
と、おやじさまが三人にききました。
 ところが、三郎だけはどうしても話しません。
 そしてとうとう、おこったおやじさまに、家を追い出されてしまったのです。
 お金もなく、食べ物にこまった三郎は、よその畑の物をぬすんで役人につかまり、ろう屋に入れられてしまいました。
 ところが、その国の殿さまには、心やさしいひとり娘の姫さまがいて、毎日、三郎のところにごはんを運んでくれました。
 さて、この姫さまはたいそう美しかったので、隣の国の鬼の王が、
「嫁になれ!」
と、いってきました。
 鬼の嫁なんて、とんでもありません。
 殿さまはことわりましたが、腹を立てた鬼の王は、殿さまのところへ無理難題(むりなんだい→できないこと)をいってきて、それができないなら、姫をうばっていくというのです。
 まず、最初の難題。
 はしからはしまで同じ太さの一本の木の棒(ぼう)を送ってきて、この棒のどちらのはしが根っこだったか、見分けろというのです。
 泣き顔でごはんを運んできた姫さまから、そのことを聞いた三郎は言いました。
「そんなこと、わけないさ。木という物は、先よりも根っこの方が重たいんだ。だからその棒のまん中を糸でしばってつるすと、重たい根っこの方が下にさがるのさ」
 殿さまは三郎のいったとおりにして、重たい方に印をつけて、鬼の国へ返しました。
 するとつぎは、白いウマを三頭よこして、
「歳の順を見分けろ」
と、いうのです。
 ウマは同じ毛なみ、同じ大きさ、どれが年寄りでどれが若いのか、さっぱりわかりません。
 すると三郎が言いました。
「今年の麦を食ったのが一番若く、前の年の麦を食ったのがそのつぎ、前の前の年の麦を食ったのが、一番年寄りというわけさ。ウマでも人でも、うまれて最初に食べたものの味が、一番好きだからね」
 今度も三郎は、みごとに難題をときました。
 するとつぎは、
 ズドン!
 鬼の国から、鉄の矢が飛んできました。
 お城の庭に突きささった矢を見ると、手紙が結びつけてあります。
《これをぬいて、かついでこい。さもなければ、姫をよこせ》
 力自慢の家来たちが、よってたかってぬこうとしましたが、矢はビクともしません。
 すると、三郎がいいました。
「引っぱってぬこうとするから、ぬけんのだ。まわりの土をほればいい」
 三郎のいうとおりに、矢のまわりの土をほってみると、
 スポン!
 矢は、らくらくとぬけました。
 感心した殿さまは、三郎の罪をゆるし、鬼の国へ三郎を使いにやりました。
 出かけるとき、なにを思ったのか、三郎は自分とそっくりの若者四人を連れて、その矢を鬼の国へかついでいきました。
 鬼の王は、きっと五人の中に、今まで出した難題をつぎつぎにといた、知恵者の三郎がいるにちがいないと思い、こういいました。
「まあ、今夜は遅いから、とまっていけ」
 そして夜中になると、鬼の王は五人の寝ているところへやってきました。
 ところが五人ともそっくりで、だれが三郎かわかりません。
 そこで、
「鬼の王の酒はなんの酒?」
と、きくと、寝たふりをしていた三郎が、
「人の生き血をしぼる酒」
と、答えました。
 鬼の王は、この若者が知恵者の三郎だと思ったので、三郎の髪の毛をハサミでちょん切って、目印にしました。
 ところが三郎は、鬼の王が出ていくと、さっそくほかの四人の髪の毛を同じように切って、自分とそっくりにしておいたのです。
 つぎの朝、五人の髪がそっくりなので、だれが三郎かわかりません。
 鬼の王はカンカンにおこって、大きなカマに湯をグラグラとわかすと、家来たちに五人を煮殺せといいつけました。
 ところが、三郎がいきなりカマをひっくり返したから、たまりません。
 そばにいた鬼の王は、頭から煮えたぎった湯をあびて、死んでしまったのです。
 しばらくして、三郎が四人の若者と無事に帰ってきたので、殿さまは大喜びです。
 ほうびをたくさんとらせると、三郎を姫のお婿(むこ)さんにむかえました。
 出世(しゅっせ)した三郎は、おやじさまとおっかさまを城に呼びよせ、
「これが、おらの初夢だったんだよ」
と、これまでのことを話して聞かせました。
 めでたい初夢は、人に話してはいけないといいます。
 三郎はその通りにして、しあわせをつかんだのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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きょうの誕生花 → やつで
きょうの誕生日 → 1950年 奈美悦子 (俳優)

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12月26日の日本の昔話 夢見小僧

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12月26日の日本の昔話

夢見小僧

夢見小僧

 むかしむかし、あるところに金持ちのだんながいました。
 正月の二日に、小僧たちを集めてたずねました。
「どんな初夢(はつゆめ)を見たか、ひとつ聞かせておくれ」
 そこでひとりずつ話しましたが、一番ちびの小僧だけは、ことわりました。
「あんまりいい夢だから、人には聞かせられねえ」
 むかしからいい初夢は、人に聞かせてはいけないと言われています。
「よし、じゃ、その夢を買おう。百文(→三千円ほど)、二百文。・・・えい、一両(七万円ほど)ならどうだ」
「いやです」
 小僧がことわるので、だんなはカンカンに怒って、
「えいっ、こんな強情(ごうじょう)なやつは、海に流してしまえ!」
と、どなりつけました。
「これでも食って、どこへと行くがいい!」
 小僧は、こなもちといっしょに、小舟に乗せられてしまいました。
 小舟は風吹くままに、ユラユラ流れて沖へ出ました。
 広い広い海を、どこまでも行きました。
 すると、島が見えてきました。
 島にあがると、たくさんのサルたちが小僧を見つけてやってきました。
「ウキッ、うまそうな人間だぞ」
 サルたちが歯をむき出して、押し寄せてきました。
 ビックリした小僧は、こなもちをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、サルが拾って食ベるまに、やっとのことで逃げ出しました。
 サルの島をあとにして、小舟は波のまま、風のまま、海を流れていきました。
 ズンズンいくと、また島が見えました。
 近寄ると赤鬼、青鬼、おおぜいの鬼たちが、小僧を取り囲みました。
「おう、うまそうな人間だぞ」
「頭から食おうか、足から食おうか」
 小僧は、またこなもちを投げましたが、鬼たちは見向きもせず、小僧につかみかかりました。
「おらを食うのは、ちっと待てやーい!」
 小僧は叫びました。
「そのかわり、だんなにさえ教えなかった初夢を教えてやる。すごい初夢だぞ」
「よーし」
と、鬼たちは答えました。
「そんなら、とっとと話せ」
「話してやるが、鬼どん、おまえたちは、おらになにをくれる?」
 そこで鬼たちは、りっぱな車を引いてきました。
「千里万里(せんりまんり)の車といって、わしらの宝だ。鉄棒で一つたたけば千里(四千キロ)、二つたたけば万里いくぞ。これでどうだ」
 小僧がわざとしぶい顔をして見せると、今度は二本の針を持ってきました。
「この針で刺すと、元気なやつもすぐに死んでしまう。だが、死にそうなやつを刺すと元気になる。この宝もやろう」
「よし、いいだろう」
 小僧は針を受け取ると、車にヒョイと飛び乗って、鉄棒で一打ちしました。
 車はピューンと走りだし、あとに残った鬼たちは、涙をこぼしてくやしがりました。
 車は空をひとっ飛びして、おりた所は広い田んぼです。
 小僧はも一つ、車を鉄棒で打ちました。
 すると、大きな橋の下に出ました。
 そこで車をおりて、近くの茶店に入りました。
 茶店でもちを食べていると、となりの屋敷の門から、おおぜいの人が出たり入ったりしています。
「となりじゃ、なにか変わったことでもあるのかね?」
 小僧が茶店の人にたずねると。
「へえ、なんでも、ひとり娘のおじょうさんが病気で、今にも死にそうだということですだ」
 小僧はさっそく、となりの屋敷へ行きました。
「オホン。わたしが、娘さんの病気をなおしてあげよう」
 小僧が娘さんにチクリと針を刺すと、娘さんはたちまち元気になりました。
 それを見て、家じゅう大喜びです。
「おまえさまは娘の命の恩人です。どうか、うちの息子になってくだされ」
 屋敷のだんながたのみました。
「ああ、いいよ」
 それから小僧が、毎日ごちそうを食ベて楽しく暮らしていると、川向こうの金持ちの家でも娘が病気になり、ぜひ、なおしてくれと頼んできました。
 小僧はまた、針を刺して娘さんを元気にしてやりました。
 その家でも大喜びです。
「娘の命の恩人ですだ。どうか、うちの息子になってくだされ」
と、頼みました。
「それでも、おらのからだは一つだもの。二軒の息子にゃ、なれねえ」
 すると金持ちのだんなは、二軒の家の間の川に、金の橋をかけてくれました。
 そこで小僧は、お日さまの光で虹のようにかがやく橋を渡って、1ヶ月の半分をこちら側、あとの半分を川向こうの家で過ごすことになりました。
 小僧の見た初夢とは、ふたりの娘の間にかかる虹のような金の橋を、渡る夢だったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → プロ野球誕生の日
きょうの誕生花 → せんりょう
きょうの誕生日 → 1961年 堤大二郎 (俳優)

きょうの新作昔話 → おしっこをかけられた神さま
きょうの日本昔話 → 夢見小僧
きょうの世界昔話 → 馬車で来た十二人のお客さま
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12月25日の日本の昔話 ネコと茶がまのふた

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12月25日の日本の昔話

ネコと茶がまのふた

ネコと茶がまのふた

 むかしむかし、あるところに、たいそう腕のいい猟師(りょうし)がいました。
 ある日、猟師がえものをとって山をおりてくると、子ネコが一ぴき、家のところでないていました。
「よしよし、わしの家においてやろう」
 猟師は、子ネコをかうことにしました。
 それからいく年かたったある日、猟師の家に村のなぬしさま(→身分は百姓(ひゃくしょう)だが、役人の仕事をしている人)がやってきました。
「山におそろしい化け物がでて、村の人たちが災難にあっている。ひとつ、あんたの鉄砲(てっぽう)で、化け物を退治してもらいたい」
「わかりました」
 猟師はさっそく、化け物退治につかう鉄砲の玉を、いろりばたでつくりはじめました。
 すると、それまでいねむりをしていたネコが、うす目をあけて、玉の数を数えるようすをみせました。
(はて、おかしなことをするものだ。ネコは年をとると、魔物(まもの)になるというから、用心したほうがいいな)
 猟師は、十二個の玉をつくったほかに、金のかくし玉をひとつ、ネコにきづかれないように、こっそりと、ふところにしのばせました。
 どんな猟師でも、いよいよというときのために、かくし玉を用意するのです。
 さて、次の日。
 猟師は、鉄砲を手に、山の化け物退治にでかけました。
 あちこちさがしますが、化け物はあらわれません。
 やがて日がくれて、あたりがくらくなってきました。
「今夜は、山の小屋にとまるとしよう」
 猟師が山の小屋で休んでいると、ま夜中になって、
 ミシッ、ミシッ、ミシッ。
 足音をしのばせて、ちかづいてくるものがありました。
 猟師はハッと目をさまして、鉄砲をかまえます。
 小屋のすきまからのぞくと、くらやみのなかにピカピカと、二つの目玉が光っています。
 猟師は、化け物の目と目のあいだにねらいをつけて、ひきがねをひきました。
 ズダーン!
 ところが玉は、
 カチーン!
と、はじかれてしまい、なおも目玉が光っています。
 二発目をうつと、また、
 カチーン!
 うってもうっても、玉がはじかれてしまいます。
 とうとう、十二個の玉をぜんぶ、うちつくしてしまいました。
 すると、やみのなかの目玉が、
「玉はそれだけだな。ガハハハハハハッ」
と、猟師にせまってきました。
 猟師は、化け物がゆだんして近づいたところを、金のかくし玉で、
 ズダーン!
と、うちました。
 こんどは、たしかな手ごたえがあり、化け物は、
「ギャオォーー!!」
と、さけんで、山おくへにげていきました。
 夜があけると、猟師はゆうべ、化け物をうったあたりをしらべました。
 そこには、みおぼえのある茶がまのふたがおちていて、十二個の玉がちらばっています。
「この茶がまのふたは、わしの家の物ににているが、どうしたことだろう? おや、血が」
 茶がまのふたがおちていたところからは、山おくの方へと、血がてんてんとついています。
 猟師があとをたどっていくと、その先に、大きな山ネコが死んでいました。
 その山ネコの毛のもようが、じぶんのネコににていたので、猟師がいそいで家にかえってみると、やっぱりネコがいません。
 茶がまのふたもなくなっていました。
「そうか。わしのネコが化け物だったのか。鉄砲の玉よけに、茶がまのふたをもちだして、わしを殺そうとしたのだな」
 猟師はふたたび山へもどると、山ネコのなきがらを持ち帰り、とむらってやりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → スケートの日
きょうの誕生花 → クリスマスホーリー
きょうの誕生日 → 1961年 栗原景子 (俳優)

きょうの新作昔話 → 百七十歳の九尾キツネ
きょうの日本昔話 → ネコと茶がまのふた
きょうの世界昔話 → クリスマスの鐘
きょうの日本民話 → 大蛇と戦った男
きょうのイソップ童話 → 満腹したオオカミとヒツジ
きょうの江戸小話 → まんぞく

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12月24日の日本の昔話 サルとヒキガエル

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月24日の日本の昔話

サルとヒキガエル

サルとヒキガエル

 むかしむかし、サルとヒキガエルが、山のなかであいました。
「ヒキガエルさん、もうすぐ、お正月だね。きみのところはおもちをついたの」
「ううん、まだだよ。おもちはうまいね。食べたいね」
「おもちのあるところなら、知っているよ。いっしょにいかないか?」
「うん、いくいく」
 二匹は、山をおりました。
 村の庄屋(しょうや)さんの家で、ペッタン、ペッタン、おもちをついていました。
「あれをとろうよ。ヒキガエルさん。ぼくが庄屋さんの家へ入ってまっているから、きみは、池へとびこむのだよ。ドブンとね。いいかい?」
「いいよ、わかったよ」
 ヒキガエルは、池のほうへはっていきました。
 サルは、庄屋さんの家へ入りました。
 ヒキガエルが、池へとびこみました。
 ドブン!
 大きな音がしました。
 おもちをついていた人たちが、
「なんだなんだ?」
と、おもてへとびだしました。
 家のなかは、からっぽになりました。
 サルが顔をつきだして、
「しめしめ。おもちをもらっていくよ」
 臼(うす)のまま、裏口からかかえだしました。
 ヒキガエルは、池からにげだしました。
 うんこらさ、うんこらさ。
 サルは、うすを山の上まで運び、ひとやすみしていました。
 ノソリノソリと、ヒキガエルがやってきました。
「ああこわかった。もうすこしで、つかまるところだったよ。ようやくここまでにげてきた」
「ごくろうさま。うまくいったよ、このとおり」
 サルは臼をみせると、白いおもちが、ペッタリとはりついていました。
「つきたてのおもちはうまそうだね。さあ、サルさん。二人でとったおもちだから、半分ずつわけようじゃないか」
 するとサルは、首をよこにふって、
「そんなのおもしろくないよ。きみかぼくか、どっちか一人にきめようよ」
「それなら、ぼくがもらうよ」
「だめだめ。そんなのだめ」
 サルは、うすをひっこめました。
「こうしよう、臼をここからつきおとそう。臼は下までころがっていくよ。一、二の三ではしっていって、さきにそこまでいったものがかち。かったものが、ぜんぶ食べるのさ」
「そんなのやだ。ぼくは、のっそりのっそりと、ゆっくりだもの。サルさんにはかなわないよ。ねえ、そんなこといわないで、なかよくはんぶんずつわけて食べよう」
「だめだめ。もうきまり。一、二の三」
 サルはいきなり、臼をつきとばしました。
 コロコロコロ。
 臼は、さかをころがっていきました。
 サルは、すばやくかけだしました。
 小さな木などはとびこえて、大きな木は、えだからえだへとびうつって、臼よりもさきに、ふもとへつきました。
「さあこい!」
 両手をひろげて、臼のころげてくるのをまっていました。
 コロコロコロ。
「いまだ!」
 サルは、臼にとびつきました。
「ぼくのかち。おもちは、ぼくのものだ」
 こういいながら、臼のなかをのぞいてビックリ。
 臼はからっぽでした。
「わかった、どこかへおちたんだ。ひろってこよう」
 サルは、山をのぼりました。
 とちゅうで、ヒキガエルにあいました。
「あれっ、ヒキガエルさん。・・・ああっ!」
 ヒキガエルは、大きなおもちのかたまりを、大きな口でアングリ、アングリ、食べていました。
「おや、サルさんですか」
 ヒキガエルはサルのほうをむいて、またアングリと、とてもおいしそうに食べました。
「うまいよ、サルさん。ぼくが、ここまでおりてきたら、そこの木のきりかぶに、おもちがひっかかっていたのさ。ぼくがくるのをまっていたんだね。つきたてのおもちは、やわらかくてうまいね」
 また、アングリと食べました。
 サルは、食べたくて食べたくて、しかたがありません。
「ヒキガエルさん。なかよくしようね。ぼくもすこし食べたいな」
「だめだめ。やくそくだから、ぼくひとりで食べる」
 また、アングリと食べました。
「そう。だけどね、ヒキガエルさん」
 サルは、おもちの下のほうをゆびさしました。
「そっちより、こっちのほうがうまいんだよ。こっちのほうから、食べればいいのに」
「どっちからでもいいじゃないか」
 ヒキガエルは、もう一度、アングリと食べました。
「ぼくのおもちだもの。ぼくのすきなほうから食べるのさ。きみは、そこでみておいで」
「そっちより、こっちがうまいのになあ」
 ヒキガエルが口をうごかすたびに、サルも口をモグモグさせました。
 でも、ヒキガエルはしらん顔。
 アングリ、アングリと、ひとりでおもちを食べました。
 サルも、さいしょから半分こしていれば、よかったのにね。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → クリスマスイブ
きょうの誕生花 → やどりぎ
きょうの誕生日 → 1968年 藤崎あや (歌手)

きょうの新作昔話 → カニの甲羅の毛
きょうの日本昔話 → サルとヒキガエル
きょうの世界昔話 → 3つの願い
きょうの日本民話 → 生けどられたカミナリ
きょうのイソップ童話 → 猟師とライオン
きょうの江戸小話 → とり目

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12月23日の日本の昔話 アリとあんこ

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月23日の日本の昔話

アリとあんこ

アリとあんこ

 むかしむかし、権右衛門(ごんえもん)という人がいました。
 町一番の長者(ちょうじゃ)ですが、子どもがなく、つねづね、利口(りこう)な子がいたら養子(ようし)にしたい、と考えていたのです。
 あちこちにいろいろ声をかけましたが、なかなか見つかりません。
 そんなとき、となり村のウシ飼いの家で働いている、みなし子の頭がたいそういいという評判(ひょうばん)を聞き、さっそく呼んでためしてみることにしました。
 権右衛門さんはまず、
「海の中には水が何てきあるか、数えておくれ」
「へえ、そんなら海に流れ込んどる、全部の川をせきとめてくだせえ。それから数えるだ」
「ふむ、やるな。それならば、初めは四本足で、つぎに二本足、しまいには三本足になるもんはなんじゃ?」
「そらあ、おらたち人間だべ。生まれたときは四本足でほうて、大きゅうなったら二本足。年寄りになったらつえさついて三本足になってあるくだ」
「ふむふむ、こりゃあ、評判どおりの子どもじゃわい。それじゃあ、ここに曲がりくねった穴のあいとる石がある。これにひもを通しておくれ」
 子どもは石を手にとると、穴の回りにまんじゅうのあんこをぬりつけて、庭におきました。
 こうしてアリがたかってきたら、その中の何匹かに、ほそい絹糸(きぬいと)を結びつけたのです。
 アリはやがてゾロゾロ穴に入って行って、もう一方の穴から出てきました。
 もちろん、絹糸をつけたアリもいっしょです。
 子どもはその絹糸にひもを結びつけて引っ張ると、ちゃんと、曲がりくねった穴にひもが通りました。
 権右衛門さんはすっかり感心して、この子を養子にし、本当の子ども以上にかわいがってしあわせに暮らしました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → テレホンカードの日
きょうの誕生花 → オリーブ
きょうの誕生日 → 1978年 矢田亜希子 (俳優)

きょうの新作昔話 → サル酒
きょうの日本昔話 → アリとあんこ
きょうの世界昔話 → みそさざいとクマ
きょうの日本民話 → とけてしまった雪ん子
きょうのイソップ童話 → ツグミ
きょうの江戸小話 → 貧乏浪人

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12月22日の日本の昔話 ブラブラたろう

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月22日の日本の昔話

ブラブラたろう

ブラブラたろう

 むかしむかし、ある村に、たろ助という若者がいました。
 たろ助は、とてもなまけ者で、仕事もしないで毎日プラプラ遊びくらしています。
 今日も朝からプラプラ遊んでいると、たろ助を呼ぶ声がしました。
「もしもし、たろ助どん」
「うん? だれだ?」
 声のする方を見ると、小さなつぼがころがっています。
「つぼか。こりゃあ、ええもん見つけたぞ」
と、拾い上げると、つぼの中には、ネズミぐらいの大きさの、小さな男がいるではありませんか。
「わわっ! お前は、だれだ!」
「たろ助どん、わしはお前さんのように、ブラブラ遊んでいるなまけ者が大好きでな、今日からお前さんの家でくらしたい。どうか連れていってくれ」
「そうか。なら、こいや」
 つぼを家に持って帰った、たろ助が、男をつぼから出してやると言いました。
「まあ、ゆっくりせいや。すまんが、留守番をたのむぞ」
 たろ助があっちこっち、ブラブラ遊んでから家に帰ってみると、見たこともない男が、大の字になってねています。
「おい起きろ! お前はどこのだれだ?!」
「おい、忘れたのか? つぼから出てきたわしを」
「えっ? ・・・ひえっ! なんでまた、そう大きうなった」
「実はな、お前が遊んでくれると、わしの体が大きくなるんだ。だから、これからも、よう遊んでくれや」
 ビックリしたたろ助ですが、次の日も遊びに出かけました。
 そしてタ方帰ってくると、男はまた大きくなって、頭が天井につきそうです。
 たろ助は、いつ踏みつぶされる心配で、一晩中、部屋のすみでヒヤヒヤしていました。
 そして、朝になるのを待ちかねて、たろ助は家から逃げるように飛び出すと、その日もタ方までブラブラと遊んで帰りました。
 すると、家の戸口から大木のような足がニョキニョキと出ていて、窓からは、太い手が飛び出していました。
「うひゃーっ、こりゃあ、たまげたー!」
 たろ助は、家の中に入ることができません。
「やれやれ、とんだことになっちまったぞ。明日も遊んでいると、家をつぶされてしまうな」
 たろ助は次の日、いやいや畑仕事をしました。
 夕方、家に帰ってみると、男は二回りほど、小さくなっていました。
「ははん、おらが働けば、小そうなるんだな」
 それからたろ助は、毎日毎日働きました。
 それにつれて、男はだんだん小さくなっていきます。
 とうとう、つぼから出たときのように、小さくなった男は、
「たろ助どん、ここは住みにくうなった。もう一度わしをつぼに入れて、道ばたに捨ててくれや」
「ほいよ、承知した」
 たろ助は小さい男をつぼに入れて、道ばたに捨てました。
 それからも、たろ助は毎日まじめに働いて、お金持ちになったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → シーラカンスの日
きょうの誕生花 → セントポーリア
きょうの誕生日 → 1966年 國生さゆり (俳優)

きょうの新作昔話 → 大力次郎
きょうの日本昔話 → ブラブラたろう
きょうの世界昔話 → うかれヴァイオリン
きょうの日本民話 → 娘の知恵でサル退治
きょうのイソップ童話 → シャコと人間
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12月21日の日本の昔話 かさ売りお花

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月21日の日本の昔話

かさ売りお花

かさ売りお花

 むかしむかし、人気のない道に、ようきな歌声がひびきました。
♪雨ふれ 雨ふれ。
♪雨ふりゃ 魚がよろこぶぞ。
♪雨ふれ 雨ふれ。
♪雨ふりゃ 百姓(ひゃくしょう)がよろこぶぞ。
♪雨ふれ 雨ふれ。
♪雨ふりゃ かさ屋がもうかるぞ。
 月夜の道を歌いながら歩いていくのは、かさ売り娘のお花でした。
 お花は、お父さんとお母さんのつくったかさを売って歩く、働きものの娘です。
 雨の日も風の日も、毎日売り歩いていましたが、雨のふらない日がつづくと、かさは全然売れないので、遠くの町まで売りに行きます。
 それで、家へ帰るのがおそくなったのでした。
♪雨ふれ、雨ふれ。
♪雨ふりゃ、かさ屋がもうかるぞ。
 お花にとって、かさを売り歩くことは、つらいことではありませんが、まだ小さな娘なので、まっ暗な夜道をひとりで歩くのが、とてもこわかったのです。
 だから、ようきに歌を歌うのです。
 ある日のこと、いつものように夜道を一人で歩いていると、うしろのほうでなにか物音がしました。
 お花はビックリして、うしろをふりかえりましたが、だれもいません。
 でも、お花が歩きだすと、また物音がします。
 きみがわるくなったお花は、走りだしました。
 すると、だれかが追いかけてきて、お花の手をギュッとつかんだのです。
「キャーッ、たすけてー!」
 おどろいたお花がふりかえると、そこにいたのは、おばあさんでした。
「さっき歌っていた歌、聞かせろや。雨ふれ、雨ふれって歌。おらも、雨が大すきじゃ」
 おばあさんが話しかけてきました。
 一人で心細かったお花は、すっかりうれしくなって、
♪雨ふれ、雨ふれ。
♪雨ふりゃ、かさ屋がもうかるぞ。
♪雨ふれ、雨ふれ。
♪雨ふりゃ、魚がよろこぶぞ。
 お花とおばあさんは、声をそろえて歌います。
♪雨ふりゃ、黒川よろこぶぞ。
♪雨ふれ、雨ふれ。
♪雨ふりゃ、女川もよろこぶぞ。
 お花は、こわかったこともわすれて、おばあさんとならんで歩いていました。
「おばあさん、どこまでいっしょにいけるんや?」
 お花がたずねると、おばあさんはニッコリして、
「ずっといっしょにいけるぞ。わしゃ、となり村の黒川へあそびにいくんじゃが、おまえも、いっしょにいこう。黒川も雨が大すきじゃで、おまえの歌、きっと気に入ると思うんじゃ」
「おら、おとう、おかあが待っとるで、家に帰らなきゃ」
「そりゃ、なんねえ! 黒川んとこいかなきゃだめじゃ! 家に帰っちゃなんねえぞ!」
 そういうおばあさんの手と足には、なんと、さかなのようなうろこがついているではありませんか。
 ビックリしたお花は、
「おら、家へ帰る。おら、帰るっ!」
と、むちゅうでかけだしました。
「ならん、黒川へいくんじゃ!」
 にげるお花を、おばあさんが追いかけます。
 ひっしににげるお花が、ふとふりかえると、すぐうしろにおばあさんの手がせまっていて、お花をヒョイとつまみあげました。
「わっ! たすけてっ! 家に帰りたいよ!」
「だめじゃ。おまえは黒川の主へのみやげじゃ。わしは、女川の主じゃ。わしのいうことをきかんと、食ってしまうぞ。わかったか!」
「は、は、はい。いうことをきくで、たすけてくれろ」
 おばあさんはニンマリして、ブルブルふるえているお花を地面におろしました。
 そのとき、お花は遠くの塩たき小屋のあかりに気がつきました。
 浜の塩たき小屋では、夜通し塩をたいているので、あそこまでいけば、助かるかもしれません。
 お花は、おばあさんのすきをみて、いちもくさんににげだしました。
「こら、待たんか!」
 おこったおばあさんは、ついに正体をあらわしました。
 そのすがたは、大ガッパです。
 大ガッパは、スーッと地面に消えたかと思うと、いつのまにか、お花の先まわりをして、塩たき小屋の前にあらわれました。
「たすけてっ! おらを食わねえでくれっ! おらの命よりだいじなこのかさをあげますで、食わねえでくれろ!」
「うん? かさとはなんじゃ? そんなにだいじなものなんか?」
 お花がさしだしたかさを、大ガッパはふしぎそうに見ています。
「おとうとおかあがこしらえた、だいじなかさじゃ。雨がふると、こうしてパッとひろげる」
「なるほど、『雨ふりゃかさ屋がもうかる』とは、このことか。こりゃええ。おもしろい」
 大ガッパは、かさを手にして、きげんよく歌いはじめました。
♪雨ふれ 雨ふれ。
♪雨ふりゃ 魚がよろこぶぞ。
♪雨ふれ 雨ふれ。
♪雨ふりゃ 百姓がよろこぶぞ。
♪雨ふれ 雨ふれ。
♪雨ふりゃ かさ屋がもうかるぞ。
 塩たき小屋の入り口で、塩たきのおじいさんが、そっとお花に手まねきしました。
 お花は大ガッパがかさに気をとられているすきに、小屋に逃げ込みました。
 おじいさんは、小屋の戸をしっかりとしめて、お花を塩かごの中にかくしました。
 そしてそのまわりに、まよけの塩をたっぷりとまきます。
 大ガッパが、ハッと気がついたときには、お花のすがたはもうありません。
「こらっ、にがしはしないぞ」
 すぐ追いかけた大ガッパですが、小屋の前の塩を見て足をとめました。
「し、塩じゃあ。わしに、小屋へ入るなということか。ふん、いくら塩をまいたってだめじゃ。なんともねえぞ」
 大ガッパは、頭をかべにつっこんで、小屋の中をグルリと見まわしました。
 塩をまいた土間(どま)には、おじいさんがすわっています。
「娘はどこじゃ!」
 小屋の中には、たくさんの塩かごがつみあげています。
「あれが、そうだな」
 かべのすきまから、頭だけスルリと入っていく大ガッパ。
 おじいさんの目の前をよこぎり、お花のいる塩かごにせまります。
 かごの中では、お花がブルブルとふるえていました。
 大ガッパが大きな口をパックリ開けて、いまにもかごごと飲みこもうとしたとき。
「それっ!」
 おじいさんが、たくさんのかごをしばっていたあみを引っぱりました。
 すると、つみあげておいたかごがいっせいにくずれて、
「ギャァーー! 塩がかかったっ!」
 大ガッパは苦しそうにからだをくねらせ、悲鳴をあげながら、にげてしまいました。
 それいらい、女川の主を追いはらった、塩たきのおじいさんとお花はひょうばんとなり、お花のかさは飛ぶように売れて、お花の家は大金持ちになりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 遠距離恋愛の日
きょうの誕生花 → プロテア
きょうの誕生日 → 1979年 吉川ひなの (俳優)

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きょうの日本昔話 → かさ売りお花
きょうの世界昔話 → ほらふき男爵 寒い冬の大グマ退治
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12月20日の日本の昔話 虫干し

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月20日の日本の昔話

虫干し

虫干し

 むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
 きっちょむさんは、今日はカツオブシを売り歩いています。
 だけど、一日売り歩いても全然売れません。
 そのうちお腹が空いてきましたが、ふところにはお金がありません。
「どっかで、何か食いてえが」
と、思いながらウロウロしていると、庄屋(しょうや)さんの家にやってきました。
 ふとのぞくと、おいしそうなぼたもちを作っています。
 きっちょむさんは、ゴクンとつばを飲みこんで、中へ入って行きました。
「きっちょむさん、なんの用だね!」
 また、何かされると思い、庄屋さんはつめたく言いました。
「へえいつもお世語になっとります。すみませんがが、おぼんをひとつかしてくださりませんか」
 そう言っておぼんをかり、カツオブシを山のようにもりあげました。
 庄屋さんは、きっちょむさんがみやげを持ってあいさつに来たと思い、急にあいそが良くなりました。
「おお、まあ上がって茶でも飲んで行くといい。そうじゃ、今さっき、ぼたもちを作ったところじゃ。少し食べて行かんかね」
「ありがとうございます。それじゃあ遠慮(えんりょ)なしに」
 きっちょむさんは上がりこんで、パクパクとぼたもちに口にほおばりました。
 やがて、腹がいっぱいになり、
「ごちそうになりまして。それでは、このへんで失礼します」
 そう言いながら、先ほど盛り上げたカツオブシを、また袋にもどしました。
 みやげを持ってきたと思っていた庄屋さんは、あてがはずれてガックリ。
 また、こわい顔になって、
「なんでまた、おぼんにカツオブシをあけたんじゃ!」
 するときっちょむさんは、すました顔で、
「へえ、こうして、ときどきおぼんにあけて風を通さないと、カツオブシに虫がついてしまうんで」
 そう言うと、空のおぼんを庄屋さんに返して、行ってしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 霧笛記念日
きょうの誕生花 → アイビー
きょうの誕生日 → 1969年 荻原健司 (スキー)

きょうの新作昔話 → 日切り地蔵
きょうの日本昔話 → 虫干し
きょうの世界昔話 → 心臓を持たない巨人
きょうの日本民話 → 峠の一本足
きょうのイソップ童話 → 鳥刺しと野生のハトとかわれているハト
きょうの江戸小話 → 柱という字

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12月19日の日本の昔話 どろくをかついで

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月19日の日本の昔話

どろくをかついで

どろくをかついで

 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 その一休さんが、大人になったころのお話しです。
「あけまして、おめでとうございます」
「今年もどうぞ、よろしくお願いします」
と、人びとが、あいさつをかわしているお正月の朝。
 初もうででにぎわう町通りを、きたない身なりの坊さんが一人やって来ました。
 一休さんです。
 しかしどうしたことか、長い竹ざお一本を、高だかとかついでいるのです。
 そしてその先っぽに、なにやら白いものがくっついています。
「なんだい、あれは?」
 よくよく見ると、それはどくろ(→人間の頭の骨)でした。
 人びとは気味悪いどくろを見上げて、ビックリ。
「正月そうそう、なんと悪ふざけをする坊主だ」
「一休さんは、頭でもおかしくなったのか?」
と、口ぐちにさわぎました。
 けれども一休さんは、そんな言葉を全く気にせず、すました顔で、どくろをかついであるいています。
 物好きな人たちは、一休さんのうしろから、ワイワイとついて来ました。
 やがて一休さんは、町で一番のお金持ちの金屋久衛(かなやきゅうべえ)さんの立派な家の前に立つと、耳が痛くなるほどの大声で、
「たのもう、たのもう。一休が正月のあいさつにまいりました!」
と、いいました。
 家の中から人が出て見ると、きたない身なりの一休さんが、気味の悪いどくろをつけた竹ざおをつき立てているので、腰をぬかさんばかりにおどろき、大あわてで家の主人に知らせました。
 いつもうやまっている一休さんが、わざわざあいさつにやって来たときき、主人は急いで出てきました。
「やあ、これはこれは、久衛(きゅうべえ)さん、あけましておめでとう」
「一休さん。これはどうも、ごていねいに。ことしもどうぞよろしく」
 あいさつをして、ヒョイと竹ざおの先のどくろを見たとたん、
「あっ!」
と、いったまま、まっさおになりました。
「も、もし、一休さん、これはいったいどうしたことですか? 正月そうそう、どくろを持って来るなんて、えんぎが悪いにもほどがあります!」
 怒る久衛さんに、
「わっははははははは」
 一休さんは、お腹をゆすっての大笑いです。
「まあまあ、久衛さんや、正月そうそうおどろかしてすまん。これにはわけがあるのじゃ」
「どんなわけですか?」
「うむ、そのまえに、わしがつくった歌を聞いてほしいがのう」
 一休さんは、声高らかに歌をよみ上げました。
♪正月は、めいどのたびの、一里塚
♪めでたくもあり、めでたくもなし
 一休さんの歌に、久衛さんは首をかしげました。
「はて、『めでたくもあり、めでたくもなし』とは? 一休さん、これはどういう意味でしょうか?」
「うむ。誰でも正月がくると、一つずつ年をとる。ということは、正月が来るたびに、それだけめいどへ近づく、つまり死に近づくわけだ。だから正月がきたといって、めでたがってもいられない。それで、めでたくもあり、めでたくもなしじゃよ」
「ああ、なるほど」
「どんな人でも、必ずいつかは死ぬ。そして、このようなどくろになりはてる。こういうわたしだって、あと何回正月をむかえられるかわからん。あんたもおなじじゃよ」
「はい。たしかに」
「久衛さんや、生きているうちに、たんといいことをしなされや。そうすりゃ、極楽(ごくらく→てんごく)へ行かれるからの」
「はい!」
「あんたは大金持ちだ。少しでいいから、あまっているお金は困っている人たちにあげなされ。めいどまでは、お金はもっていけんからな。はい、さいなら」
 大金持ちの久衛さんをはじめ、ほかの大勢のお金持ちが、この一休さんの教えをまもって、まずしい人びとをたすけたということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 日本初飛行の日
きょうの誕生花 → くろがねもち
きょうの誕生日 → 1973年 反町隆史 (俳優,歌手)

きょうの新作昔話 → 畳石の一ぱい水
きょうの日本昔話 → どろくをかついで
きょうの世界昔話 → 悪魔の花よめにされた娘
きょうの日本民話 → ウメの実になったお化け
きょうのイソップ童話 → おなかのすいたイヌたち
きょうの江戸小話 → お説教

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12月18日の日本の昔話 イワナの坊さま

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12月18日の日本の昔話

イワナの坊さま

イワナの坊さま

 むかしむかし、山ふかい谷川でのことです。
 その日は朝から、山ではたらく男たちがあつまってきて。
「きょうは祭りだもの、どくもみをして、川のごちそうをドッサリとるべえ」
 男たちはウキウキしながら、したくにとりかかります。
 サンショウの木のかわをはぎとってきざみ、なべでグツグツとにつめ、その煮汁に石灰と木の灰をまぜ、さらににつめて、いくつもの小さなダンゴにまるめます。
 これで魚をとる、どくダンゴのできあがりです。
 どくもみとは、このどくダンゴで魚を殺してつかまえることです。
 すっかり用意ができて、男たちは弁当をひらきました。
 祭りの日しか食べられない、ダンゴとアズキめしのごちそうです。
 ところが、ふと気がつくと、そばにひとりの坊さまが立っています。
 目のするどい、年とった坊さまです。
「おや、坊さま・・・」
「おまえたちは、このふちで、どくもみをするらしいのう。だがな、つりをするならばともかく、どくもみだけは、けっしてするなよ」
 男たちは、だまったまま、顔を見あわせました。
 どくダンゴをふちになげこむだけで、たくさんの魚がとれます。
 坊さまにいわれたからと、やめてしまうのはもったいない。
 坊さまは、さとすようにいいました。
「どくもみはのう、おまえたちにとっては、かんたんに魚がとれておもしろかろう。だがな、ふちの魚たちはぜんぶ死んで、それこそ根だやしになってしまうのじゃ。みなごろしとは罪ぶかいことじゃぞ。なにはともあれ、やめなされ」
 すると、力じまんのひげ男が、ペコリと頭をさげて、
「へえ坊さま、かんがえなおしますので、まあまあ、これでもめしあがってくだされ」
と、ダンゴとアズキめしをさしだしました。
「そうか、やめてくれるか。それはよかった。・・・では、ごちそうになろうかの」
 坊さまは、パクリパクリと、のみこむように食べると、どこへともなく、たちさりました。
「どこの坊さまかは知らんが、ああいわれてはなあ・・・」
「せっかく用意したが、やめにするか・・・」
と、男たちはいいあいました。
「いやまて。やめてはつまらん。おれひとりでも、どくもみはするぞ」
 ひげ男がいいました。
 そこでみんなもいっしょに、どくダンゴをふちになげ入れました。
 しはらくまつうちに、つぎつぎとたくさんの魚がうきあがってきて、おもしろいほどとれます。
 さいごにすがたをあらわしたのは、見たこともないような大イワナです。
「これは、ふちの主かもしれねえ」
 バシャバシャとあばれるのを、数人がかりでおさえこみました。
 つかまえたえものを村へもちかえると、女や子どもたちが、よろこんでとりかこみます。
 まず小魚をわけあってから、最後に大イワナを切りわけることになりました。
 ひげ男が、ズバリとはらを切りさくと、
「ややっ・・・、こ、これは!」
 なんと、大イワナのはらの中から、ダンゴとアズキめしがでてきたのです。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
 男たちの顔が、まっさおになりました。
「さては、あの坊さまが・・・」
「あっ! この大イワナ、死んでもまだ、ギロリと目をむいたぞ」
 こわくなった女や子どもたちが、にげだしました。
「おら、いらねえ」
「おらもえんりょする」
 男たちも、コソコソとにげました。
「だらしねえやつらじゃねえか」
 ひげ男は大イワナをひとりで家に持ち帰ると、ぜんぶ食べてしまいました。
 さて、その日からしばらくして、ひげ男の家では、ひげ男をまっさきに、つぎからつぎへと家の者が死んで、とうとう根だやしになってしまったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 国連加盟記念日
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きょうの誕生日 → 1966年 江角マキコ (俳優)

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12月17日の日本の昔話 青テングと赤テング

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12月17日の日本の昔話

青テングと赤テング

青テングと赤テング

 むかしむかし、ある山のてっぺんに、とてもなかのよい青いテングと赤いテングがすんでいました。
 青テングと赤テングは、いつも山のてっペんから、人間たちのいる下界をながめています。
 ある日、赤テングがいいました。
「なあ、青テングよ、おれたちがこの山にすんで、何年になるかな?」
「ん、そうだな。五百年になるかな」
「五百年か。こうして下界のようすを見ていると、おもしろいようにかわっていくが、おれたちは、ちっともかわらないな」
 赤テングがいうと、青テングはのんびりこたえます。
「ふむ、下界のれんちゅうは、年がら年じゅう、いそがしくけんかばかりしているからなあ」
「ああ、そうか。けんかをしてかわっていくのか」
「そうだな。ああやって、せっかくきれいな町をつくったかと思うと、けんかをはじめて、ぜんぶもやしてしまう。そしてまた、せっせと新しい町をつくっては、またけんかをする。まったく、よくいやにならずにけんかをするもんだよ」
 それを聞いていた赤テングは、手をたたいていいました。
「そうか! わかった! おれたちもけんかをしなくちゃだめなんだ」
「なんだい、とつぜん」
「おれとおまえは、五百年のあいだ、一度もけんかをしたことがない」
「なかよしなんだから、いいじゃないか」
 青テングがそういっても、赤テングはききません。
「いいや、けんかをしないというのは、進歩(しんぽ)がないんだ」
「そうかなあ・・・」
「ともかくおれは、きょうからおまえとけんかすることにきめた。いいか、しばらくはいっしょに遊ばないからな」
「まあ、なんだかよくわからないけど、そうしてみるか」
と、いうわけで、青テングと赤テングは、ひょんなことから、けんかをしてみることになりました。
 いままでいつも二人でなかよくやってきたのですが、その日から、山をはさんでべつべつにすごして、できるだけ顔を合わせないようにしました。
 そんなある日。
「ああ、一人でいるとたいくつだなあ。なにかおもしろいことないかな」
 青テングは、一人で下界をながめていました。
 すると、
「ん? なんだあれは? どうしてお城があんなにピカピカと光っているんだろう。そうだ、あそこまでちょっと鼻をのばしてみよう。鼻、のびろー、鼻、のびろー」
 そういいながら鼻をこすると、青テングの鼻は、スルスルスルと、お城のほうへのびていきました。
 さて、そのころお城では、お姫さまの侍女たちが、お姫さまの着物を虫ぼしをしているまっさいちゅうでした。
「まあ! この着物のすばらしいこと! キラキラとお日さまにかがやいて、まるで宝石のようだわ」
「でも、おめしものがあんまりたくさんで、ほすところがありませんわ。どういたしましょう」
 そこへ青テングの鼻が、スルスルとのびてきました。
「あら、ちょうどいい青竹がありました。でも、ずいぶん長いさおだこと」
 侍女たちはつぎからつぎへと、青テングの鼻に着物をほしました。
 ビックリしたのは青テングです。
「な、なんだ? やけに鼻の先が重くなってきたな。鼻をもとにもどそう。鼻よ、ちぢまれー、鼻よ、ちぢまれー」
 すると青テングの鼻は、色とりどりの着物をひっかけたまま、ちぢまっていきました。
「あれえ! おめしものが。どろぼう!」
 侍女たちは大あわてですが、どうすることもできません。
 鼻をちぢめた青テングは、自分の鼻にかかっている美しい着物を見て、またビックリ。
「なんだ、こりゃ?」
 こうして青テングは、お城に鼻をのばしたおかげで、お姫さまのきれいな着物を手に入れることができました。
 青テングはよろこんで、着物をかわるがわる着ては、遊んでおりました。
 そこへやってきたのは、赤テングです。
「なにをおどっているんだ?」
 青テングは、色とりどりの着物を見せながらいいました。
「お城に鼻をのばしたらな、こんなにきれいな着物がついてきたんだ。まだまだたくさんある、おまえのぶんも、ちゃんとむこうにとってあるぞ」
 ところが、赤テングはプイッと横をむき、
「ふん、ばかばかしい。そんなチャラチャラしたもんなんか着れるか!」
 そういって、さっさと山のむこうがわに帰ってしまいました。
 でも赤テングは、ほんとうは青テングがうらやましくてたまりません。
「いいなあ、城に鼻をのばすのか。おれもやってみよう。のびろー、鼻、のびろー、鼻」
 赤テングの鼻は、スルスルとお城ヘのびていきます。
 そのころお城では、お殿さまが、家来たちに武芸(ぶげい)のけいこをさせているところでした。
「平和なときこそ、武芸にはげむときじゃ。しっかりやれい!」
「たあっ! とうっ!」
「きえっ!」
 家来たちが、刀やヤリをふりまわしているところへ、赤テングの鼻がのびてきました。
「おや?」
「な、なんだ、この赤いものは?」
「と、とにかく切れ!」
 お殿さまの命令に、家来たちはいっせいに、その鼻に切りかかりました。
 さあ、おどろいたのは赤テングです。
「ギャアー! 痛い、痛い!」
 かわいそうに赤テングは、お城に鼻をのばしたおかげで、きれいな着物を手に入れるどころか、とんでもないめにあってしまいました。
 鼻はいたいわ、着物は手に入らないわ、なにがおきたのかさっぱりわかりません。
 赤テングがションボリ岩にすわっていると、青テングがやってきました。
「おーい、赤テング、どうした。いやにしずかにしてるな」
 青テングは、赤テングの鼻のキズを見てビックリ!
「ど、どうしたんだ、その鼻は?」
「ほっといてくれ」
「そうはいかないよ、どれ、見せてごらん。ひどいきずじゃないか。かわいそうに」
 青テングのやさしいことばに、赤テングは泣き出してしまいました。
「だいじょうぶだ、だいじょうぶだ。ケガによくきく、カッパのぬり薬をぬってやるからな。それから、きれいな着物を半分やるから、がまんしな」
と、いうわけで、赤テングもやせガマンをやめて、青テングとまた、なかよくくらすことになりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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12月16日の日本の昔話 キツネとタニシ

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12月16日の日本の昔話

キツネとタニシ

キツネとタニシ

♪音声配信

 むかしむかし、足の速いのがじまんのキツネがいました。
 あるとき、このキツネがタニシにいいました。
「ちょっと都(みやこ)まで、いってきたんじゃ」
 キツネは足のおそいタニシを、いつもバカにしています。
「都までは遠いから、足のおそいタニシなんかには、ぜったいにいけんところじゃな」
 タニシはキツネがじまんばかりしているので、ちょっとからかってやろうと思いました。
「キツネさん、そんなに足が速いのなら、わたしと都まで競走(きょうそう)しませんか?」
「ギャハハハハハハー! タニシがどうやって、あんな遠くまでいけるんじゃい」
「キツネさんにいけるなら、わたしにだっていけます。だいたいキツネさんは、わたしよりはやく歩けるのですか?」
「なに! わしのほうが速いにきまっとる!」
 はじめはバカにしていたキツネも、だんだんおこってきました。
「よーし、そんなにいうのなら、わしとどっちが早く都へつくか、競走じゃ!」
 こうして、キツネとタニシの競走がはじまりました。
「よーい、ドン!」
 キツネは、ドンドン歩きはじめました。
 ふりかえってみると、タニシはもう見えません。
「まったく、わしが勝つにきまっているのに。ほら、もう見えなくなっちまった。バカバカしい」
 キツネはバカらしくなって、ちょいとひと休みです。
 すると、タニシの声がしました。
「おや? もう疲れたのかい、キツネさん。それではお先にいきますよ」
 キツネはビックリ。
 遠くヘおいてきたと思ったタニシが、すぐそばにいるではありませんか。
「おかしい。おいつかれるはずは、ないんじゃが・・・」
 キツネはふしぎに思いながらも、また歩きはじめました。
 そのうちに、山に夕日がしずみはじめました。
 キツネはまたまた、バカバカしくなってきました。
「タニシなんかと早歩き競走したって、なんにもならんわ。わしが勝つにきまってるんだから。それに、本当のこというと、都なんかいったこともないし。・・・だいぶ遠いんじゃろな」
 キツネは立ち止まって、おしっこをしようとしました。
 すると目の前に、タニシがいます。
「キツネさん、早くしないとおくれますよ。わたしについておいで」
「そんなバカな!」
 キツネは信じられません。
 でも、タニシはそこにいます。
 キツネは気持ちわるくなって、むちゅうで走りだしました。
 本当は、タニシはキツネのしっぽにつかまって、やってきたのでした。
 そうとは知らないキツネは、負けたくないので、ひっしで走りつづけました。
 そのうちに、疲れてフラフラです。
 するとまた、タニシの声が。
「キツネさん、そんなことでは、おいこしてしまいますよ」
 おどろいたキツネは、また、むちゅうで走りつづけました。
 そして、都への道しるべまでくると、とうとうへたりこんで、
「やっとついた。タニシに勝ったぞ! ふうっ、疲れた・・・。そうとも、キツネがタニシに負けるはずはないんじゃ」
 ホッとしたキツネの耳に、また、タニシの声が。
「キツネさん!」
 キツネはキョロキョロと、あたりを見まわしました。
「ここですよ、キツネさん」
 タニシが、都への道しるべの上にいます。
「おそいな。いまついたところかい? わたしはとっくについて、都見物をすませた後ですよ」
「そ、そんなばかな・・・」
 それからというもの、キツネは足が速いことをじまんしなくなったそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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12月15日の日本の昔話 うり子姫

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12月15日の日本の昔話

うり子姫

うり子姫

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
 ある日、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯にいきました。
 おばあさんが、いつものように川で洗濯をしていますと、向こうから、ドンブラコ、ドンブラコと、大きなうりが流れてきます。
「おやおや、なんて大きなうりだろう。うちへ持って帰って、おじいさんと二人で食ベましょう」
と、うりをひろいあげて、うちへ持って帰りました。
「これは大きなうりだ。よし、わしが切ってやろう」
 おじいさんが、ほうちょうで切ろうとすると、うりはパカッと、ひとりでにわれて、中からかわいらしい女の子が飛び出してきました。
「おや?」
「まあ!」
 子どものいないおじいさんとおばあさんは、大喜びです。
 うりの中から生まれたので、名まえも、うり子姫と名づけて、たいそうかわいがって育てました。
 うり子姫は、ますますかわいらしく、けしの花のような美しい娘になりました。
 その美しさに、お城のお殿さまが、お嫁にほしいといってくるほどです。
 うり子姫は、機(はた)をおるのがとても上手で、毎日毎日、楽しそうに機おりをしながら、おじいさんとおばあさんが帰るのを待っているのでした。
 ある日のこと、うり子姫がいつものように、ひとりで機をおっていると、
「もしもし、かわいいうり子姫や、この戸をあけておくれ。おまえの上手な機おりを見せてほしいのさ」
と、やさしそうな声で、戸をたたく者があります。
 けれども、うり子姫はいいました。
「いいえ、いけません。もしかすると、あまのじゃくという悪者がくるかもしれないから、だれがきても、けっして戸をあけてはいけないと、おじいさんにいわれているのです」
「おやおや、あまのじゃくが、こんなやさしい声を出すものかね。ほんの少しあけておくれ。指が入るだけでいいからさ」
 それでうり子姫は、
「それなら、指が入るだけ」
と、ほんの少し戸をあけました。
「おやまあ、もう少しおまけしておくれな、ね。この手が入るだけでいいからさ」
「それなら、手が入るだけ」
と、うり子姫は、また少し戸をあけました。
「おやまあ、もう少しおまけしておくれな、ね。この頭が入るだけでいいからさ」
「それなら、頭が入るだけ」
 とうとう、戸のすきまから頭をつき出したあまのじゃくは、スルリと家の中へ入ってしまいました。
「けっけけけ。バカな娘だ。おじいさんとの約束をやぶって、おれさまを家にいれるなんて」
 あまのじゃくは、うり子姫に飛びかかって着物をはぎ取ると、うり子姫を裏山のカキの木にしばりつけてしまいました。
 それからあまのじゃくは、うり子姫の着物を着て、うり子姫に化けて機おりをはじめます。
 まもなく、
「うり子姫や、さびしかったろう」
と、おじいさんとおばあさんが帰ってきました。
 あまのじゃくは、知らん顔で、
「ええ、ええ、さびしかったわ」
と、やさしいつくり声で答えました。
 そのとき、にわかに家の前がさわがしくなりました。
 うり子姫をお嫁にもらいに、お殿さまのカゴがむかえにきたのです。
 なにも知らないおじいさんとおばあさんは、たいそう喜んで、あまのじゃくをカゴに乗せました。
 カゴの行列は、裏山を登っていきました。
 すると、カキの木のてっペんで、カラスが鳴きだしました。
♪カー、カー、カー、カー、かわいそう。
♪うり子姫は、木の上で。
♪おカゴの中は、あまのじゃく。
「おやっ?」
と、みんなは、うり子姫のしばりつけられているカキの木を見あげました。
「まずい、逃げよう」
 うり子姫に化けたあまのじゃくは、すぐに逃げようとしましたが、お殿さまの家来につかまって、首を切られてしまいました。
 こうして本当のうり子姫は、カゴに乗ってお城へ行き、お殿さまのお嫁さんになったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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きょうの誕生日 → 1964年 高橋克典 (歌手)

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12月14日の日本の昔話 ネコとネズミ

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12月14日の日本の昔話

ネコとネズミ

ネコとネズミ

♪音声配信

むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
 ある日のこと、おじいさんが山の畑で草むしりをしていると、草むらに一匹の子ネコがいました。
「おおっ、可哀想に。腹を空かせとるようじゃな。どれ、一緒に家に帰ろうな」
 山で拾った子ネコを、おじいさんとおばあさんは、まるで自分の子どものように大事に育てました。
 ある日の事、納屋(なや→物置)の中で、何やら変な音がするのに気がついたネコが、納屋へ入っていきました。
♪それやれ、みがけやみがけ、ネズミのお宝。
♪つゆのしっけをふきとばせ。
♪それやれ、みがけやみがけ、ネズミのお宝。
♪みがいてみがいて、ピッカピカ。
 納屋の床にある小さな穴の中から、ネズミたちの歌う声が聞こえてきます。
 次の日も、ネコは納屋に入ってみました。
 すると、キョロキョロとまわりを見まわしているネズミを見つけました。
 ネズミは袋からこぼれた豆を、拾おうとしています。
 そのとたん、ネコはネズミに飛びかかっていきました。
「ひゃ~っ!」
 おどろいたネズミは、いまにも泣きそうな声でいいました。
「お願いです。どうかわたしを見逃して下さい。わたしたちネズミは、ネズミのお宝をみがかなくてはなりません。これは大変な仕事なのです。疲れがたまったのか、お母さんが病気で倒れてしまったのです。それで、お母さんに栄養をつけさせようと、豆を探しに出てきたところです。お母さんが元気になったら、わたしはあなたに食べられに出てきます。それまでどうか、待ってください」
「・・・・・・」
 ネコはネズミを、はなしてやりました。
「ありがとうございます。約束は必ず守りますから」
 子ネズミが穴の中へ帰ってしばらくすると、ネズミたちの前に豆がバラバラと落ちてきました。
 子ネズミが驚いて顔をあげてみると、なんとネコが、一粒一粒、豆を穴から落としているのです。
 子ネズミは豆をお母さんにわたすと、ネコの前に出ていいました。
「ネコさん、ありがとう。これでお母さんも元気になることでしょう。さあ、約束通り、わたしを食べて下さい」
 しかしネコは持っていた残りの豆を子ネズミの前に置くと、そのまま納屋から出ていきました。
「ありがとう。ネコさん」
 ネズミの目から、涙がポロリとこぼれました。
 それから何日かたった、ある日のこと。
 納屋のほうから、チャリン、チャリンという音がします。
 納屋の戸を開けたおじいさんとおばあさんは、目を丸くしました。
「これは、どうしたことじゃ?」
 なんと床の穴の中から、小判がどんどんと出てくるのです。
 そして小判のあとから子ネズミ、母ネズミ、ほかのネズミたちも出てきました。
 子ネズミが小さな頭をペコリと下げると、
「おかげさまで、お母さんの病気もすっかりよくなりました。本当にありがとうございました。それとネズミのお宝を無事にみがき終える事が出来ました。お礼に少しではございますが、この小判をお受け取りください」
と、山のように積み上げられた小判を指さしました。
「なんと、このお宝をわしらにくれるじゃと」
 それは、おじいさんとおばあさんが二人で暮らしていくには、十分すぎるほどのお宝でした。
 こうしておじいさんとおばあさんは、いつまでも何不自由なく、元気に暮らすことが出来ました。
 もちろん、ネコと一緒に、ネズミたちもとても可愛がったという事です。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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12月13日の日本の昔話 ウナギつりのおじいさん

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12月13日の日本の昔話

ウナギつりのおじいさん

ウナギつりのおじいさん

 むかしむかし、ウナギつりの好きなおじいさんがいました。
 ある日、大きなウナギをつりました。
 あまり大きくておもいので、さおがあがりません。
「ええいっ」
 ちからいっぱいあげたはずみに、ウナギは川をとびだして、ブーンと、むこうの山までとんでいきました。
「にげられたらたいへん。もったいない」
 おじいさんは、ウナギをおいかけて、むこうの山までいきました。
 いってみて、おじいさんはビックリ。
 ウナギのそばに、イノシシが一頭、たおれているではありませんか。
 イノシシは、ひるねをしていたのですが、ちょうどそこへウナギがおちたのです。
 イノシシはウナギにうたれて、あっというまに死んでしまったのでした。
「ウナギとイノシシが、一どにとれたぞ。きょうは、なんといい日だろう」
 おじいさんはよろこびましたが、イノシシがおもくて、手にはもてません。
「なわでしばってしょっていこう。だが、ここになわはない。そうだ、ふじのつるを、なわのかわりにしよう」
 おじいさんは、ふじのつるを見つけました。
「あったあった。じょうぶそうなふじのつるだ」
 両手でつかんで、ひっぱりました。
 すると、どうでしょう。
 ふじのつるに、ヤマイモのつるがからまっていて、ふじのつるといっしょに、ヤマイモがズルズルとぬけてきました。
「これはこれは、また大もうけだ」
 おじいさんがヤマイモを数えてみると、十本もありました。
「こうたくさんあっては、もちきれない。ちょうどあそこに、かやがある。わらのかわりに、あのかやで、つと(→わらなどを束ねて物を包んだもの)をつくっていれていこう」
 かやが一かぶありましたから、草切りガマでザックリと、かりとりました。
 バタバタバタ。
 かやがうごいて、鳥のはねがみえました。
 なんと、キジがかくれていたのです。
「はてさて、きょうは、まったくいい日だよ。ウナギとイノシシ。ヤマイモとキジ。ずいぶんたくさんとれたな。こんばんは、たくさんごちそうがたべられるぞ」
 ひとりごとをいいながら、キジをひっぱりだすと、かやのなかに、白いものがころがっています。
「あれあれ。キジのたまごだ」
 みんなで、十三こありました。
 おじいさんは、イノシシをせなかにせおいました。
 ウナギをみぎ手にぶらさげました。
 ひだり手には、かやのつとをもちました。
 つとのなかは、キジとヤマイモと、たまごです。
 おもいおもいと、おじいさんは家へかえりました。
 とちゅうで、かれえだをひろいました。
 ごちそうをつくるときの、たき火にしようとおもったのです。
 イノシシの上に、しょってかえりました。
 おじいさんは、村の人をよびあつめました。
「ウナギにイノシシ。キジにヤマイモ。キジのたまごもありますよ。うまい料理をつくりますから、どれでも好きなのを食べてください」
 大きななべに、イノシシの肉を入れました。
 小さななべには、ウナギを入れました。
 火をもやそうと、かれえだを持つと、クックッとなくものがいました。
「おかしいな。なんだろう」
 しらべてみると、イタチが三匹、かくれていました。
「わたしがよくはたらくので、神さまが、こんなにたくさんほうびをくださったのだ」
 おじいさんはニコニコして、村の人にごちそうをふるまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 双子の日
きょうの誕生花 → はぼたん
きょうの誕生日 → 1967年 織田裕二 (俳優)

きょうの新作昔話 → 鬼笛
きょうの日本昔話 → ウナギつりのおじいさん
きょうの世界昔話 → 6人の男が世界をあるきまわる
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きょうのイソップ童話 → オオカミとヒツジの群れとオスヒツジ
きょうの江戸小話 → 初めてのこたつ

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12月12日の日本の昔話 お花地蔵

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12月12日の日本の昔話

お花地蔵

お花地蔵

 むかしむかし、ある村に、おばあさんとまご娘が二人でくらしていました。
 まご娘の年は七つで、名はお花といいます。
 おばあさんの年は六十で、名はお春といいます。
 お花の両親は、お花が三さいのときに死んでしまったのです。
 お春ばあさんは、よその家の畑しごとをてつだったり、針しごとをしたりしてくらしていました。
「ばあちゃ、早くいくぞ」
 お花は、お春ばあさんが畑しごとをしているあいだは、子どもたち相手にあそびまわっています。
「えいっ!」
「やあっ!」
 男の子たちをやっつけてしまうのは、いつもお花でした。
 夕ぐれになると、お春ばあさんとお花は、いっしょに家へ帰りました。
「ばあちゃ、おら、きょう、吾助とごん太をやっつけただ、おもしれかっただ」
「そんなにおもしれかったか。じゃがなあ、お花。棒切れあそびなんて、おなごのするもんじゃあねえ。あれは、男の子のすることじゃあ」
「ばあちゃ、おら、おなごじゃねえ。男の子だ。みとれ」
と、いって、なんと立ったままおしっこをしたのです。
「んま、なんて子じゃ」
 やがて、秋になりました。
 村はかりいれどきで、ネコの手もかりたいほどのいそがしさです。
 お春ばあさんは、あっちの家、こっちの家のてつだいで大いそがし。
 でも、お花はあいかわらず、棒切れあそびにむちゅうでした。
「そらこい! どっからでもかかってこい!」
「なにをっ。なまいきな」
「そりゃ、このへっぴりごしめ。どうだ、まいったか!」
「いてっ、いてえよう。お花はつよすぎる」
「あははは」
 そうして夕方になると、畑しごとを終えたお春ばあさんと帰っていくのでした。
 家に帰って、お春ばあさんがお花のからだを洗ってやっていると、お花がポツンといいました。
「おら、もう、いくさごっこはやめるだ」
 お春ばあさんは、おどろきました。
「ど、どうしたんじゃ。なんでやめるんだ? おめえから棒切れとったら、なんにものこらねえでねえか」
「だって、ばあちゃ、おらに勝てる相手が、一人もいなくなっただよ。だから、おら、棒切れあそびをやめて、ばあちゃのてつだいをするだ」
「なにいってるだ。おめえにてつだってもらったって、かえってじゃまになるだけだ。・・・まったく、急になまいきなことをいいよって!」
 そういうお春ばあさんのほおに、ポロリとうれしなみだがこぼれました。
 ところがその冬、村の子たちが、はやりやまいの『百日ぜき』にかかりました。
「ゴホン、ゴホン、ゴホン」
 元気だったお花も、百日ぜきにかかりました。
 医者のいない小さな村では、どうすることもできません。
 そして、あんなに元気だったお花は、あっけなく死んでしまったのです。
 お春ばあさんは、とつぜんの悲しみに、何日も何日も、仏だんの前にすわったまま、動こうとしません。
 近所の人が、心配してやってきました。
「お春ばあさん、すこしは食べんと、からだにどくじゃで。お春ばあさんにはつらいことじゃが、お花もあの世にいけば、おっとうやおっかあにあえるだ。きっと親子水いらずでくらしているだよ」
 お春ばあさんは、やっと顔をあげて。
「ああ、そのことだけを、おら、いのってただ。・・・じゃがのう、お花はおさねえ。あんなちっちゃいお花が、おっとうとおっかあのところに、まよわずいけるかどうかとおもうと、それが心配でなんねえ」
「だいじょうぶじゃあ、お花はしっかりもんじゃで。きっといけるだよ」
「・・・そうあってくれれば、いいんじゃがのう」
 夜になって、またひとりぼっちになると、お春ばあさんは、また仏だんの前にすわりこんでしまいます。
「どこかで、ばあちゃをさがしてるんでねえか。ひとりさびしくないているんでねえか。・・・お花、ばあちゃには、どうしてやることもできねえ。お花は、まるでおじぞうさまのように、 ・・・そうじゃ!」
 お春ばあさんは、その夜から、おじぞうさまをほりはじめました。
 おさなくして死んだお花は、ごくらくへの道もわからずまよっているかもしれません。
 そこでお春ばあさんは、おじぞうさまをつくって、たくさんの村の人たちにいのってもらい、早くお花をごくらくへ送ってやろうと思ったのです。
 お春ばあさんは、くる日もくる日も、おじぞうさまをほりつづけました。
「でけた!」
 こうして、長い冬がすぎて、あたたかい春がくるころ、おじぞうさまはできあがりました。
 お花にそっくりの、小さな小さなおじぞうさまです。
「これできっと、おっとうとおっかあにあえるにちがいない」
 お春ばあさんはそう思いました。
 そして、その小さなおじぞうさまは、村を見わたせるおかの上にたてられました。
 このおじぞうさまは、やがて『お花じぞう』とよばれるようになり、子どもが百日ぜきにかかると、お花のすきだった「いり米」をおそなえしておねがいすれば、かならずよくなるといわれるようになりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 漢字の日
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きょうの誕生日 → 1960年 西村雅彦 (俳優)

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12月11日の日本の昔話 ウサギと太郎

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月11日の日本の昔話

ウサギと太郎

ウサギと太郎

 むかしむかし、ある山おくに、おじいさんと孫の太郎がすんでいました。
 二人の家のすぐそばのささ山には、人をだましてはよろこぶ、わるいウサギがすみついています。
 そのころは、ウサギのしっぽは長くて大きなものでした。
 ウサギは、この大きなしっぽをじまんにしています。
 ある日のこと、山へ出かけるおじいさんが、太郎にいいました。
「山さいって、ひとはたらきしてくるかのう。太郎、夕方にはかえってくるで、おかゆでもにて待っててくれろ」
「うん」
 太郎はおじいさんを見送ると、おかゆを作るために、なべをあらいはじめました。
 その音に、ウサギが気づき、
「おや? なべを洗っているのか、ということはめしを作るんだな。じゃあ、めしができるまでねて待つか」
 そういうと、ウサギはゴロッと横になり、グーグーひるねをはじめました。
 さて、夕方。
 おかゆもできあがり、いいにおいがしてくると、ウサギの鼻がピクピクピクッと動き、パッとはねおきて太郎の家へ走っていきました。
 そして太郎にいいました。
「太郎、なにしてるだ?」
「おかゆをにてるだよ」
「うまいんか、そのおかゆってのは」
「そりゃあ、うめえさ」
「なら、ちょびっと食わせてくれや」
「だめだめ、じいさまにおこられる」
「ちょびっとだ、ほんのちょびっとだけだ。おら、おかゆってのを食ってみてえ。ねえねえ、ねえったら」
 ウサギがあんまりしつこいので、太郎はしかたなく、
「じゃあ、ほんのちょびっとだぞ」
と、なべをウサギにわたしました。
 ウサギは、うれしそうにおかゆを食いはじめ、
「あち、あち、あちいがうまい、いやあ、うまい! じつにうまい! ああ、うまかった。さようなら」
 ウサギはなべをかえすと、あっというまに山へ帰ってしまいました。
 太郎がなべの中を見ると、なんと、からっぽです。
 こうしてウサギは、人のいい太郎をだまして、おかゆをみんな食べてしまいました。
 おじいさんが帰ってくると、太郎はなべをかかえたまま、ションボリしています。
「太郎、おめえ、なにしてるだ?」
「あっ、じいさま。ウサギにおかゆを食われちまっただ」
 これには、おじいさんもガッカリです。
 よく朝、おじいさんは、山へ出かけるまえに太郎にいいました。
「太郎、きょうは、ウサギにおかゆを食われるでねえぞ」
「うん、だいじょうぶだ」
 太郎は、きょうこそおかゆをたらふく食おうと、はりきって作りはじめました。
 そしてタ方。
「ウサギがきたって、もうぜったいにやんねえぞ!」
 ところがまた、ウサギがきました。
「あっ、おめえのおかげで、きのうはひどいめにあったぞ。とっとと帰れ!」
 するとウサギは、まじめな顔をしていいました。
「そんなこといってる場合じゃないぞ。おまえのじいさまがな、山でたおれておったど」
「えっ! ほんとうか? そりゃあたいへんだ!」
 太郎はビックリして、なにもかもほうりだすと、山ヘ走っていきました。
 その後ろすがたを見送りながら、ウサギはニンマリ。
「ウッヒヒヒヒ、うまくいったぞ」
 いっぽう、ひっしで山をのぼっていった太郎は、ちょうど山からおりてくるおじいさんと出くわしました。
「これ太郎! どこいくんじゃ?」
 元気なおじいさんを見た太郎は、ようやくだまされたことに気づきました。
「しまった!」
 おじいさんと太郎が大いそぎで家へもどると、からっぽのなべがころがっています。
 またウサギに、ごはんを食べられてしまった二人は、お腹のすいたまま、ふとんにもぐりこみました。
 そしてつぎの日、太郎が、「きょうこそは!」と、おかゆをにていると。
「太郎さん」
「またきたなっ! もうかんべんならねえ、ウサギじるにしてやる!」
 人のいい太郎も、さすがにすごいけんまくです。
 するとウサギは、
「ま、待って。きょうはあやまりにきただ。すまん、すまん」
と、しんみょうな顔をして、ペコペコと頭を下げます。
 そんなウサギを見て、こころのやさしい太郎は、
「よし、ゆるしてやるから、とっとと山へ帰れ」
「いや、それではおらの気がすまねえ。じいさまにこれをやってくれ。これは不老長寿(ふろうちょうじゅ)の薬じゃ」
 そういうと、ウサギは太郎に竹づつを手わたしました。
「ふろうちょうじゅって?」
 首をかしげる太郎に、ウサギはいいました。
「おめえ、じいさまに長生きしてほしいだろ。これは、長生きの薬なんじゃ」
「ほんとうか?」
「でも、この薬は、すぐになべでにないときかんよ」
「なべ? おまえ、うまいこといって、またおかゆを食うつもりじゃろう」
「なにいってんだ。じいさまに長生きしてほしくねえのか?」
「そりゃあ、長生きしてほしいが」
「それ見ろ、さあ、おらがなべをからっぽにしてやるで、早くその薬をにろや」
 そういうが早いか、ウサギはまたまた、おかゆをたいらげてしまいました。
 おじいさんが山から帰ってくると、太郎はうれしそうにそのことを話し、さっそく、なべでにた薬をちゃわんについで、おじいさんにさしだしました。
「さあ、じいさま。これ飲んで長生きしてくれろ」
「うん? なんだか、ヘんな色合いじゃのう。それに、においも少々」
と、首をかしげながら、一口飲んだとたん、おじいさんははき出しました。
「うえ~っ! なんじゃ、こりゃあ! ウサギのしょんべんでねえか!」
 ついに、おじいさんのかんにんぶくろの緒(お)が切れました。
「太郎! まきを切るナタもってこい! ウサギのやつ、ひどいめにあわせてくれる!」
 ウサギは、すごい顔でやってきたおじいさんを見てビックリ。
 あわててにげだしました。
「待てっ! えいっ! とうっ!」
 ナタをふりまわしながら、おじいさんはウサギをおいますが、ウサギのすばしっこいこと。
 あっちへピョンピョン、こっちへピョンピョンにげまわり、ふりむいては、おじいさんをからかいます。
「やーい、じいさま、年じゃのう。くやしかったらつかまえてみろ」
「いわせておけば、いいたいことをいいおって! これでもくらえっ!」
 おじいさんは、ウサギめがけてナタをなげつけました。
 ウサギはピョンとはねて、ナタをよけましたが、長いしっぽだけはよけそこない、スパッ! と切れてしまいました。
「・・・ああっ! いてっ! いてっー!」
 しっぽをきられたウサギは、あまりのいたさに山じゅうを何日も何日も、なきながら走りまわりました。
  そのため目は赤くなり、いつのまにか、前あしと後ろあしの長さがちがうようになってしまいました。
 それからだそうです、ウサギのしっぽが短くなったのは。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 百円玉の日
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きょうの誕生日 → 1948年 谷村新司 (ミュージシャン)

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12月10日の日本の昔話 彦一とえんまさま

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12月10日の日本の昔話

彦一とえんまさま

彦一とえんまさま

 むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
 彦一も年をとっておじいさんになり、とうとう死んでしまいました。
 死んだ彦一が、ふと気がつくと、目の前にはなんと、地獄(じごく)のえんまさまがすわっています。
(しもうた。ここは、地獄じゃ)
 だけど彦一は、少しもあわてません。
 めいどヘ旅立つとき、彦一は黒ざとうと、白ざとうと、トウガラシを入れた、三段の重箱(じゅうばこ)をもたせてもらいました。
 そのふたをあけ、黒ざとうから、さもうまそうになめはじめました。
「こら彦一、しんみょうに、おれさまのさばきをうけい。・・・やや、そこで、なにをなめているか」
 えんまさまが、大目玉でにらみつけると、彦一はニッコリ笑って、
「うまいものです。ちょっとだけさしあげましょう」
と、言うと、黒と白のさとうをだしました。
「なるほど、たしかにうまい。・・・うん? その下のだんには、なにが入っておる」
「それでは、これもなめてください」
 彦一がさしだしたのは、ほかでもない、真っ赤なトウガラシです。
 えんまさまは、チョイとなめて、すぐにベッと、はきだしました。
 だけど彦一は、なにくわぬ顔で、
「えんまさま、こりゃ、ひと口なめれば、からいもの。いちどに食べれば、うまいものです。いっペんにのみこまないといけません」
「そうか、では、はやくよこせ」
と、えんまさまは、重箱いっぱいのトウガラシを、一口でのみこんだものですから、たまりません。
 たちまち、はらの中がにえくりかえり、口や目から火をふきました。
「あちち、あちち、もうたまらん!」
 えんまさまはドタドタところげまわったあげく、赤い衣をぬぎすてて、水をかぶりにかけだしました。
 手下のオニどもも、これはたいへんと、右ヘ左へ走りまわっています。
「では、わたしはこのすきに」
 彦一は、えんまさまの赤い衣に着替えると、外へとびだしました。
 そして、なにも知らない子オニたちに、こういいました。
「わたしはえんま大王であるぞ。ちと、天国まで用事があるので、すぐにカゴを用意しろ」
「はっ、ただいま!」
 子オニたちは、急いでカゴを用意すると、彦一を天国まではこびました。
 こうして彦一は、ぶじに天国で暮らすことができました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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きょうの日本昔話 → 彦一とえんまさま
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12月9日の日本の昔話 タヌキの手習い

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12月9日の日本の昔話

タヌキの手習い

タヌキの手習い

 むかしむかし、ある寺に、源哲(げんてつ)という、和尚(おしょう)がやってきました。
 村の人たちは、新しい和尚さんにあいさつしようと、畑仕事を終えると寺にやってきました。
「こんばんは、和尚さん。・・・?」
「はて? どこにも、おらんようじゃが」
と、いいながら和尚をさがすと、なんと源哲和尚は、お堂の屋根の上で酒をのんでいました。
 これには、村の人たちはすっかりあきれて、
「ぼうずのくせに、昼間から酒をのんでござる。ちいと、かわっとるとちがうか、あの和尚」
「ちいとどころじゃねえ。あんなやつ相手にしとれんわい。けえろうや」
と、みんな帰ってしまいました。
 村の人たちからは相手にされなくなった源哲ですが、うら山にすむ子ダヌキたちには、すっかり気に入られてしまいました。
「おもしろそうな和尚さんだで、遊んでくれるかもしれん」
と、子ダヌキたちは、人間の子どもにばけて、源哲の前に出ていきました。
「和尚さん、なにしよるんじゃあ。おらたちもなかまに入れてくだせえ」
 子どもずきの源哲は、ニッコリして、
「いいとも、いいとも。それじゃあ、読み書きを教えてやろう」
と、それはいっしょうけんめいに、子ダヌキたちに教えてやりました。
 子ダヌキたちは、大よろこびです。
「和尚さん、お月さまって、どう書くんじゃ?」
「おらにも、教えてくれろ」
 そのうちに子ダヌキたちは、たいそう読み書きが上手になりました。
 源哲と子ダヌキたちが、たのしそうにしているのを見た村の子どもたちが、なかまに入れてほしいとやってきました。
「えんりょはいらんぞ。なかまは多いほどはげみになるでのう」
 こうして村の子どもたちもいっしょに、手習い(てならい→お勉強)をするようになったのです。
 そんなある日のこと、村の子どもたちは、近くの川でとった魚を源哲にさしだしました。
「おらたちにゃ、これくれえしか礼ができねえんだが、酒のさかなにしてくれろ」
 その日の帰り道、子ダヌキたちは、集まって相談しました。
「気がつかなんだのう。こんなにいろいろ教えてもろうたのに、なんのお礼もしなかったな」
「そうだとも、おんは返さんとな」
「そういえば、和尚さんは、雨の日に酒を買いにいくのが、なんぎじゃというとられたぞ」
 それからというもの、子ダヌキたちは人間の子どもにばけて、雨の日の夕ぐれにはかならず酒屋まで酒を買いにいき、源哲にとどけるようになりました。
 ところが酒屋の主人が、酒を買いにくる子どもたちのようすが、どうもおかしいと思っていました。
「きっと、あの子どもたちはタヌキにちがいない。きょうこそは、しっぽをつかんでやる」
 そうとは知らない子ダヌキたちは、いつものように、光る石で作ったお金を持って、酒を買いにきました。
 ところが酒屋の主人が、いきなり戸をバタン! としめたので、ビックリした子ダヌキたちは、しっぽをひょっこりだしてしまいました。
「やっぱり、おまえらはタヌキじゃったんだな。このいたずらダヌキめ!」
 酒屋の主人に、ひどいめにあわされてからは、子ダヌキたちは、二度と人里にすがたをあらわさなくなったそうです。
「あの子たちがタヌキじゃったとは。わしをよろこばそうとしたために、かわいそうなことをした」
 源哲はかなしみました。
 でも、このことで村の人たちも、ようやく源哲のやさしい人がらを知るようになり、親しくいききするようになったそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 漱石忌
きょうの誕生花 → げっけいじゅ
きょうの誕生日 → 1979年 上村愛子 (モーグル)

きょうの新作昔話 → 来年の事を言うと鬼が笑う
きょうの日本昔話 → タヌキの手習い
きょうの世界昔話 → トラの前をあるいたキツネ
きょうの日本民話 → 山ネコのきらいなご幣
きょうのイソップ童話 → メスのライオンとキツネ
きょうの江戸小話 → おやじをやいたせがれ

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12月8日の日本の昔話 ヘビ女房

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月8日の日本の昔話

ヘビ女房

ヘビ女房

 むかしむかし、炭焼きがしごとの男がいました。
 この男、心はやさしいのですが、よめさんももらえぬほどの貧乏(びんぼう)でした。
 ある日のこと。
 男が炭焼きがまに火を入れると、かまのうしろから大きなヘビがはいだしてきました。
「おっ、よく見かけるヘビだな。ああっ、かまに近づいちゃ、あぶないじゃないか。ほれ、あっちいけや」
 男はヘビを、外の草むらに出してやりました。
 その夜、男の家に、美しいむすめがたずねてきました。
「わたしは、あなたを山でよく見かけていました。なんでもしますから、よめさんにしてください」
 むすめをひと目見ただけで好きになった男は、よろこんでいいました。
「ごらんのとおりの貧乏で、何もないが、それでもいいなら」
 こうして、むすめは男のよめさんになったのです。
 よめさんは働き者で、くらしむきもだいぶよくなってきました。
 男はとてもしあわせでした。
 やがて、よめさんのおなかに子どもができました。
 いよいよ生まれるというとき、よめさんは男にいいました。
「いまから赤んぼうを生みますが、わたしがよぶまでは、けっして部屋をのぞかないでください」
「わかった。やくそくする」
 だけど、赤んぼうの泣き声が聞こえると、男は思わず、戸のすきまから中をのぞいてしまいました。
「あっ!」
 男はビックリしました。
 部屋いっぱいに大蛇がとぐろをまき、そのまん中に、生まれたばかりの赤んぼうをのせて、ペロペロとなめているのです。
 人間にもどったよめさんは、赤んぼうをだいて出てくると、かなしそうにいいました。
「あれほど、見るなとたのんだのに・・・。わたしは炭焼きがまの近くの池にすんでいたヘビです。あなたが好きでよめさんになりましたが、正体を見られたからには、もう、いっしょにはいられません。赤んぼうが乳をほしがったら、この玉をしゃぶらせてください。わたしは山の池にもどります」
 よめさんは赤んぼうと水晶のような玉をおくと、すがたをけしてしまいました。
 男はとほうにくれましたが、赤んぼうは母のくれた玉をしゃぶって、すくすくとそだちました。
「母親がいないのに、ふしぎなこともあるもんだ」
 玉の話はうわさになって、ついに殿さまの耳にもとどきました。
「その玉をめしあげろ!」
 玉は、殿さまにとりあげられてしまいました。
 玉をとりあげられた子どもは、お腹が空いてなきさけびます。
 男はこまりはて、子どもをだくと、よめさんのいる山の池にいって声をかけました。
「ぼうのかあちゃんよう。どうか乳をやってくれ。あの玉は殿さまにとられちまったんだ」
 すると、よめさんがあらわれ、
「この子のなくのがいちばんせつない。・・・さあ、これをしゃぶらせてくだされ」
と、いい、またひとつ玉をくれると、スーッときえました。
 玉をしゃぶった子どもは、たちまちなきやんで、元気にわらいました。
 ところが、その玉もまた、殿さまにとりあげられてしまったのです。
 お腹の空いた子どもは、またなきさけびます。
 またまたこまった男は池にいき、ことのしだいを話しました。
 すると、あらわれたよめさんは、かなしげに目をふせて、
「じつは、あの玉はわたしの目玉だったのです。ふたつともあげてしまいましたから、もう玉はないのです」
「そ、それでは、目も見えないではないか、ああ、むごいことをしてしまった」
 男は、だいた子どもといっしょになきました。
 それを見たよめさんは、
「ああ、いとしいあなたやこの子をなかせる者は、ゆるさない。いまから仕返しをします。さあはやく、もっと高いところへ行ってください。・・・この子のことは、たのみましたよ」
 そういうと、よめさんは見る間に大蛇のすがたになって、ザブン! と池にとびこみました。
 池の水が山のようにふくれあがり、まわりにあふれだします。
 男はわが子をかかえ、むちゅうで高い方へかけのぼりました。
 のぼってのぼってふりかえると、池はふきあげるように水をあふれさせ、ふもとのお城まで流れていきます。
 そして、あっという間に殿さまもろともお城をのみこみ、どこかへおし流してしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 歯ブラシの交換日
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きょうのイソップ童話 → 川と皮
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12月7日の日本の昔話 大きな運と小さな運

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12月7日の日本の昔話

大きな運と小さな運

大きな運と小さな運

 むかしむかし、ある山おくのほらあなに、ぐひんさんがすんでいました。
 ぐひんさんとは、テングのことです。
 このぐひんさんのうらないは、とてもよくあたるとひょうばんでした。
 そこで、おなじころに子どもが生まれることになった木兵衛(もくへいえい)と太郎兵衛(たろうへいえい)は、はるばるぐひんさんをたずねて、子どもの運をみてもらうことにしました。
 ぐひんさんは、大声でじゅもんをとなえると、やがて木兵衛にいいました。
「神さまのおおせられるには。木兵衛、おまえのとこには、竹三本のぶにの子が生まれる」
「竹三本のぶに?」
「そうじゃあ、人には生まれながらにそなわった運命がある。それすなわち、ぶにじゃ」
「というと、おらの子は、たったの竹三本しかそなわらんのか?」
 木兵衛はガックリです。
 ぐひんさんは、こんどは太郎兵衛にいいました。
「太郎兵衛、おまえのところには、長者(ちょうじゃ)のぶにの子が生まれる。長者になるさだめじゃあ」
「・・・長者ねえ」
 ぐひんさんのうらないを聞いて、二人は山道を帰っていきました。
 それからしばらくして、二人の家に子どもが生まれました。
「たまのような男の子じゃ」
「うちは女の子じゃ」
 どちらも元気な子で、二人は手をとりあってよろこびました。
 木兵衛の子は吾作(ごさく)、太郎兵衛の子はおかよと名づけられ、二人の子どもはスクスクと育ちました。
 ある日のこと、木兵衛と太郎兵衛が畑仕事をしているところへ、吾作とおかよがきて、
「おとう、昼めしじゃあ」
「みんなでいっしょに食べようよ」
「おうおう、そうすべえ」
 あぜ道で、四人そろってにぎりめしを食べました。
「うまいのう、ありがたいこっちゃ」
と、いう太郎兵衛に、おかよはニッコリ。
 ムシャムシャ・・・、ガチン!
木兵衛がかぶりついたにぎりめしに、小さな石が入っていました。
「なんや、石なぞ入れおって。ペっ」
 木兵衛は、めしつぶごと石をはきだしました。
「ぺっ、ペっ、ペっ」
 吾作がおなじようにまねをして、めしつぶをはきだしました。
「ああ、もったいないことをして、石だけえらんではきだしたらよかろうに。なあ、おかよ」
と、太郎兵衛とおかよは、石についているめしつぶをひろいました。
 それを見ていた木兵衛は、わらいながら、
「石だけえらぶなんて、しんきくさいわい。おらあ、しんきくさいことは大きらいじゃ。太郎兵衛どんは、よくよくの貧乏性じゃのう。アハハハハハッ」
 吾作もいっしょになって大わらい。
「おら、どうももったいないことがでけんのや。アハハハハハッ」
 やがて大きくなった吾作は町へ行き、おかよはとなり村へはたらきに出ました。
 そして何年かたって、町へ出た竹三本の吾作は、なんと竹屋にほうこうして、竹かごをあむことや、輪がえの仕事をおぼえて、村にもどってきました。
 木兵衛は、うれしそうにいいました。
「よしよし、それだけの仕事を身につけたらりっぱなもんや。そのうちにゃ、竹三本どころか、竹百本、うんにゃ、竹千本の金持ちにだってなれるわい。吾作、がんばれよ」
 こうして吾作は、村をまわって、輪がえをするようになったのです。
 でも、毎日毎日、輪がえをしても、お金は思うようにたまりません。
「ああ、輪がえというのは、しんきくさい仕事じゃあ」
 ある日のこと、となり村まで足をのばした吾作は、長者やしきの前でよびとめられました。
「輪がえ屋さん、おけの輪がえをおねがいします」
 お手伝いの娘が、こわれかけたおけを持って、やしきから出てきました。
(長者さまなら、輪がえなんぞしないで、新しいおけをこうたらええのに)
 輪がえをしながら、吾作はそう思いました。
 そこへ、長者さまの嫁さまが通りかかり、輪がえをしている吾作を見て、なつかしそうにいいました。
「あれえ、吾作さんやないか。あたし。ほら、小さいころよくいっしょに遊んだ、となりの」
 吾作は、嫁さまの顔を見てビックリ。
「ありゃあ! おかよちゃんでねえか。こ、ここの嫁さまになられたのでござりまするか?」
「ええ。あとでにぎりめしをこさえたげるよって、待っとってな」
 そういって、やしきに入っていくおかよを、吾作はぼうぜんと見ていました。
 長者の嫁として、なに不自由なく、くらしているおかよは、吾作にも自分のしあわせをわけてあげたいと思い、にぎりめしの中に一まいずつ、小判をしのばせました。
 その小判は、おかよが何年もかかってようやくためたものでした。
 長者やしきの仕事がすんだのは、お昼をだいぶすぎたころでした。
 はらぺこの吾作は川岸へいって、おかよからもらったにぎりめしを食べることにしました。
「こりゃ、うまそうじゃ。さすが、長者さまの家のめしはちがうわい」
と、にぎりめしを手にとり、パクリ。
 力チン!
 歯にかたいものがあたりました。
「ペッ! なんや、えらい大きな石が入ったもんじゃ」
 吾作は、にぎりめしを川の中にはきだすと、二つめのにぎりめしにかじりつきました。
 カチン!
「これもや。ペッ!」
 三つめも。
 力チン!
「これもや。ペッ!」
 四つめも、五つめも。
「なんじゃ、このにぎりめしは? どれもこれもみんな石が入っとるやないか」
 さいごの一つも、やはり、力チンときました。
 これも川にはきすてようとして、吾作はふとそのにぎりめしを見ました。
「待てよ、長者の家のめしにゃ、どんな石が入っとるんじゃ? ・・・ややっ、これは!」
 にぎりめしの中から出てきたのは、なんと小判でした。
「し、しもうた。まえに入っていたのも、小判やったんじゃ」
 おかよの心をこめたおくりものは、深い川のそこにしずんでしまいました。
 その話を聞いた木兵衛は、吾作におこりました。
「なんで、はじめに力チンときたときに、たしかめなかったんや! そうすりゃ、七まいもの小判がもらえたじゃろが!」
「けど、石だけえらびだすようなしんきくさいことはきらいやろ? やっぱりおらには、運がないんや」
 木兵衛は、そのことばを聞いて、ハッとしました。
「そうか、おかよは長者の嫁になったし、やっぱりぐひんさんのいうたとおり、竹三本に生まれた者は、それだけにしかなれんということなんや」
 木兵衛がガックリしていると、どこからともなくぐひんさんがあらわれて、いいました。
「それはちがうぞ、木兵衛。おかよが長者の嫁になれたのは、こまごまとよう気がついて、物をたいせつにするよいおなごだったからじゃ。いくらええぶにを持っとっても、それをいかせん者もおる。小さなぶにしかのうても、大きな運をつかむ者もおる。 ぶにとは、努力しだいでまねきよせることができるものなのじゃ。心がけひとつじゃぞ、木兵衛」
 それからというもの、木兵衛も吾作も、ものをたいせつにするようになり、おかげで、だんだんお金もたまるようになりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → クリスマスツリーの日
きょうの誕生花 → シクラメン
きょうの誕生日 → 1954年 古舘伊知郎 (タレント)

きょうの新作昔話 → お坊さんにだまされたキツネ
きょうの日本昔話 → 大きな運と小さな運
きょうの世界昔話 → マルーシカと十二の月
きょうの日本民話 → 踊るネコ
きょうのイソップ童話 → 旅人とプラタナス
きょうの江戸小話 → かべのあな

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12月6日の日本の昔話 貧乏神

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月6日の日本の昔話

貧乏神

貧乏神

 むかしむかし、藤兵衛(ふじへいえい)という、お百姓(ひゃくしょう)がすんでいました。
 この藤兵衛どん、働いても働いてもくらしはらくにならずに、ふえるのは子どもばかりです。
 そのうち、とうとう働く気もなくなってしまいました。
 ある年の冬、藤兵衛どんの家では、子どもたちに食べさせるものが、なにもありません。
「おっかあ、はらへったよう」
「おらもだ、かゆはねえだか」
「はらへって、ねむれねえだ」
 子どもたちに口々にねだられても、藤兵衛どんにはどうすることもできません。
「みんな、よく聞いてくれ」
 藤兵衛どんは、子どもたちをあつめて、悲しそうな顔でこんなことをいいました。
「いままで苦労して、いっしょうけんめい働いてきたが、くらしはいっこうにらくにならん。この冬がこせるかどうかもわからん。そこで、おっかあとも相談したんじゃが、この土地をすててどこかよそにいってくらすことに決めたんじゃ」
「それじゃ、おっとう、夜逃げか?」
「ま、そういうことじゃな、すまねえな。いま出ていくと人目につくで、明日の朝早うに出でいこうと思っとる」
 その夜、藤兵衛一家は、なべやかまをふろしきにつつむと、まくらもとにおいてねました。
 ところが、夜中に便所にいこうとした藤兵衛は、なやでなにかゴソゴソとやっている、見知らぬ男に気がつきました。
「おまえはだれじゃ?」
「おや、まだ起きとったかね? わしゃ、貧乏神(びんぼうがみ)じゃ」
「び、貧乏神じゃと?」
「そうじゃあ、長いことこの家にいさせてもろうた」
「そ、それで、こんなところでなにをなさっている?」
「この家の者が、明日の朝早くに、ここからにげだすっちゅうんで、わしもいっしょに出かけようと思ってのう。ほんで、こうしてわらじをあんどったんじゃあ」
と、貧乏神は、あみかけのわらじを見せました。
「それじゃ、この家から出ていくというのか?」
「そうじゃあ。またつぎのところでも、仲良うしてくだっせえ」
「なんじゃあ、それじゃあ、わしらについてくるちゅうだか?」
「そういうことじゃ」
 藤兵衛は、あわてて家にかけもどると、かみさんを起こしました。
「た、たいへんじゃあ。起きろ!」
 夜中にたたき起こされたおかみさん。ねむい目をこすりながら。
「どうしたね、なにをねぼけておる」
「び、貧乏神じゃ。う、うちのなやに貧乏神がおる」
「貧乏神が? それでうちは、いつになってもくらしむきがようならんかったんか」
「うん、うん。そうじゃな」
「でも、いいでねえか。おらたちはこの家を出ていくんだから。貧乏神さまだけのこってもらえば、おらたちはこれかららくになるでねえか」
「それがちがうんじゃ! わしらについてくるっちゅうだ!」
「えっー! ほんなら、おらたち夜にげしても、なんもならんでねえか」
「そういうことじゃなあ」
 二人はガッカリです。
 家を出ていく元気もなくなってしまいました。
 そして、夜が明けました。
 貧乏神はこしにわらじをつけ、出発の用意をして藤兵衛どんたちを待っていましたが、いつになっても出てきません。
「おそいなあ。もう、日ものぼるというのに、どうしたんかいなあ。たしかに、けさ、にげだすちゅうことじゃったが。もしや、あすじゃったかのう? まあ、ええわい。わらじはよけいあるほうがええわ」
 貧乏神は、またなやに入って、せっせとわらじをあみだしました。
 一日がすぎて、一日、また一日と、日がたちましたが、藤兵衛どんは、いっこうに家を出ていくようすがありません。
 貧乏神は、毎日わらじをあみつづけていましたが、そのうちに、わらじ作りがおもしろくなってきて、いつのまにやら、のきさきには、わらじがドッサリとたまってしまいました。
 こうなると、人目につきます。
 そのうち、わらじをわけてくれと、村の人がくるようになりました。
 貧乏神は気前よく、
「さあ、どれでもすきなのを持っていきなされ」
「すまんのう。ありがとよ」
「ありがたいこっちゃあ」
 村の人はつぎつぎにやってきて、大よろこびでわらじを持って帰ります。
 それを見ていた藤兵衛どんは、いいことを思いつきました。
「おお、そうじゃ。あのわらじを売ればいいんじゃ」
 さっそく藤兵衛どんは、貧乏神のあんだわらじを持って、村へ町へと売り歩きます。
「さあ、安いよ、安いよ。じょうぶなわらじだよ」
 わらじは、どこへいってもとぶように売れ、たちまちなくなってしまいました。
 だけど、くらしむきはすこしもよくなりません。
「やっぱり貧乏神がいては、貧乏からぬけだせんなあ。こうなったら、貧乏神さまに出ていってもらうだ」
 そこで藤兵衛どんは、わらじを売ったのこりの金で、ありったけの酒やごちそうを用意して、貧乏神をもてなしました。
「貧乏神さま、きょうはゆっくりやすんでくだされ。さあ、えんりょのう食べて、飲んでくだされ」
「これはこれは、たいへんなごちそうじゃなあ」
「貧乏神さまには、いつも苦労してもろうておるで」
 おかみさんも、貧乏神におしゃくをしながらいいました。
「そうじゃ、わらじをあんでくださるで、このごろはたいそうくらしもらくになったでなあ」
「さあ、きょうはいっしょにいわってくだされ」
「そうかそうか。それじゃ、よろこんでいただくとしようか」
 貧乏神はすすめられるままに、食べたり飲んだり。
「いや~、すっかりごちそうになってしもうて。だけど、こげんくらしむきがよくなっては、わしゃもう、この家にはおれん」
 貧乏神は、そういうと家から出ていきました。
 二人は顔を見合わせて、大よろこびです。
「出ていった。出ていったぞ! わしらも、これでやっとらくになれるぞ」
「よかった、よかった」
 こうして、藤兵衛どんとおかみさんは、安心してグッスリねむりました。
 ところが、いつものように夜中に便所にいった藤兵衛どんはビックリ。
 出ていったはずの貧乏神が、いるのです。
「ま、まだ、いたのか!」
 貧乏神は藤兵衛どんを見てニッコリ。
「ここが一番、すみやすいのでな」
 しつこい貧乏神に、藤兵衛どんはすっかり力をなくして、その場にへたりこんでしまいました。
 それからも貧乏神は、藤兵衛どんの家でわらじ作りにせいを出しいるということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 音の日
きょうの誕生花 → マルメロ
きょうの誕生日 → 1950年 久石譲 (作曲家)

きょうの新作昔話 → 人形のお嫁さん
きょうの日本昔話 → 貧乏神
きょうの世界昔話 → ヒナギク
きょうの日本民話 → おふろはこわい
きょうのイソップ童話 → イヌとオンドリとキツネ
きょうの江戸小話 → くすりのききめ

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12月5日の日本の昔話 ひょうたん1つでカモ十羽

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12月5日の日本の昔話

ひょうたん1つでカモ十羽

ひょうたん1つでカモ十羽

 むかしむかし、きっちょむさんと言う、とてもゆかいな人がいました。
 そろそろ秋が深まり、きっちょむさんの村にも、カモがとんでくるようになりました。
「カモを取って食いたいが、庄屋(しょうや)さんのように、鉄砲も持っていないし、どうやってカモをとろうか。・・・そうじゃ」
 きっちょむさんは、ポンと手をたたくと、ひょうたんのくびれたところになわをつけて、池にでかけました。
「おお、いるわ、いるわ。カモのやつ、なんにもしらずに、あそんでおるわ」
 きっちょむさんは、ふんどしひとつになると、ひょうたんをかかえて、池に入っていきました。
 ひょうたんのなわのとちゅうには、おもりの石がしばってあります。
 きっちょむさんはひょうたんをうかべると、水面から首だけ出して、水草のかげにかくれました。
 カモは、そんなことは知りません。
 およぎつかれたところに、ひょうたんがヒョッコリとうかんでいます。
 これはいいものがあると、カモはひょうたんにあがって、はねをつくろいはじめました。
 カモは、ゆだんしきっています。
「しめしめ」
 きっちょむさんは水草のかげから、そっと手をのばして、カモの足をギュッとつかみました。
 手づかみでいけどりです。
「はい、いっちょうあがり」
 こうしてつかまえたカモは、なわのはしに、つぎつぎとしばっていき、その数はとうとう十羽になりました。
 ひょうたんひとつで、たいりょうです。
 きっちょむさんはカモをかついで家にかえり、その晩はカモなべをつくりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → バミューダ・トライアングルの日
きょうの誕生花 → ポインセチア
きょうの誕生日 → 1969年 白石さおり (歌手)

きょうの新作昔話 → なごのわたり
きょうの日本昔話 → ひょうたん1つでカモ十羽
きょうの世界昔話 → 雪娘
きょうの日本民話 → エビとタコとフグのおどり
きょうのイソップ童話 → 鳥刺しとシャコ
きょうの江戸小話 → こたつ

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12月4日の日本の昔話 クモ女

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月4日の日本の昔話

クモ女

クモ女

 むかしむかし、たびの小間物売り(こまものうり→化粧品などを売る人)が、小さな古いお堂を見つけました。
「おおっ、今夜は、あそこをお借りしよう」
 小間物売りがお堂に入ると、中はクモの巣だらけです。
「なんと、気持ちわるい。だが、今夜は寒いし、しかたがないか」
 小間物売りは外に出て、枯れ木や木ぎれをひろってくると、いろりで、もやしはじめました。
 ようやく、からだもあたたまり、つい、ウトウトとしたときです。
 小さな手燭(てしょく→携帯用のロウソク立て)をもった女の人が入ってきました。
 ゾゾッとするくらい、美しい人です。
「すみません。るすにしまして」
「ああ、いや、こちらこそ。勝手にあがりこんで、申し訳ない」
「せっかくおいでいただいたのに、何もさしあげられません」
「いや、野宿しても、つゆでぬれて、ねられるもんではありません。ここをかしていただいて助かります」
「では、おなぐさみに、三味線(しゃみせん)などきいていただこうかしら」
 女の人は三味線をかかえてくると、
♪シャン、シャン、シャン
と、かきならしました。
 なんともいい音色で、思わずききほれていると、首すじのあたりがしめつけられるようで、息がつまりそうになりました。
 手をやると、細い糸が何本もまきついているではありませんか。
 小間物売りは、ねばつく糸を一本一本むしりとりました。
「どうかなさいましたか?」
「いえ、なんでもありません。どうかおつづけください」
 女の人は、三味線をかきならしました。
♪シャン、シャン、シャン
 するとまた、糸がしつこくからまってきて、首をしめつけてきます。
 小間物売りは、ふところから小刀をとりだすと、糸をざっくり切りました。
 女の人は、そんなことは気もつかないふうで、三味線をかきならしていました。
 目をこらして見ていると、なんと女の人の着物のすそから、細い銀色の糸がスルスルのびてくるではありませんか。
(さては、この女の正体は!)
 小問物売りはむちゅうで女の人にとびかかり、小刀で切りつけました。
「ウギャャャャーーーー!」
 女はけたたましい悲鳴をあげると、外にころがり出ました。
 小間物売りは、外に出ていくのがこわくて、ただ、ガタガタとふるえていました。
 明るくなって、小問物売りがおそるおそる外に出てみると、お堂の外には、あみがさのような大グモが死んでいたということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 破傷風血清療法の日
きょうの誕生花 → さざんか
きょうの誕生日 → 1973年 田村淳 (芸人)

きょうの新作昔話 → 白い鳥
きょうの日本昔話 → クモ女
きょうの世界昔話 → 魔法使いと若者
きょうの日本民話 → 天へとばされた男の子
きょうのイソップ童話 → 美しい鳥コンテスト
きょうの江戸小話 → おいしい目ぐすり

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12月3日の日本の昔話 人を水中に引きこむカッパ

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月3日の日本の昔話

人を水中に引きこむカッパ

人を水中に引きこむカッパ

♪音声配信

 むかしむかし、滝のあるふち(→川の深いところ)に一匹のカッパが住んでいました。
 このカッパは、頭の上の皿をどんなものにでも変えられるという、ふしぎな力を持っています。
 ふちのそばで美しい花を咲かせたり、大きな魚にして、それを人がとろうとしたとたん、腕をつかんで水中深く引っぱりこんでしまうのです。
 このカッパのために、これまで何人の人が、命を落としたかしれません。
 このふちの近くの村に、上野介(こうずのすけ)というさむらいが住んでいました。
 村でも評判の力持ちで、米俵(こめだわら)を片手で軽く持ち上げ、ぬかるみに落ちた荷物いっぱいの車でも、らくらくと引っぱりあげることができました。
 ある日のことです。
 町からの帰り道に、上野介がこのふちのそばに来ると、目の前にきれいな女のかんざしが浮いています。
 よく見ると、お城のお姫さまがさすような立派なかんざしで、村の娘の手に入るような品物ではありません。
「これは、いいものを見つけたぞ」
 上野介は思わず手をのばして、このかんざしをとろうとしました。
 そのとたん、水の中から青白い腕がのびてきて、上野介の手首をつかみます。
 上野介はビックリして手首をひっこめようとしましたが、その力の強いこと。
 いまにも水の中へ、たおれそうになりました。
 しかし、さすがは力持ちで知られた上野介です。
 ぎゃくに、もう一方の手で青白い腕をつかむと、上へ引っぱりあげようとしました。
 どっちの力も強くて、引っぱったり、引っぱられたり、なかなか勝負がつきません。
 それでも、上野介が思いきり力を入れてふんばると、一匹のカッパが姿を現しました。
(カッパのしわざであったか)
 上野介は、そのままカッパを上に引きあげると、うしろへほうり投げました。
 バコンという音がして、カッパはうしろの岩にたたきつけられます。
 上野介はホッとして、カッパのそばへかけよりました。
「あぶないところだった。考えてみれば、かんざしが水に浮くわけはない」
 いいながらカッパを見ると、気を失っているだけで、どこにもけがをしていません。
(さすがは、ふちの主だけのことはある)
 上野介は、近くの木のつるをとってカッパをしばりあげると、肩にかついで家につれかえりました。
 屋敷の者たちは、カッパを見てビックリ。
「なるほど、これがカッパというものか」
「それにしても、恐ろしい顔をしているものだ。こんなカッパを生けどりにするなんて、やっぱりだんなさまはたいしたものよ」
 みんなが感心していると、ふいにカッパが目をあけました。
「お、気がついたぞ。逃げられたらたいへんだ」
 屋敷の者たちは、縄(なわ)でカッパをグルグルまきにして、庭の木にしばりつけました。
 こうなっては、さすがのカッパも、どうすることもできません。
 カッパはなさけない顔でうなだれたまま、ジッと地面をにらんでいました。
 それを見て、上野介がいいました。
「いいか、どんなことがあっても、水をやるでないぞ」
 ところが夜になると、カッパは、クエン、クエンとほえるように泣きだし、うるさくてかないません。
 台所で仕事をしていた女中(じょちゅう)の一人が、水びしゃくを持ったまま庭へとびだし、
「うるさいねえ、いいかげんにしろ!」
と、その水びしゃくでカッパの頭をコツンとたたいたら、水びしゃくの中に残っていた水が、カッパの頭の皿にかかりました。
 するとカッパはみるみる元気になり、グルグルまきの縄を引きちぎって、そのまま庭の外へとびだしました。
「カッパが逃げた!」
 女中の叫び声を聞きつけて、上野介や屋敷の者がかけつけましたが、すぐに姿は見えなくなりました。
 しかし、これにこりたのか、このカッパは二度と人を水の中へ引きこむことはなかったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 奇術の日
きょうの誕生花 → ネフロレピス(ツディたましだ)
きょうの誕生日 → 1972年 高岡早紀 (俳優)

きょうの新作昔話 → 夜叉(やしゃ)が池
きょうの日本昔話 → 人を水中に引きこむカッパ
きょうの世界昔話 → シラミちゃんとノミちゃん
きょうの日本民話 → サルと槍つかい
きょうのイソップ童話 → ヒバリ
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12月2日の日本の昔話 山の神がくれたお嫁さん

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 12月の日本昔話

12月2日の日本の昔話

山の神がくれたおよめさん

山の神がくれたお嫁さん

♪音声配信

 むかしむかし、あるところに、病気の母親と親孝行の息子がいました。
 ある日、息子が山で働いていると、やぶの中から、しらがの鬼ババが出てきました。
 そして、息子のお弁当をのぞいていいました。
「病気の母親にも、そんなにそまつな飯を食わせているのか?」
「母親には、ちゃんと白いご飯を食べさせているよ」
 息子が答えると、鬼ババは、
「そうか、そうか。ではあと十日したら、お前の家に行くから、白いご飯をたいておけ」
と、言って、やぶの中に消えてしまいました。
 十日たって、息子が白いご飯をたいて待っていると、外からドスンときれいな箱が落ちてきました。
 箱をあけてみると、中にはきれいな娘が入っていて、
「山の鬼ババに、ここの嫁になれと言われました」
と、言うのです。
 息子はよろこんで、娘をお嫁さんにしました。
 お嫁さんは、となり村の長者(ちょうじゃ)の娘でした。
 話しを聞いた長者も、親孝行で心のやさしい息子が好きになって、たくさんのお金をわたしてやりました。
 それで三人は、しあわせにくらしました。
 あの鬼ババは、本当は山の神さまだったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 原子炉の日
きょうの誕生花 → ユーカリノキ
きょうの誕生日 → 1971年 松嶋尚美 (芸人)

きょうの新作昔話 → 円海長者(えんかいちょうじゃ)の大赤牛
きょうの日本昔話 → 山の神がくれたおよめさん
きょうの世界昔話 → けものたちの、ないしょの話
きょうの日本民話 → 人魚が教えてくれた秘密
きょうのイソップ童話 → コウモリとイバラとカモメ
きょうの江戸小話 → 富士山のいれもの

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12月1日の日本の昔話 一寸法師

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12月1日の日本の昔話

一寸法師

一寸法師
一寸法師のぬりえ

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
 二人には子どもがいなかったので、おじいさんとおばあさんは神さまにお願いしました。
「神さま、親指くらいの小さい小さい子どもでもけっこうです。どうぞ、わたしたちに子どもをさずけてください」
 すると本当に、小さな小さな子どもが生まれたのです。
 ちょうど、おじいさんの親指くらいの男の子です。
 二人はさっそく、一寸法師(いっすんぼうし)という名前をつけてやりました。
 ある日のこと、一寸法師は、おじいさんとおばあさんに、こんな事をいいました。
「わたしも都へ行って、働きたいと思います。どうぞ、旅の支度をしてください」
 そこでおじいさんは一本の針で、一寸法師にちょうどピッタリの大きさの刀をつくってやりました。
 おばあさんは、おわんを川に浮かベて、一寸法師の乗る舟をつくってやりました。
「ほら、この針の刀をお持ち」
「ほら、このおはしで舟をこいでおいで」
「はい。では、行ってまいります」
 一寸法師は上手におわんの舟をこぐと、都へと出かけました。
 そして都に着くと、一寸法師は都で一番立派な家をたずねていきました。
「たのもう、たのもう」
「はーい。・・・あれ?」
 出てきた手伝いの人は、首をかしげました。
「おや、だれもいないねえ」
「ここだよ、ここ」
 手伝いの人は玄関のげたの下に立っている、小さな一寸法師をやっと見つけました。
「あれまあ、なんて小さい子だろう」
 そして一寸法師は、その家のお姫さまのお守り役になったのです。
 ある日のこと、一寸法師は、お姫さまのお供をして、お寺にお参りに行きました。
 するとその帰り道、突然、二匹の鬼が現れたのです。
「おおっ、これはきれいな女だ。もらっていくとしよう」
 鬼はお姫さまを見ると、さらおうとしました。
「待て!」
 一寸法師は、おじいさんにもらった針の刀を抜くと、鬼に飛びかかりました。
 ところが、
「なんだ、虫みたいなやつだな。お前なんぞ、こうしてくれるわ」
 鬼は一寸法師をヒョイとつまみあげると、パクリと、丸呑みにしてしまいました。
 鬼のお腹の中は、まっ暗です。
 一寸法師は針の刀を振り回して、お腹の中を刺してまわりました。
 これには鬼もまいりました。
「痛っ、痛っ、痛たたた!」
 困った鬼は、あわてて一寸法師を吐き出しました。
「よし、今度はわしがひねりつぶしてやるわ!」
 もう一匹の鬼がいいましたが、一寸法師は針の刀をかまえると、今度は、その鬼の目の中へ飛びこんだものですから、鬼はビックリです。
「た、た、助けてくれー!」
 二匹の鬼は、泣きながら逃げ出してしまいました。
「ふん! これにこりて、もう二度とくるな! ・・・おや? これは何でしょう。お姫さま」
 鬼が行ってしまったあとに、不思議な物が落ちていました。
「まあ、これは打ち出の小づちという物ですよ。トントンとふると、何でも好きな物が出てくるのです」
 そこで一寸法師は、お姫さまに頼みました。
「わたしの背がのびるように、『背出ろ、背出ろ』と、そういってふってください」
 お姫さまは喜んで、打ち出の小づちをふりました。
「背出ろ、背出ろ」

一寸法師

 すると一寸法師の背は、ふればふっただけグングンとのびて、だれにも負けない立派な男の人になりました。
 そして一寸法師はお姫さまと結婚して、仕事もがんばり、たいへん出世したということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 映画の日
きょうの誕生花 → ドラセナ
きょうの誕生日 → 1962年 林家正蔵 (落語家)

きょうの新作昔話 → たわけものと藪医者(やぶいしゃ)
きょうの日本昔話 → 一寸法師
きょうの世界昔話 → フランダースのイヌ
きょうの日本民話 → 死がいをとるもうりょう
きょうのイソップ童話 → キツネとカラス
きょうの江戸小話 → えんまのかんがえ

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