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2009年3月

3月31日の日本の昔話 こまったむすこ

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月31日の日本の昔話

こまったむすこ

こまったむすこ

 むかしむかし、あるところに、せけんしらずの、こまったむすこがおりました。
 あるとき、むすこがにわの木にのぼっていると、おそうしきのぎょうれつがとおりました。
 むすこはそれを、木の上からながめています。
 すると親が飛んできて、むすこをしかりつけました。
「おそうしきの人たちがとおるときには、木からおりて、なむあみだぶつとおがむものだ」
 さて次の日。
 むすこが木にのぼっていると、今度は、お嫁入りのぎょうれつがとおりました。
 むすこは木からおりて、
「なむあみだぶつ」
と、おがみました。
 するとまた、これを親がみつけて、
「お嫁入りのぎょうれつのときには、おめでたいうたのひとつもうたうものじゃ!」
と、しかりつけました。
 また次の日。
 むすこがまちへいくと、火事があって、おおぜいさわいでいます。
 むすこはみんながさわいでいるので、これはおめでたいことだろうとおもって、おめでたいうたをうたいました。
 すると、
「ここは火事場だぞ。おめでたいうたなどうたうもんでねえ! 家をなくした人のみにもなってみろ」
 こっぴどくしかられて、ぼうでたたかれてしまいました。
 うちに帰って、むすこがわけをはなすと、
「そういうときには、水の一ぱいもかけてやるもんだ」
と、またまた、親にしかりつけられました。
 またまた次の日。
 むすこがまちへいくと、かじやがまっ赤に火をおこして、鉄(てつ)をとかしていました。
 むすこは火事かとおもって、水をぶっかけました。
「このやろう、なにするだ!」
 かじやはおこって、おいかけてきました。
 むすこがにげかえって、親にわけをはなすと、
「そういうときは、たたいて、手伝うもんだ」
 またまた、しかりつけられました。
 さらに次の日。
 むすこがまちへいくと、よっぱらいとよっぱらいが、ぼうをふりあげて、けんかをしていました。
 むすこはふたりが仕事をしているものとおもって、ぼうをふりあげ、よっぱらいをたたいたところ、ぎゃくにさんざんたたかれて、こぶだらけです。
 むすこがうちに帰って、わけをはなすと、
「けんかをみたら、とめるもんだ」
 またまた、しかられました。
 そのまた次の日。
 むすこがまちへいこうとすると、とちゅうで、ウシとウシがけんかをしていました。
「よし、今度こそ、ほめられよう」
 むすこはウシとウシの間に入って、けんめいにとめようとしましたが、ウシのツノでつかれて、大けがをしたということです。

おしまい

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3月30日の日本の昔話 サルの恩返し

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3月30日の日本の昔話

サルの恩返し

サルの恩返し

 むかしむかし、九州のお大名の家来で、勘助(かんすけ)という男がおりました。
  勘助の仕事は、手紙をかついで届ける、飛脚(ひきゃく→詳細)でした。
  そのころ地方の大名たちは、めずらしい刀や名刀が手に入ると、これを飛脚にたくして、江戸に運ばせたのです。
  勘助もいま、将軍さまに献上(けんじょう)するたいせつな刀をかかえて、東海道(とうかいどう)を江戸にむかっているのでした。
  さて、勘助が薩摩峠(さつまとうげ)という大きな峠にむかうとちゅう。
  小高いがけの上で、サルのむれが、キーキーと鳴きさわいでいます。
  勘助は、なにごとかと思って、海べのところまでいってみました。
「こりゃあ、たまげた」
  なんとおどろいたことに、一ぴきのサルが、ばけもののような大ダコにさらわれようとしています。
「よし、いま助けてやる!」
  勘助は、こしにさしていた刀をサッとぬいて、波打ちぎわにかけつけました。
「えいっ、えいっ、えいっ!」
  勘助は大ダコめがけて、思いっきり何度も何度も刀をふりおろします。
  ところが、この大ダコの体のかたいのなんの。
  刀は、あっというまにボロボロになってしまいました。
「こりゃあ、とんでもないばけものダコじゃ。たまったもんじゃないわい。こんなのにつきあってはおれん」
  勘助は、にげだそうとしましたが、そのとき勘助は、将軍さまへとどける刀を持っていることを思い出しました。
「そうじゃ、将軍さまにさしあげるこの刀なら、あのばけものダコをやっつけられるかもしれんぞ。将軍さま、ちょっくら、おかりしますだ」
  サルはもう、大ダコに海の中にひきずりこまれています。
  なかまのサルたちが海のほうを見て、心配そうにギャーギャーと、さわぎます。
  勘助はすばやくおびをとき、はだかになって将軍さまの刀を口にくわえて、ザップンと海にとびこみました。
  勘助は、大ダコの足にかみついてサルを助け出すなり、
「えいっ!」
と、将軍さまの刀で大ダコに切りかかりました。
  ところが、大ダコの体にあたったとたん、その刀が折れてしまったのです。
  勘助は、サルを助けて海べにあがってきたものの、その場にヘナヘナとすわりこんでしまいました。
「たいへんだあ。将軍さまにさしあげる刀が、折れちまっただよ。おらは、どうすればいいんだ」
  そのとき、なかまを助けてもらったお礼のつもりか、サルたちかやってきて、勘助に一本の刀をさしだしました。
「なんじゃ? 刀じゃないか。なんでサルがこんなもん、持っとるんじゃ」
  勘助はふしぎに思いながら、刀をぬいてみました。
「おおっ! なんというすばらしい刀じゃ。これなら将軍さまもよろこんでくださるぞ」
  これはよいものを手に入れたと、さっそく出かけようとすると、後ろからサルたちが、ゾロゾロとついてきました。
  サルの指さすほうを見ると、あのばけものダコが、こちらにせまっています。
  サルたちは、この刀でタコをやっつけてくれといっているのです。
「わかった、わかったよ」
  こうして勘助は、また海の中ヘ。
「てやあっ! とう! ややっ、すごい切れあじ。これなら勝てるぞ! さあ、どこからでもかかってこい」
  その刀はするどく、あっというまにタコをたいじしたのでした。
  勘助がサルからもらった刀は、刀づくりの名人、五郎正宗(ごろうまさむね)の名刀だったそうです。
  将軍さまは、この刀を「猿正宗」とよんで、いつまでも家宝として大切にしたということです。

おしまい

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3月29日の日本の昔話 むこのひとつおぼえ

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3月29日の日本の昔話

むこのひとつおぼえ

むこのひとつおぼえ

 むかしむかし、ある山おくの村に、せけんのことをよくしらない男がいて、めでたく嫁さんをもらいました。
 しばらくすると、嫁さんの家から、
「ごちそうしたいから、遊びにきなさい」
と、たよりをもらいました。
 男がいくと、嫁さんの家のひとたちがもてなしてくれたあげく、みやげにお金をたくさんくれました。
 でも、男はお金をみるのが初めてで、つかったことがありません。
 ふところに入れて帰っていくと、とちゅうの沼に、たくさんのカモ(→詳細)がいました。
「あのカモをみやげにしてやろう」
 男はカモを取ろうと、ふところのお金を、石のかわりに投げつけましたが、いくら投げてもあたりません。
 お金をみんななくして、手ぶらで帰っていきました。
 男が家の嫁さんに、このことをはなすと、
「そういう大事なものをもらったら、さいふに入れて、しっかりもちかえるものだ」
と、おしえました。
 しばらくたったある日、男が嫁さんの家にいくと、
「大事なウマを、一とうやろう」
 げんきのいいウマをくれました。
 男は、とちゅうまでウマをひいてくると、
「そうだ、大事なものは、さいふに入れろといわれたっけ」
 ウマの頭に、さいふをかぶせて、おしこめようとしました。
 ウマはいやがって、いうことをききません。
 男がはらをたてて、ウマのおしりをドンとたたくと、ウマは死んでしまいました。
 このはなしをきいた嫁さんは、
「そういうものをもらったら、首になわをつけて、はいどう、はいどうと、ひいてくるもんだ」
と、おしえました。
 その次に、男がいくと、
「今度は、茶がまをもっていきなさい」
 りっぱな茶がまをもらいました。
 そこで男は、茶がまの首になわをかけて、ガラガラと、ひきずりながら帰ってきました。
 家にたどりついてみると、茶がまはそこがぬけてしまって、つかいものになりません。
 嫁さんはこれをみて、
「そういうものをもらったら、こわれんよう、大事に手にさげてこねば」
と、おしえました。
 その次に、男がいくと、
「今度は、お手伝いのむすめをやろう」
と、いわれました。
 男は、こんどこそしっぱいしないよう、むすめのおびをつかんで、手にさげようとしたところ、むすめはおこって、とっとと逃げてしまいました。
 嫁さんは、そのはなしをきくと、
「そういうときには、むすめのあとになり、先にたちして、おてんきのはなしでもしながら、ゴキゲンを取りつつ、つれてくるもんだ」
と、おしえました。
 その次に、男がいくと、
「今度は、びょうぶをもっていきなさい」
 りっぱな金びょうぶをくれました。
 男はびょうぶのあとになったり、先にたったりして、ゴキゲンを取りながら、
「今日は、いいてんきだなあ」
 びょうぶにはなしかけるのですが、びょうぶはついてくるけはいがありません。
 男はびょうぶをのはらにおいたまま、家に帰っていきました。
 嫁さんは、そのはなしをきくと、
「そういうときには、かついでくるもんだ」
と、おしえました。
 その次にまた、男がいくと、
「今度は、よくはたらくウシをやろう」
 りっぱなウシをくれました。
 男は、今度という今度は失敗しないよう、ウシの腹の下にもぐって、ウシをかつぎ上げようとしました。
 するとウシがおこって、男におそいかかりました。
「たっ、たすけてくれー!」
 男は命からがら、家に逃げかえりました。
 嫁さんの家には、それっきり、いかなくなったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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3月28日の日本の昔話 大工と鬼六

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3月28日の日本の昔話

大工と鬼六

大工と鬼六

 むかしむかし、あるところに、大きくて流れの速い川がありました。
  川のこちら側に住んでいる人は、向こう岸へいくのに橋を渡らなければなりません。
  でも、その川には橋がありませんでした。
  何回も何回も橋をこしらえようとしたのですが、途中までできあがると雨がふります。
  雨がふると、川の流れが激しくなって、橋は流されてしまうのです。
「なんとかして、雨にも風にも大水にも負けない、じょうぶな橋をかけなければ」
  人びとは、そう話しあって、日本一りっぱな橋をこしらえるという、大工さんに頼むことにしました。
「よし、ひき受けた!」
  大工さんはそういって、さっそく川岸へやってきました。
  ところが、その川ときたら、まるでどとうのように流れています。
「こんなものすごい川を見たのははじめてだ。どうしたら、じょうぶな橋をかけることができるのだろう?」
  大工さんは考えこんでしまいました。
  すると、川のまん中から、大きな大きな鬼が、ヌーッと出てきました。
「はなしは聞いた。おれは力自慢の鬼だ。ひとつ橋をかけてやろうじゃないか」
  鬼は、大声で言いました。
「それはありがたい。ぜひ橋をこしらえてくれ」
「よし、約束しよう。そのかわり橋ができたら、おまえの目玉をもらうよ」
  鬼はそういうと、パッと消えてしまいました。
  つぎの日、大きくてりっぱな橋が、もうできていました。
  人びとは、大喜びです。
  けれど、大工さんは困ってしまいました。
  橋の代わりに、目玉を取られてしまうのです。
  大工さんは、こっそりと山奥へ逃げていきました。
  すると、山奥のもっと遠くから、ふしぎな声が聞こえてきました。
♪大きな鬼の鬼六さん。
♪人間の目玉おみやげに。
♪早く帰ってきておくれ。
「あれは、鬼の子どもが歌っているんだ」
  声を聞いた大工さんは、あわてて逃げ出しました。
  ところが、川のところまでくると、鬼が待っていたのです。
「約束どおり、目玉をもらうぞ」
「どうか、かんべんしてくれ。目玉をあげたら、とっても困るんだ」
  大工さんがいっしょうけんめい頼むと、鬼は、
「かんべんしてもらいたかったら、おれの名前を三べんいってみろ」
  鬼の名前なんて、大工さんは知りません。
  そこでときとうに、
「鬼太郎」
「ちがう!」
「鬼一郎、鬼次郎、鬼三郎、鬼四朗、鬼五郎・・・」
「ちがう、ちがう。ちがうぞ!」
  そのとき、大工さんはふしぎな歌声を思い出しました。
「そうだ、鬼六だ。鬼六、鬼六、鬼六!」
  大工さんは、大声で叫びました。
「なんで、知っているんだー!」
  鬼の鬼六は、逃げるようにいなくなってしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → シルクロードの日
きょうの誕生花 → たつたそう
きょうの誕生日 → 1975年 神田うの (タレント)

きょうの新作昔話 → 駒が池
きょうの日本昔話 → 大工と鬼六
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3月27日の日本の昔話 金のナスビ

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3月27日の日本の昔話

金のナスビ

金のナスビ

 むかしむかし、ある国の殿さまのもとに、美しいおきさきがいました。
 おきさきはみごもっていましたが、殿さまはまだ知りません。
 ある日の事、おきさきは殿さまのごはんのおぜんを運ぶとちゅう、「プッ」と、小さなおならをしてしまいました。
 すると殿さまは、
「無礼者! お前のような者は、島流(しまながし)じゃ!」
と、言って、おきさきを遠くの島へ流してしまったのです。
 島流しにされたおきさきは、男の子をうんで育てて、いつしか十年あまりがたちました。
 ある日、おきさきは子どもから、
「なあ、うちにはどうして、おとうがおらんの?」
と、たずねられて、島流にされたわけを、ありのままに話しました。
「そうか。おとうが殿さまだなんて知らなかった。・・・よし、おら、殿さまにあってくる」
 男の子は何か考えでもあるのか、一人で舟をこいで海をわたると、お城の近くへいって、ナスビのなえを売り歩きました。
「えー、金のナスビのなるなえは、いらんかなあ」
 その声を聞いて、殿さまはさっそく男の子をお城によぶよう、家来に言いつけました。
「金のナスビがなるとは、実にめずらしい。全部買ってもよいが、そのなえは、だれにでも育てられるのかな?」
 殿さまが男の子にたずねると、
「だれにでも、というわけではありません。生まれて一度も、おならをしたことのない人が育てれば、それは見事な金のナスビが出来ます」
 男の子の返事に、殿さまは怒って、
「バカを言うものではない! この世のどこに、一度もへをしないものがおる。いいかげんな物を売り歩くと、ただではおかんぞ!」
「おや? 殿さまにうかがいますが、この国ではおならをしても、罪にはならないのですか?」
 男の子がたずねました。
「あたりまえじゃ! そんな事を、いちいち罪にしていたのでは、国がなりたってゆかん」
「そうですか。けれど、わたしの母は、むかし、小さなおならをひとつしただけで、島流にされました。それをもう、お忘れでしょうか?」
「なっ、なんじゃと・・・」
 殿さまはハッとして、男の子を見つめました。
 よく見ると、目も口元も、自分にそっくりです。
「すると、お前は、もしや・・・」
 くわしいわけを聞くと、殿さまは男の子がわが子だとわかりました。
「わしが悪かった。つらい思いをさせて、すまなかった。すぐに、妻を島へむかえにいこう」
 殿さまはそう言うと、ギュッと、わが子をだきしめました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → さくら(桜)の日
きょうの誕生花 → しょうじょうばかま
きょうの誕生日 → 1970年 マライア・キャリー (歌手)

きょうの新作昔話 → 仙人の碁(ご)
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3月26日の日本の昔話 八匹のウシ

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3月26日の日本の昔話

八匹のウシ

八匹のウシ

 むかしむかし、ある村に、金持ちのだんながいました。
 ある日、このだんなのところに、村一番のとんち男がかけこんできました。
「いやはや、めずらしいことがあるもんです。だんなにもぜひみせたくて、お知らせにきましただよ」
「いったい、何ごとだね」
「たのきのまたに、ハチが巣(す)をかけてるだよ」
「なんじゃと!」
 このあたりでは、タヌキのことをたのきとよんでいます。
「いくらなんでも、そんなバカな」
 だんなは、首をふりました。
「うそでねえって。きてみなせえ。ほんとだったら、どうするだね」
「そうさなあ。わしがもっている八匹のウシを、全部やろう」
「よしきた。さあ、ごあんないしますべえ」
 男はだんなを、近くの田んぼにつれていきました。
 すると、田んぼの中のハゼの木に、ハチがせっせと巣をかけていました。
「ほれ、田の木のまたに、ハチがすをかけているだべ。約束どおり、八匹のウシをいただきますべえ。ウッシシシ」
 男はしてやったりです。
 八匹のウシがあれば、とうぶん、らくをしてくらせます。
「田の木とたのき。まんまと、だまされてしまった。しかし、八匹のウシを取られては、だいそんがいじゃ。なさけない、なさけない」
 だんながトボトボ帰ってくると、おかみさんがわけをききました。
 わけをきいたおかみさんは、
「八匹全部、やることはありませんよ。一ぴきでたくさん」
と、おちついていいます。
「しかし、約束してしまったのだ」
「まあ、まかせておきなさい」
 おかみさんはなにを考えたのか、八匹のウシの中から、一番やせウシをつれてきて、しっぽの先に、こわれたうえきばちのはちをむすびつけました。
 そこに、とんちものが、八匹のウシをもらいにくると、
「はい、ハチひきのウシ」
 おかみさんは、ウシのおしりを、ポンとたたきました。
 なるほど、『八匹=ハチ引き』にちがいありません。
 とんちものは、おかみさんのとんちに感心して、ガラガラとハチをひきながら、やせウシをつれて帰ったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → カチューシャの歌の日
きょうの誕生花 → しゅんらん
きょうの誕生日 → 1975年 石塚義之 (芸人)

きょうの新作昔話 → お浪草(おなみそう)
きょうの日本昔話 → 八匹のウシ
きょうの世界昔話 → 月の見ていた話 二夜
きょうの日本民話 → 大ムカデ退治
きょうのイソップ童話 → ガチョウとまちがえられた白鳥
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3月25日の日本の昔話 酒を買いに行くネコ

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3月25日の日本の昔話

酒を買いに行くネコ

酒を買いに行くネコ

 むかしむかし、あるところに、だんなとおかみさんがいました。
  二人の間には、七つになる子どもがいます。
  とても元気な子どもで、なにを着せても一日で泥だらけにしてしまうのです。
  だからおかみさんは、毎日のように子どもの着物をせんたくしていました。
  さて、ある朝、子どもに着物を着せようとしたら、洗たくしたはずの着物がひどく汚れていて、なんだかしめっぽいのです。
  いくら元気な子どもでも、夜中に出歩くわけがないので、
(いったい、どうしたわけだろう?)
と、ふしぎに思いました。
  それでも子どもに心配させてはいけないと、だまっていましたが、こんなことが毎朝続くようになったので、こわくなり、だんなに相談(そうだん)しました。
「よし、わしが調べてやる」
  次の晩、だんなは洗たくしたばかりの子どもの着物を、自分のまくらもとのびょうぶにかけて、眠ったふりをしていました。
  するとまもなく、スーッとふすまが開いて、ネコが入ってきました。
(なんだ、うちのネコか)
  ホッとして見るともなく見ていたら、ネコが立ちあがり、びょうぶにかけてある子どもの着物をつかんだのです。
(まさか、ネコが着物を着るなんて)
と、思っていたら、ネコはそれを着て部屋を出ていくではありませんか。
  だんなは、あわてて布団からはい出し、ネコのあとを追いかけましたが、すぐに姿を見うしなってしまいました。
  だんなは、おかみさんを起こしてわけを話すと。
「おまえさん、ネコが年をとると化けるというのは、ほんとだよ。いまのうちに追い出したほうがいいかもしれないね」
  朝になると、いつもどってきたのか、ネコはこたつの中で気持ちよさそうにねむっていて、ふだんと変わったところがありません。
  それでも、びょうぶにかけてある子どもの着物が、夜つゆにグッショリとぬれていました。
(さて、どうしたもんか。長い間かわいがってきたのを、急に追い出すなんてあんまりだな)
  おかみさんも、同じ気持ちでした。
  ゆうべはあんなことを言ったけど、このネコが人間に化けるなんて、どうしても考えることができません。
  すると、そこへ酒屋の番頭(ばんとう→詳細)がやってきて、
「酒代がたまっているので、もらいにきました」
と、言います。
「なんだと。わしは酒など飲まんぞ」
「そんなこと言ったって、毎晩、子どもを使って買いにきてるじゃないですか」
「そりゃ、なんかのまちがいだろう」
「とんでもない。この子が、とうちゃんの酒くれ、金はあとで払うからと」
  番頭は、ムッとして、子どもを指さします。
(ははん。さては、ネコのやつ)
  だんなはネコをにらみましたが、まさか、ネコが子どもに化けて酒を買いに行ったとは言えません。
「すまん、すまん。女房にないしょだったもんで」
  だんなは、わざととぼけて、たまっていた酒代をはらいました。
  番頭が出ていくと、ネコはこたつを出て、子どもといっしょに外へ遊びに行きます。
「やっぱり、とんでもないネコだわ」
  おかみさんが言いました。
「しかし、ほんとにうちのネコかどうか」
「きまってるじゃないの。毎晩、子どもの着物が汚れていたりするのがなによりのしょうこです」
「そんなら、もう一度たしかめてみるか」
  その日の夕方、だんなは町へ行くと言って、家を出ました。
  夜になって、酒屋のものかげにかくれていたら、なんと子どもが、とっくりをさげてやってくるではありませんか。
  まったくよく化けたもんで、どこから見ても自分の子どもにそっくりです。
(今日こそ思い知らせてやる)
  子どもに化けたネコが酒屋を出ると、だんなはすぐに後を追いかけました。
  ネコはどんどん歩いて、村の方へもどっていきます。
(どこへ行くのだろう。まさか、このまま家へ帰るはずはないし)
と、思いながら、こっそりついていくと、ネコは地蔵堂(じぞうどう)の前で立ちどまり、林の方に向かって呼びかけました。
「おやじさん、酒を買ってきたよ」
  すると、イヌほどもある大きなネコが、のっそり出てきて、
「いつもすまんのう」
と、言いました。
  だんなは、ちょっとこわくなりましたが、思いきって声をかけました。
「こらっ、おまえはうちのネコじゃないか!」
  そのとたんに、二匹のネコはギクッとしてふり返り、大あわてで林の中へ逃げこみました。
  それっきりだんなの家のネコは、二度ともどってきませんでした。
  そして、何日かして酒屋へも行ってたしかめたら、あの夜いらい、子どもは酒を買いに来なくなったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 電気記念日
きょうの誕生花 → おうれん
きょうの誕生日 → 1959年 嘉門達夫 (シンガー)

きょうの新作昔話 → 清水の観音さまのお告げ
きょうの日本昔話 → 酒を買いに行くネコ
きょうの世界昔話 → アイリーのかけぶとん
きょうの日本民話 → 昆布買い
きょうのイソップ童話 → 人とサチュロス
きょうの江戸小話 → 自分であがる

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3月24日の日本の昔話 だまされたどろぼう

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3月24日の日本の昔話

だまされたどろぼう

だまされたどろぼう

 むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
「今日も、ようはたらいてくたびれた。グッスリ休みましょう」
 ふたりが戸じまりをして、あかりを消すと、ぬき足、さし足、しのび足。
 どろぼうが入ってきました。
 ミシッ、ミシミシ。
 さいわい、おじいさんは耳がたっしゃです。
(おや、どろぼうが入ってきよったわい。ようし、今夜はひとつ、どろぼうをだまくらかしてやろう)
 そうおもって、となりにねているおばあさんをおこしました。
「ばあさん、ばあさん。ひとがねているときに、いっぺんねたら、もう朝までおきることのない、いいおまじないがあるだが、おまえ、しっとるか?」
「おら、ねむたくてしかたねえ。おまじないなど、どうでもいいでねえか」
 もんくをいうおばあさんに、おじいさんはつづけて、
「まあ、そういわずにきくもんだ。もしも、おらがよその家に、どろぼうに入ったとする」
「じいさんに、どろぼうができるわけ、ありますまいがの」
「たとえばのはなしだ。まず、もちつきのうすをさがして、さいふだの、タバコいれだの、持ち物をぜんぶ入れる」
「はい、はい」
「そうしておいて、うすに着物をぬいでかける。こうすれば、どんなことがあっても家のもんは目をさまさんから、ゆっくりと、どろぼう仕事ができるんじゃ。わかったら、お休み」
 おじいさんはそういって、グウグウと、いびきをかくまねをしていました。
 よろこんだのは、どろぼうです。
「これは、いいことをきいたもんだ」
 手さぐりでうすをさがすと、さいふやタバコいれをうすに入れ、着物をぬいでかぶせました。
 これでみつかる心配はないと、どろぼうはおじいさんたちのざしきに、ズカズカ入りこんで、たんすのひきだしをらんぼうにあけました。
 そこで、おじいさんが、
「どろぼうだー!」
 大ごえでさけんだものですから、どろぼうのおどろいたこと。
 あわてにあわてて、にもつをおいたまま、はだかで逃げ出していきました。
 おじいさんはあかりをつけて、おばあさんをおこしました。
「ほれ、みてみい、どろぼうが、さいふもタバコいれも、着物もおいていってくれたぞ」

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → マネキン記念日
きょうの誕生花 → かたくり
きょうの誕生日 → 1970年 原田泰造 (芸人)

きょうの新作昔話 → 杭にぎり
きょうの日本昔話 → だまされたどろぼう
きょうの世界昔話 → 銅の国、銀の国、金の国
きょうの日本民話 → じゃんじゃん
きょうのイソップ童話 → いっしょに狩りにいったライオンとロバ
きょうの江戸小話 → なりたてのどろぼう

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3月23日の日本の昔話 本当の母親

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月23日の日本の昔話

ほんとうの母親

本当の母親

♪ 朗読再生

 むかし、江戸の下町(したまち)に、おしずと、たいちという親子がすんでいました。
 たいちは、今年、十才になるかわいい男の子です。
 おしずは、たいちをとてもかわいがって育てていたのです。
 ところが、ある日、突然、おこまという女の人がやってきて、
「おしずさん、たいちはわたしの息子。むかし、あなたにあずけたわたしの息子です。かえしてください」
と、言うのです。
 おしずはおどろいて、
「何を言うのです。あなたからあずかった子は、もう十年も前に亡くなったではありませんか。この事は、おこまさんだって知っているでしょう」
「いいえ、うそをいってもだめです。お前さんは自分の子が死んだのに、わたしの子が死んだと言ってごまかして、わたしの息子をとりあげてしまったんじゃありませんか。わたしはだまされませんよ。さあ、すぐにかえしてください!」
 おこまは、こわい顔でそう言いはるのです。
 おしずが、いくら違うといっても聞きません。
 毎日、毎日、おこまはやってきては、同じ事をわめきたてていくのです。
 そしてしまいには、顔にきずのある、おそろしい目つきの男をつれてきて、
「さあ、はやくかえしてくれないと、どんな目にあうかわからないよ!」
と、おどかすのです。
 おしずは困りはてて、町奉行(まちぶぎょう)の大岡越前守(おおおかえちぜんのかみ)にうったえました。
 越前守は話を聞くと、おこま、おしず、たいちの三人をよびました。
「これ、おこま。お前は、そこにいるたいちを自分の息子だと言っているそうだが、何か証拠はあるのか?」
「はい。実はこの子が生まれましたとき、わたしはおちちが出なかったので、おしずさんにあずけたのです。この事は、近所の人がみんな知っています。だれにでもお聞きになってください」
 おこまは、自信たっぷりに答えました。
「では、おしずにたずねる。お前は、おこまの子どもをあずかった覚えがあるのか?」
「はい。ございます」
 おしずは、たいちの手をしっかりとにぎりしめて言いました。
「この子が生まれた時、わたしはおちちがたくさん出ました。それで、おこまさんの子どものひこいちをあずかったのです。でも、その子はまもなく病気で死んでしまいましたので、すぐにおこまさんに知らせたのでございます」
 おしずの言葉を聞くと、おこまはおそろしい目で、おしずをキッと、にらんでさけびました。
「このうそつき! お奉行(ぶぎょう)さま、おしずは大うそつきです。死んだのはおしずの子です。わたしの子どもをかえしてください!」
「いいえ、死んだのは、たしかにひこいちだったんです。お奉行さま、まちがいありません。おこまの子は死んだのです」
「まだそんな事を言って! 人の子をぬすんだくせに!」
「たいちはわたしの子だよ。だれにもわたしゃしない。わたしの大事な子なんだ!」
 二人は、お奉行さまの前であることもわすれて、言いあらそいました。
 その二人の様子をジッとみつめていた越前守は、やがて、
「二人とも、しずまれっ!」
と、大声でしかりました。
 おこまとおしずは、あわててはずかしそうに、すわりなおしました。
「おこま。その息子がお前の子どもである、たしかな証拠はないか? たとえば、ほくろがあるとか、きずあとがあるとか。そういう、めじるしになるようなものがあったら言うがいい」
 おこまは、くやしそうに首をよこにふりました。
「・・・いいえ。それが、何もありません」
「では、おしず。そちはどうじゃ?」
 おしずも残念そうに、首をふりました。
「・・・いいえ。何もございません」
「そうか」
 越前守はうなずいて、
「では、わしが決めてやろう。おしずはたいちの右手をにぎれ。おこまはたいちの左手をにぎるのじゃ。そして引っぱりっこをして、勝った方を、本当の母親に決めよう。よいな」
「はい」
「はい」
 二人の母親は、たいちの手を片方ずつにぎりました。
「よし、引っぱれ!」
 越前守の合図で、二人はたいちの手を力いっぱい引っぱりました。
「いたい! いたい!」
 小さいたいちは、両方からグイグイ引っぱられて、悲鳴をあげて泣き出しました。
 その時、ハッと手をはなしたのは、おしずでした。
 おこまはグイッと、たいちをひきよせて、
「勝った! 勝った!」
と、大喜びです。
 それを見て、おしずはワーッと、泣き出してしまいました。
 それまで、だまって様子を見ていた越前守は、
「おしず。お前は負けるとわかっていて、なぜ、手をはなしたのじゃ?」
と、たずねました。
「・・・はい」
 おしずは、泣きながら答えました。
「たいちが、あんなに痛がって泣いているのを見ては、かわいそうで、手をはなさないではいられませんでした。・・・お奉行さま。どうぞ、おこまさんに、たいちをいつまでもかわいがって、幸せにしてやるように、おっしゃってくださいまし」
「うむ、そうか」
 越前守は、やさしい目でうなずいてから、しずかな声でおこまに言いました。
「おこま、いまのおしずの言葉を聞いたか?」
「はいはい、聞きました。もちろん、この子はわたしの子なのですから、おしずさんに言われるまでもありません。うんとかわいがってやりますとも。それにわたしは、人の息子をとりあげて、自分の子だなんていう、大うそつきとはちがいますからね。だいたい、おしずさんは」
「だまれ! おこま!」
 越前守は、とつぜんきびしい声で言いました。
「お前には、痛がって泣いている、たいちの声が聞こえなかったのか! ただ勝てばいいと思って、子どもの事などかまわずに手を引っぱったお前が、本当の親であるはずがない! かわいそうで手をはなしたおしずこそ、たいちの本当の親じゃ。どうだ、おこま!」
 越前守の言葉に、おこまはまっ青になって、ガックリと手をつきました。
「申し訳ございません!」
 おこまは、自分がたいちをよこどりしようとしたことを白状しました。
「お母さん!」
「たいち!」
 たいちは、おしずの胸に飛び込みました。
「お奉行さま、ありがとうございます。本当に、ありがとうございます」
 おしずは、越前守をおがむようにして、お礼を言いました。
「うむ、これにて、一件落着!」

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 世界気象の日
きょうの誕生花 → ベルゲニア(ヒマラヤゆきのした)
きょうの誕生日 → 1967年 七瀬なつみ (俳優)

きょうの新作昔話 → お嫁さんになれなかったウグイス
きょうの日本昔話 → ほんとうの母親
きょうの世界昔話 → おじいさんとまご
きょうの日本民話 → スズメとキツツキ
きょうのイソップ童話 → サヨナドリとツバメ
きょうの江戸小話 → やぶ先生のぐち

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3月22日の日本の昔話 まゆにつば

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月22日の日本の昔話

まゆにつば

まゆにつば

 むかし、ある山寺に、たいそうかしこい小僧がいました。
ある日の夕方です。
小僧が和尚(おしょう→詳細)さんにようじをたのまれて、町へおりることになりました。
「では、いってまいります」
小僧が山みちをおりていくと、一ぴきのいたずらダヌキが、町の酒屋のでっち(→住み込みで働く子ども)にばけて、うしろからこえをかけました。
「夕方は、キツネやタヌキにばかされやすいから、いっしょに町までいくよう、和尚さんにいわれてきました」
「それはごしんせつに。ところで、でっちどんはいつ、山寺へこられました?」
「ほんのさっき、きゅうなとどけものがあって、きたばかりです」
タヌキのでっちは、すまし顔です。
でも、町の酒屋なら、きのう、みそもしょうゆも和尚のすきなお酒も、とどけにきたばかりです。
(さては、いたずらダヌキだな。なにか、たくらんでいるのだろうが、ようし、はんたいにだましてやろう)
小僧は、だまされないおまじないに、まゆにつばをつけると、ニコニコでいいました。
「これは、いいみちづれができてよかった。ところで、でっちどん。このあいだかした百文(三千円ほど)のお金、きょうかえしてくれるはずでしたね」
と、手をだしました。
タヌキはでっちにばけたてまえ、しらないとはいえません。
「いま、かえそうとおもっていたんですよ」
しぶしぶ、百文をわたしました。
「そうそう、そのまえにかした二百文も、きょうというやくそくでしたよ」
タヌキは、二百文とられました。
これですんだわけではありません。
小僧はさらに、
「そういえばひと月まえに、小ばん(7万円ほど)を一まいかしたのも、きょうというやくそくでしたね」
と、タヌキのあり金を、のこらずまきあげてしまいました。
これいじょういっしょにいたら、まだまだ、なにをいわれるかわかりません。
「ちょっと、ほかにまわっていくところがありますので」
と、とちゅうからにげだしました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 放送記念日
きょうの誕生花 → れんぎょう
きょうの誕生日 → 1977年 松本リカ (タレント)

きょうの新作昔話 → 善光寺の本柱
きょうの日本昔話 → まゆにつば
きょうの世界昔話 → オオカミになった弟
きょうの日本民話 → キツネがついた幸助
きょうのイソップ童話 → オオカミとヒツジ飼い
きょうの江戸小話 → 剣術指南

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3月21日の日本の昔話 あかんべえおばけ

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月21日の日本の昔話

あかんべえおばけ

あかんべえおばけ

 むかしむかし、化け物屋敷があるときいた、気のつよいびんぼうざむらいがいました。
「よし、おれが化け物を退治してやる!」
 あれほうだいの屋敷に入りこんで、化け物があらわれるのをまっていますと、草木もねむるうし三つどき(午前二時ごろ)。
 どこからともなく、おじいさんがあらわれました。
 おそろしくも、なんともありません。
「つまらん化け物だ。ひっこめ!」
 さむらいがそういうと、
「いいえ、わたしは化け物ではありません。もと、この家のあるじでございます。わたしが商売をやっておりましたころは、店もはんじょうしておりましたが、あとつぎのせがれめが店をつぶして、ごらんのありさま。なさけないかぎりです。そこで、あなたさまにねがいがございます」
「なんなりと、いうてみい」
「ほら、向こうに池がありましょう。あの池のわきの大きな石の下に、わたしがたくわえておいた小判が五万両(約七千五百万円)ほどかくしてございます」
「えっ、五万両! それは大金だな」
「ねがいというのは、ほかでもございません。その小判をもとでに、この家をもういちど、もりたてていただきたいのです」
 おじいさんは、そういって、スーッと消えていきました。
「うむ、悪いはなしではないな。五万両を手に入れ、この家の大だんなにおさまるか」
 夜があけると、さむらいは石の下をほり始めました。
「よしよし、おれにも、いよいよ、よい運がまわってきたぞ」
 ドンドンほっていくと、ふるめかしい箱が出てきました。
「しめたっ。これだ」
 さむらいがよろこんで箱のふたを取ると、中から大きなおばけが出てきて、
「アカンベエー!」
と、まっかな舌をペロリンと、出したそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ランドセルの日
きょうの誕生花 → まんさく(満作)
きょうの誕生日 → 1973年 石井正則 (芸人)

きょうの新作昔話 → 一本のとうもろこし
きょうの日本昔話 → あかんべえおばけ
きょうの世界昔話 → タールぼうや
きょうの日本民話 → ネコに技を教えるキツネ
きょうのイソップ童話 → 病気になったシカ
きょうの江戸小話 → 文句をいいに

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3月20日の日本の昔話 家からとおくなっても

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月20日の日本の昔話

家からとおくなっても

家からとおくなっても

 むかしむかし、きっちょむさん(→詳細)と言う、とてもゆかいな人がいました。
 ある日、きっちょむさんがとなりの町へいきました。
 町には、お客をのせる馬がいたので、きっちょむさんはのってかえろうと思い、馬をひく馬子(うまこ)に、
「馬はいくらかね」
と、たずねました。
 すると馬子は、
「中町までだったら、どこでも二十文(600円)です」
と、こたえました。
 きっちょむさんは、しばらくかんがえてから、
「わたしのうちは、そのとちゅうの南村。南村までが二十文というのは高いが、中町までなら高くはないな」
と、いいました。
 そして、馬にのってかえることにしました。
 よいきもちでゆられているうちに、じぶんの家のまえへつきました。
 おりようとして、きっちょむさんは、ちょっとかんがえました。
「まて、まて。ここでおりてしまったら、二十文の馬代が高すぎる。中町まででも二十文というのなら、家からとおくなっても中町までいったほうがとくだ」
と、つぶやいて、中町までのっていくことにしました。
 そして、はるばる中町までいって馬からおりると、馬子に二十文はらい、テクテクとじぶんの村までひきかえしたのでした。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 電卓の日
きょうの誕生花 → みつまた
きょうの誕生日 → 1956年 竹中直人 (俳優)

きょうの新作昔話 → 山鳥の恩返し
きょうの日本昔話 → 家からとおくなっても
きょうの世界昔話 → しあわせになった、のらネコ
きょうの日本民話 → だきついてくる白骨
きょうのイソップ童話 → モミの木とイバラ
きょうの江戸小話 → てつびん

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3月19日の日本の昔話 水アメの毒

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月19日の日本の昔話

水アメの毒

水アメの毒

♪ 朗読再生

 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 ある日の事。
 和尚(おしょう)さんが、村人に水アメをもらいました。
 それを欲しそうな目で見ていた一休さんに、和尚さんがこわい顔で言いました。
「一休よ。これはな、大人が食べると薬じゃが、子どもが食べるとたちまち死んでしまうと言う、恐ろしい毒の水アメじゃ。決して、食べてはいかんぞ」
 すると一休さんは、ニッコリ笑って、
「はい、絶対に食べません」
と、言いました。
「そうか、そうか」
 和尚さんはそれを聞いて、安心して用事に出かけました。
 和尚さんがいなくなった事を知った一休さんは、
「えっへへへ。子どもが食べると毒だなんて、よく言うよ。水アメをひとりじめしようだなんて、そうはいかないよ」
と、さっそく他の小僧さんと水アメを分けあって、全て食べてしまったのです。
「ああ、おいしかった」
「でも一休。こんな事をして、和尚さんにしかられないか?」
心配する他の小僧さんに、一休さんはニッコリ笑うと。
「大丈夫、大丈夫。一休に、いい考えがあります。実はですね・・・」
 さて、それからしばらくして、和尚さんが用事をすませて帰って来るのが見えました。
 すると一休さんは、和尚さんの大切にしていた茶碗(ちゃわん)を持ち出して、それを庭の石に、ガシャン! と、ぶつけて割ってしまいました。
 そして目元をつばでぬらすと、みんなで泣きまねをしました。
「えーん、えーん」
 帰ってきた和尚さんは、みんなが泣いているのでビックリ。
「こりゃ、なにを泣いておるのじゃ? 一休、これはどうしたことだ?」
 すると一休さんが、泣きながら言いました。
「えーん、えーん、和尚さんの・・・、和尚さんの大切な茶碗を割ってしまいました。おわびに毒の水アメをなめて死のうと思いましたが、全部なめても死ねません。えーん、えーん」
 それを聞いた和尚さんは、頭をポリポリかきながら、
「こりゃ、してやられたわ」
と、言い、それからは村人にもらったおかしは、みんなで分けることにしたのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → アカデミー賞設立記念日
きょうの誕生花 → ベロペロネ(こえびそう)
きょうの誕生日 → 1955年 ブルース・ウィリス (俳優)

きょうの新作昔話 → 地中で三十三年
きょうの日本昔話 → 水アメの毒
きょうの世界昔話 → ピアンとサル
きょうの日本民話 → ブッポウソウのこえ
きょうのイソップ童話 → カラスとヘルメス
きょうの江戸小話 → ぬすびとの辞世

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3月18日の日本の昔話 大工さんと大入道

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3月18日の日本の昔話

大工さんと大入道

大工さんと大入道

 むかしむかし、あるところで、うでのいい大工(だいく)さんが、一日の仕事をおえて、
「さあ、うちへかえろう」
と、どうぐばこをかたに、日ぐれの山みちを帰っていきました。
 あたりはもう、だいぶ暗くなっています。
 いそいで歩いていくと、きゅうに、ザワザワと風がふいてきました。
 そして、赤い服をきた大入道(おおにゅうどう)が、ヌーーーッと、あらわれたのです。
「で、でたあ!」
 大工さんは、逃げ出そうとおもいましたが、気持ちをぐっとおちつけると、
「まてまて、人に話すとき、どのくらい大きな大入道だったか言えるよう、すんぽうをはかってやろう」
と、どうぐばこのさしがねを取り出しました。
 すると、大入道は、
「おれは、はかられたくねえ!」
と、けむりのように消えてしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 精霊の日
きょうの誕生花 → とさみずき
きょうの誕生日 → 1962年 豊川悦司 (俳優)

きょうの新作昔話 → ヘビのうらみと老母
きょうの日本昔話 → 大工さんと大入道
きょうの世界昔話 → キツネとウマ
きょうの日本民話 → シラミの質入れ
きょうのイソップ童話 → 目の見えない人
きょうの江戸小話 → かぜのかみおくり

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3月17日の日本の昔話 ステレンキョウ

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3月17日の日本の昔話

ステレンキョウ

ステレンキョウ

 むかしむかし、お奉行所(ぶぎょうしょ)の前に高札(こうさつ)が立って、大勢の人が集まっていました。
 そこへ、漁師の浜介(はますけ)が通りかかりました。
(いったい、何事だ?)
 そばヘ寄ってみましたが、字が読めないので、近くの人に聞いてみますと、けさがた浜で、奇妙な魚が取れたとのことです。
 そしてその魚の名前がわからないので、いい当てた者には金子百両(→七百万円)をあたえると、書いてあるということです。
「魚のことなら、まかせておけ」
 浜介はさっそく、お奉行さまの前に出て、その魚を見せてもらいました。
(なるほど、これは見たこともねえ魚だ)
 奇妙なさかなにビックリしていると、お奉行から、
「これ、浜介とやら、それなる魚の名は、なんともうす?」
と、突然聞かれて、浜介は思わず、
「ヘえ、テレスコともうしやす」
と、言ってしまいました。
「テレスコともうすか。テレスコ。なるほど。よう知らせてくれた。ほうびを取らすぞ」
と、いうわけで、浜介は百両という大金をもらって、飛ぶように女房のところヘ帰りました。
 さて、それからひと月ほどたった、ある日のこと。
 また、お奉行所の前に高札がたっていて、大勢の人が集まっています。
 その高札には、
《不思議な魚がおるが、名前がわからぬ。名前をいい当てた者には、ほうびとして金子百両をあたえる》
と、前と同じ様な事が書いてありました。
 浜介は、またお奉行さまの前に出て、魚を見せてもらいました。
「浜介、そこなる魚の名は」
「ヘえ。これは、ステレンキョウともうしやす」
 浜介がいうと同時に、お奉行さまはきつい声で、
「この、ふらち者めがっ! これなる魚は、前の魚を干したものじゃ。浜介、その方、前にはこの魚をテレスコともうし、今日はステレンキョウともうしたな。お上をあざむき、またも金子をねらうとは、かさねがさねのふとどき者。打ち首の刑をもうしつけるぞ!」
と、いうわけで、浜介は牢屋(ろうや)に入れられました。
 さて、今日はいよいよ、打ち首になる日です。
 お白洲(おしらす→罪人を取り調べる場所。奉行所のこと)に引き出された浜介は、これが最後の別れというので、女房や子どもに、ひと目、会うことを許されました。
「これ浜介。あとに残る妻や子に、何か言い残すことはないか?」
「はい、お奉行さま」
 浜介はうしろ手にしばられたまま、女房子どもの方を向くと、しみじみといいました。
「いいか、お前たち。これから先、たとえどんなことがあろうと、けっしてけっして、イカを干(ほ)したのを、スルメというでないぞ」
 言い終わると、浜介の日焼けしたほほに、涙が流れました。
 そのとき、お奉行さまはポンとひざをたたいて、
「これはしまった! それっ、急いでなわをとけ!」
と、家来にいいつけてなわをとかせると、今度は自分が涙を流して、
「これ浜介。わしが悪かった。イカを干せばスルメ。テレスコを干せばステレンキョウになるのか。なるほど、なるほど」
と、いうわけで、浜介はまたほうびの百両をもらって、女房子どもとつれだって、仲よく家ヘ帰りました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 漫画週刊誌の日
きょうの誕生花 → さんしゅゆ
きょうの誕生日 → 1946年 マギー司郎 (漫談師)

きょうの新作昔話 → のさんの賭け
きょうの日本昔話 → ステレンキョウ
きょうの世界昔話 → パンドラの箱
きょうの日本民話 → タバコ入れの中のお守り
きょうのイソップ童話 → ゼウスの裁判
きょうの江戸小話 → あわて医者

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3月16日の日本の昔話 にげだしたまつの木

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3月16日の日本の昔話

にげだしたまつの木

にげだしたまつの木

 むかしむかし、あるところに、いろいろなものにばけては、人とをだましておもしろがっている、わるいタヌキがいました。
 あるあつい日のこと。
 さかなうりの男をみつけたタヌキが、
「おお、ちょうど腹が空いているときに、さかなうりが。ようし、だましてさかなをとりあげてやろう」
と、みごとなえだぶりのまつの木にばけました。
 まつの木の日かげをみつけて、
「ありがたい。ここでひとやすみしていこう」
 さかなうりは、にもつをおろしました。
 でも、このまえにとおったときには、まつの木など、なかったはずです。
(ははん。これは、いたずらダヌキのしわざだな。よし、からかってやろう)
 さかなうりは、タヌキのばけたまつの木にむかって、
「たしかこの木は小判(こばん)の木で、木をたたくと小判がふってくるはずだ。それっ、トントン」
 するとタヌキは、全財産(ぜんざいさん)の小判を三まい、さかなうりの頭の上におとしました。
「よしよし。では、もうひとつ、トントン」
 さかなうりが、ふたたび木をたたきましたが、タヌキはさっき、全財産をつかってしまったので、もう、なにもおとすことができません。
「・・・しかたない。こんなところか」
 さかなうりは、キセル(→詳細)にタバコをつめて一ぷくすると、そのすいがらを、まつのみきにできているくぼみに、プイッとなげ入れました。
 こうして、二ふく、三ぷく、すいがらをなげ入れていくと、モクモクと、まつの木からけむりがたちのぼってきました。
 タヌキはジッとがまんしていましたが、いつまでもがまんしきれるものではありません。
「アチッ、アチチチチ・・・」
 まつの木は、みるみる小さくなったかとおもうと、
「こりゃあたまらん。アチチチチ・・・」
 全財産をとられたうえに、おしりにやけどをしたタヌキは、なきながらどこかへいってしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 万国赤十字加盟記念日
きょうの誕生花 → イースターカクタス
きょうの誕生日 → 1967年 小比類巻かほる (歌手)

きょうの新作昔話 → 身代わり地蔵
きょうの日本昔話 → にげだしたまつの木
きょうの世界昔話 → 空飛ぶトランク
きょうの日本民話 → 娘に化けた大ウナギ
きょうのイソップ童話 → 川と海
きょうの江戸小話 → つけばな

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3月15日の日本の昔話 おむすびコロリン

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3月15日の日本の昔話

おむすびコロリン

おむすびコロリン

♪ 朗読再生

 むかしむかし、木こりのおじいさんは、お昼になったので、切りかぶに腰をかけて、お弁当を食ベることにしました。
「うちのおばあさんがにぎってくれたおむすびは、まったくおいしいからな」
 ひとりごとをいいながら、タケの皮の包みを広げたときです。
 コロリンと、おむすびが一つ地面に落ちて、コロコロと、そばの穴ヘころがりこんでしまいました。
「おやおや、もったいないことをした」
 おじいさんが穴をのぞいてみますと、深い穴の中から、こんな歌が聞こえてきました。
♪おむすびコロリン コロコロリン。
♪コロリンころげて 穴の中。
「ふしぎだなあ。だれが歌っているんだろう?」
 こんなきれいな歌声は、今まで聞いたことがありません。
「どれ、もう一つ」
 おじいさんは、おむすびをもう一つ、穴の中へ落としてみました。
 するとすぐに、歌が返ってきました。
♪おむすびコロリン コロコロリン。
♪コロリンころげて 穴の中。
「これは、おもしろい」
 おじいさんは、すっかりうれしくなって、自分は一つも食ベずに、おむすびをぜんぶ穴へ入れてしまいました。
 つぎの日、おじいさんは、きのうよりももっとたくさんのおむすびをつくってもらって、山へ登っていきました。
 お昼になるのを待って、コロリン、コロリンと、おむすびを穴へ入れてやりました。
 そのたびに、穴の中からは、きのうと同じかわいい歌が聞こえました。
「やれやれ、おむすびがおしまいになってしまった。だけど、もっと聞きたいなあ。・・・そうだ、穴の中へ入って、たのんでみることにしよう」
 おじいさんは、おむすびのようにコロコロころがりながら、穴の中へ入っていきました。
 するとそこには、かぞえきれないほどの、おおぜいのネズミたちがいたのです。
「ようこそ、おじいさん。おいしいおむすびをたくさん、ごちそうさま」
 ネズミたちは、小さな頭をさげて、おじいさんにお礼をいいました。
「さあ、今度はわたしたちが、お礼におもちをついてごちそうしますよ」
 ネズミたちは、うすときねを持ち出してきて、
♪ペッタン ネズミの おもちつき。
♪ペッタン ペッタン 穴の中。
と、歌いながら、もちつきを始めました。
「これはおいしいおもちだ。歌もおもちも、天下一品(てんかいっぴん)」
 おじいさんはごちそうになったうえに、ほしい物をなんでも出してくれるという、打ち出の小づちをおみやげにもらって帰りました。
「おばあさんや、おまえ、なにがほしい?」
と、おじいさんは聞きました。
「そうですねえ。いろいろとほしい物はありますけれど、かわいいあかちゃんがもらえたら、どんなにいいでしょうねえ」
と、おばあさんは答えました。
「よし、やってみよう」
 おじいさんが、小づちをひとふりしただけで、おばあさんのひざの上には、もうあかちゃんがのっていました。
 もちろん、ちゃんとした人間のあかちゃんです。
 おじいさんとおばあさんはあかちゃんを育てながら、仲よく楽しくくらしましたとさ。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 靴の記念日
きょうの誕生花 → さんたんか
きょうの誕生日 → 1962年 朝比奈マリア (歌手)

きょうの新作昔話 → 弥藤次荒神(やとうじこうじん)
きょうの日本昔話 → おむすびコロリン
きょうの世界昔話 → アザラシのお母さん
きょうの日本民話 → うごく城
きょうのイソップ童話 → オオカミと子ヒツジ
きょうの江戸小話 → おいはぎ

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3月14日の日本の昔話 にせものの汽車

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月14日の日本の昔話

にせものの汽車

にせものの汽車

 むかし、まだ汽車(きしゃ)がめずらしかったころのことです。
 いなかの村にも、汽車がはしるようになりました。
 あるばん、きかんしゅがシュッポシュッポと、汽車をはしらせていくと、むこうから、くるはずのない汽車がはしってきます。
「あっ、あぶない!」
 急ブレーキをかけてとまると、ふしぎなことに、あいての汽車はかげもかたちもありません。
 こんなことが何度もあったので、きかんしゅはカンカンです。
 あるばん、きかんしゅは、にせものの汽車があらわれると、ブレーキをかけるどころか、反対にスピードをあげました。
 ドカーン!
 ぶつかりましたが、そのとたん、にせものの汽車はパッときえて、かげもかたちもありません。
 そのばんおそく、薬屋の戸をたたくものがありました。
 みせのひとがでてみると、お寺の小僧さんです。
「和尚(おしょう→詳細)さんがやけどしました。やけどのくすりをわけてください」
「それはおきのどく。どうぞ、おだいじに」
 薬屋はつぎの日、和尚さんをおみまいにいきました。
 すると、和尚さんはピンピンしています。
「なに、わしがやけどをした? それに、うちの寺にはいま、小僧をひとりもおいていない。これはひょっとすると、うらのやぶにすんでいるタヌキかもしれん」
 和尚さんは薬屋と、やぶへまわって、タヌキのあなぐらをのぞきこみました。
 すると、タヌキはやけどをした頭に、せっせとくすりをぬりこんでいます。
「いったい、どうしたんじゃ?」
 和尚さんがきくと、タヌキは、
「汽車がとおるようになって、やぶがけずられて、うるさくてひるねもできません。それで、汽車にばけておどかしていたのですが、ゆうべは汽車のかまどに頭をぶつけて、ごらんのありさまです」
「そうか。にせものの汽車は、おまえだったのか。まあ、やけどくらいですんでよかった。はやくなおして、げんきにおなり」
 和尚さんはそういって、タヌキをなぐさめました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ホワイトデー
きょうの誕生花 → カミツレ(カモミール)
きょうの誕生日 → 1948年 五木ひろし (歌手)

きょうの新作昔話 → 三笠山
きょうの日本昔話 → にせものの汽車
きょうの世界昔話 → ロバとおじいさん
きょうの日本民話 → 不思議なサバ売り
きょうのイソップ童話 → ミツバチとゼウス
きょうの江戸小話 → 思いやり

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3月13日の日本の昔話 牛若丸

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月13日の日本の昔話

牛若丸

牛若丸

 いまから、およそ八百年ほどまえのお話です。
 京都のはずれの山の中に、はげしいふぶきの中をいそぐ母と子のすがたがありました。
 おさない子ども二人と、そして母のむねには、一人の乳飲み子がだかれておりました。
 そのころ、さむらいたちの二大勢力、源氏と平氏は、各地ではげしくたたかい、源氏の総大将、源義朝(みなもとのよしとも)は、ついに平氏の手によってたおされてしまいました。
 義朝のつま、ときわは、まだおさない今若、乙若、そして牛若の三人の子をつれ、なんとか平氏の手のとどかないところへにげようとしたのです。
 でも、とうとう平氏の武士たちに発見されて、平清盛(たいらのきよもり)の前につれだされたのでした。
 清盛は、おさない子が源氏の大将義朝の子であることを知ると、すぐに首をはねるようにと命じました。
 ところが、
「わたしの命はいりませぬ。そのかわり、どうかこの子たちの命だけはお助けくださいませ」
という、ときわのひっしのたのみに、心をうごかされた清盛は、子どもたちの命を助けることにしました。
 そのかわり、七さいの今若、五さいの乙若はすぐに寺へ、そして牛若も、七さいになったらかならず寺ヘ入れるよう、母のときわにやくそくさせたのでした。
 年月はまたたくまにすぎ、やがて清盛とのやくそくをはたさねばならないときがきました。
「牛若、そなたはもう七さい。寺に入って、りっぱなお坊さまにならなければなりませぬ」
「お母さま!」
 こうして、七さいになったばかりの牛若は、やさしい母にわかれをつげなければならなかったのです。
「さびしいときは、お父さまが大切にしていた、このよこぶえをふきなさい」
 牛若丸があずけられた寺は、くらまの山の中、うっそうとしげる木立の中にある、くらま寺でした。
 牛若丸のきびしい修行生活がはじまりました。
 あるとき、牛若丸が一人で勉強していますと、どこからか、牛若丸をよぶ声がします。
「わかさま、わかさま」
「わたしをよぶのは、だれじゃ?」
 牛若丸がキョロキョロとあたりを見まわすと、見知らぬぼうずがすわっていました。
「わかさま、お目にかかれてうれしゅうございます。わたしは鎌田正近(かまたまさちか)と申す旅の僧。わかさま、よくお聞きくださいませ。あなたさまは、平氏にほろぼされた源氏の総大将、源義朝公(みなもとのよしともこう)のお子さまですぞ!」
「えっ、わたしがっ!」
「そうです、わたしも義朝公におつかえした身、義朝公は清盛の手によってころされたのです。あなたさまは、父ぎみのかたきをうち、おごる平家をこらしめなければなりません。そして、源氏一門をたてなおさなければなりませんぞ!」
 なにもかも、はじめて聞く話でした。
 牛若丸は、山の中へ走りこんで、一人でなみだを流しました。
 それは、おさない牛若丸がせおいこむには、あまりにも重い運命でした。
 そんな牛若丸を見ている、一人のテング(→詳細)がいました。
 そのテングは、ヒラリと高い木からとびおりると、牛若丸のそばに立ちました。
「立て、小僧! 男の子がいつまでないておる。さあ、わしについてこい」
 いうが早いか、テングはあっというまにすがたをけしてしまいました。
「あれ、どこいっちまったんだろう?」
 見ると、そばの木に太刀(たち)がたてかけてあります。
「よし、テングのやつ、これでとっちめてやる」
 太刀を持って木立の中をすすむ牛若丸の頭を、コツンとだれかがたたきました。
「いたい。だれだ!」
 頭をかかえてふりむくと、またも、コツン。
 また、コツン。
「わっはっはっは。小憎、それでは太刀があってもなんにもなりはせんぞ。それそれ、ぐずぐずしておると、またやられるぞ」
 牛若丸は、あわてて太刀をひろい、こんどはしっかり目をすえて、身がまえました。
 なにやらみょうなかげが、あっちへこっちへとびかいます。
 よく見ると、たくさんのカラステングが、グルッと牛若丸のまわりをとりかこんでいました。
「な、なにものっ!」
 テングたちは、牛若丸におそいかかります。
 負けてはならじと、太刀をふりまわす牛若丸。
 でも、あちらこちら、めったやたらなぐられてしまいました。
 これではならじと牛若丸は、昼なお暗いくらまの山中で、もくもくと剣の修行にはげんだのです。
「それっ! 右だ! 左だ! 走れ! とべ! まわれ!」
 テングのしどうで、牛若丸の剣のうではみるみるじょうたつしました。
 それから何日かすぎた、ある月のかがやくばん。
「きえ~っ!」
 するどく切りこんできた、カラステングの太刀を、牛若丸は、ハッと打ちとめると、かえす刀ではげしくテングに打ちこんだのです。
「やった! やった! とうとうテングをたおしたぞ!」
 牛若丸の剣のうでは、とうとうテングをたおすまでになりました。
 その日いらい、もう牛若丸にかなうテングは一人もいなくなりました。
 そんなある日、テングが牛若丸にこういうのです。
「わかさま、わたしどもがお教えすることは、もうなにもありません。このうえは、りっぱなおさむらいになられますよう」
 そのテングたちも、源氏のことを思う義朝の家臣だったのでしょう。
 くらま山で剣をならった牛若丸は、十五の年に、くらま寺からそっとすがたをけしたということです。
 さて、ところかわってこちらは京都。
 そのころ都では、夜な夜な、怪僧弁慶(かいそうべんけい)なる者がすがたをあらわし、通行人の刀をうばっては、これを一千本集める祈願(きがん)をたてているといううわさで、おそれられていました。
 そして今夜が、その一千本めの日でありました。
 ここは、五条大橋。
 どこからともなく聞こえてくる、すんだふえの音。
 ふえをふいているのは、あの牛若丸でした。
「なんじゃ、子どもか。子どもに用はないわい」
と、いった弁慶でしたが、牛若丸のこしにさした太刀を見たとたん、
「うむ、みごとな太刀じゃあ。この太刀なら、一千本めにふさわしい」
と、なぎなたを高くかかげ、牛若丸の前に立ちはだかりました。
「やいやい、その太刀、おいていけ!」
 ところが牛若丸は、弁慶のそばをスルリと通りぬけていきます。
「ぬぬ、よし、わしのなぎなたを受けてみよ、それ!」
 弁慶は、なぎなたをふりまわしますが、牛若丸は、ヒラリヒラリとかわしてしまいます。
 ここと思えばあちら、あちらと思えばそちら。
 牛若丸は、ヒョイととびあがりながら、手に持ったおうぎを投げました。
 おうぎは弁慶のひたいにあたり、弁慶はひっくりかえってしまったのです。
「ま、まいりました!」
 さしもの弁慶も、ガックリひざをついてあやまりました。
 弁慶は、このときから牛若丸の家来となって、いつまでも牛若丸につかえました。
 牛若丸は、のちに源九郎義経(げんくろうよしつね)となのって、兄の頼朝(よりとも)と力をあわせ、ついには壇ノ浦の戦いで、平氏をたおすことができたのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → サンドイッチデー
きょうの誕生花 → アネモネ
きょうの誕生日 → 1966年 今田耕司 (タレント)

きょうの新作昔話 → 土仏観音(どぶつかんのん)
きょうの日本昔話 → 牛若丸
きょうの世界昔話 → 小人とクツ屋
きょうの日本民話 → 殿さまをおそったネコ
きょうのイソップ童話 → ノミとスポーツ選手
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3月12日の日本の昔話 庭に現れた雪女

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3月12日の日本の昔話

庭に現れた雪女

庭に現れた雪女

 むかしむかし、一人の俳人(はいじん→俳句を作る人)がいました。
 ようやく雪もとけはじめた、ある明けがたのこと。
 便所に行きたくなって廊下へ出ると、庭の竹やぶの前に、なにやら白いものが立っています。
 ハッとして目をこすり、よくよく見てみたら、背の高さが一丈(約三メートル)もある大女で、髪の毛も顔もすきとおるようにまっ白です。
 まだ寒いというのに、うすい着物を一枚着ただけで、それがまた白く輝いて見えます。
 まだ若い女らしく、まるでかぐや姫のような美しさです。
 俳人は、六十年ばかり生きてきましたが、こんなふしぎな女を見るのは初めてでした。
(いったい、なに者?)
 思わず庭におりて近づこうとすると、女はニッコリと笑いかけ、竹やぶの方へ歩きだしました。
 そのあでやかな歩きぶりは、とても大女のものでなく、絵の中の女が動いているようにも見えます。
 俳人が声をかけるのも忘れて見とれていたら、やがて女の姿がフッと消えました。
 俳人はしばらくそこに立っていましたが、それっきり女は姿をあらわしません。
 夜が明けるのを待って、俳人はもういちど庭へ出て、竹やぶのあたりを調べてみましたが、足あとらしいものはまるでなく、いつもと変わりない様子です。
(さては、あれが雪女(ゆきおんな→詳細)というものだろうか?)
と、考えてみましたが、雪女は雪の深いときに現れるもので、いかに雪が残っていようとも、いまごろ現れるはずがありません。
(もしかして、まぼろしでも見たのだろうか?)
 俳人は心配になり、仲間のところへ出かけて、このことを話しました。
 すると、仲間の一人がいいました。
「それは、まちがいなく雪女だ。いまごろ現れる雪女はめったにいないが、たまたま春さきに現れることもあるとむかしの人はいうぞ。さいわいにもおまえさんはそれを見たのだ。花とて、ちるときがいちばん美しく、紅葉とて、舞い落ちるときこそいちばんあでやかなもの。雪女とて同じこと。まさに、雪が消えうせんとするときに現れるものは、言葉にもつくせない美しい姿をしているそうな。なんとうらやましいことよ」
「しかし、なぜ、わたしの家の庭などに現れたのだ」
「それはわからない。まあ、おまえさんが、雪の俳句を好んでつくるからだろう。あるいは雪女に気にいられたのか。今度大雪のとき、人間の姿になってたずねてくるかもしれないぞ」
「と、とんでもない!」
 俳人は、雪女につめたい息をかけられ、つめたくなって死んだ男の話しを思いだして、からだがブルブルとふるえました。
 しかし、次の年がきて、何度も大雪が降ったけれど、俳人の庭にはあのとき以来、雪女の現れることはなかったといいます。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → サイフの日
きょうの誕生花 → れんげそう
きょうの誕生日 → 1971年 ユースケ・サンタマリア (タレント)

きょうの新作昔話 → 子ザルのまつ
きょうの日本昔話 → 庭に現れた雪女
きょうの世界昔話 → ワタの花と妖精
きょうの日本民話 → 八人浦島物語
きょうのイソップ童話 → 馬と兵隊
きょうの江戸小話 → 越後屋

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3月11日の日本の昔話 ネコに教わった剣の道

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3月11日の日本の昔話

ネコに教わった剣の道

ネコに教わった剣の道

 むかしむかし、あるところに腕のたつさむらいがいました。
 さむらいは、剣のほかに囲碁(いご)が大好きで、毎晩のように、仲間を集めては夜おそくまで碁(ご)をうっています。
 ところが、あるばんのこと、急に行灯(あんどん→詳細)の明かりが消えました。
 ふしぎに思って油皿を調べてみたら、すっかり油がなくなっています。
 さっそく家の者を呼んで注意したら、
「油がきれるなんてとんでもない。朝までもつようにと、たっぷり入れておきました」
と、言うのです。
 しかたなく新しい油をついで、碁をうちはじめましたが、しばらくすると、また明かりが消えます。
「これはあやしい。何者かが油をなめに来るにちがいない」
 そこで明かりをつけたまま、部屋をはなれて外から中をのぞいていたら、なんと、イタチほど(イタチの体長は、約三十センチ)もあるネズミが現れ、行灯にのぼって油(ネズミは油が好物で、油でできた石けんなども食べます)をなめはじめたではありませんか。
「さては、ネズミのしわざであったか」
 おこった家の者が、中へとびこもうとするのを押さえて、さむらいが言いました。
「待てまて、あのくらいの古ネズミともなれば、あとでどんな仕返しをされるかわからない。わしらが手をくだすより、ネコを連れてきたほうがいい」
 つぎの日、となりの家からネコをかりてきました。
 行灯の皿にたっぷりと油を入れ、ネズミの現れるのを待ちます。
 やがて、天井からきのうのネズミがおりてきて、行灯のそばへ近づいていきました。
「それっ!」
 抱きかかえていたネコをはなすと、ネコはいきなり部屋にとびこみました。
 ところが、ネズミはおどろいたようすもなく、ヒラリと体をかわし、ネコをにらみつけます。
 ネコも負けずにネズミをにらみつけ、今にもとびかからんばかりに、低いうなり声をあげました。
 次のしゅんかん、
「ギャオオオーッ!」
 鋭い叫びをあげて、ネコがネズミにかみつきましたが、おどろいた事に、それより先にネズミがネコののどぶえをかみ切っていたのです。
 ネズミはネコをふり落すと、そのまま、ゆうゆうと天井へのぼっていきました。
「なんという、ばけネズミだ。これでは、並のネコでは、とても歯がたつまい」
 今度は、近所でも評判のかしこいネコを借りてきました。
 なるほど、見るからに美しいネコで、その落ちつきはらった態度は、ネコとは思えないくらいです。
 ネコは、なぜここへつれてこられたのかがわかるらしく、夜になると、自分から部屋のすみにかくれて、ネズミが現れるのを待っていました。
 そして、ネズミが現れてもすぐにはとび出さず、ゆっくりと近づいていき、
「ニャオーン」
と、鳴きました。
 ネズミも足を止め、ネコの方に向きなおると、サッと身がまえます。
 ネコはそれでも動こうとせず、静かにネズミをにらんだままです。
 二匹がにらみあったまま、長い時間がすぎました。
「いったいどうしたのか」
 さむらいも家の者も、かくれたまま、かたずをのんで見守っています。
 ついにがまんのできなくなったネズミが、ネコにとびかかりましたが、ネコは相手をネコパンチでたたき落とすと、そののどぶえにかみついたのです。
「チューーーゥ!」
 ネズミはそれっきり、ピクリとも動きません。
「なんともみごとな技よ。まるで、剣のこころえがあるようじゃ」
 さむらいはすっかり感心して、思わずつぶやきました。
「勝負というものは、しょうじにうつる、日ざしのようなものだ。強い日の力でもってすれば、うすいしょうじ紙をやぶることなど、じつにかんたんである。だが、日ざしはけっして無理をしない。長い間、しずかな日ざしでてらしているうちに、紙はだんだんと薄くなり、ついに破れてしまう。すると日ざしはすかさず、部屋の中までさしこむ。どんなに力の弱いてきでも、こちらからやっつけるのはむずかしい。あいてががまんできずにおそいかかってくるしゅんかんこそ、たおすべき時である。なぜなら、相手はあせっていて、力の半分も出しきれないからだ。これは武芸者(ぶげいしゃ)たるものが、常に考えなくてはいけないことである」
 ネコに剣の道を教わったさむらいは、それいらい、どんな動物にも学ぶことがあると、心を入れかえて修行をつみ、だれにもまけない剣道の名人になったといいます。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → パンダ発見の日
きょうの誕生花 → ゆきやなぎ
きょうの誕生日 → 1938年 梅宮辰夫 (俳優)

きょうの新作昔話 → 庭はきこさじ
きょうの日本昔話 → ネコに教わった剣の道
きょうの世界昔話 → 七つの星
きょうの日本民話 → 草葉のかげ
きょうのイソップ童話 → 子ジカと母ジカ
きょうの江戸小話 → 水中の小判

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3月10日の日本の昔話 八人の真ん中

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3月10日の日本の昔話

八人の真ん中

八人の真ん中

 むかしむかし、彦一(ひこいち→詳細)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
 ある日、お城から彦一のところへ、こんな知らせが届きました。
《若さまの誕生祝いをするから、お城へ参れ、庄屋(しょうや→詳細)とほかに村の者を六人、あわせて八人。きっかり八人で来るように》
「お城から、およびがかかるとは、ありがたいこっちゃ」
 庄屋さんは、誰とだれを連れていこうか、六人をえらびだすのに苦労(くろう)しています。
 しかし彦一は、その手紙を見ながら考えました。
「この、八人きっかりと、念を押しているところがあやしいな。あの殿さまのことだ、また、なにかたくらんでいるにちがいないぞ」
 さて、今日はお城にいく日です。
 いわれた通り、彦一と庄屋さん、それに選ばれた六人の村人の、きっかり八人がそろいました。
 庄屋さんと彦一以外の六人の村人たちは、生れてはじめてお城の中に入るので、少しきんちょうしています。
「おら、ごちそうの食べ方が、わからねえだ」
「おらもだ。どうするべ」
 すると彦一が、
「なあに、庄屋さんのまねすりゃいいだよ」
 その言葉に安心した六人は、
「それもそうだな。わはははははっ」
 そうこう言っているあいだに、八人はお城に着きました。
 大広間では、すでに若さまのお誕生日を祝う会が始まっています。
 正面の高いところに、殿さま、奥さま、若さま、そしてまわりに大勢の家来達や、お付きの人達がいます。
「若さまのお誕生日、おめでとうございます」
と、庄屋さんがあいさつをしました。
 八人とも大広間のすみで、小さくなっていました。
「おう、参ったか、彦一め。うむ、きっかり八人できたな、わははは」
 殿さまの笑い声からすると、やはり、なにかをたくらんでいる様子です。
「こっちへ参れ。くるしゅうないぞ。若もその方が喜ぶ。さあ、遠慮するな」
 いわれて、彦一たちは、殿さまの席の近くまで、ゾロゾロとすすみました。
「さて、一つ注文をいたす。彦一は、ならんだ八人のちょうどまん中にすわるようにいたせ。よいな」
 そういうと、殿さまは若さまを見ながら、ニヤニヤと笑いました。
 やはり、殿さまたちのはかりごとだったのです。
 急な注文なので、彦一がボンヤリしていると、こんどは若さまの声がとんできました。
「彦一、これができなければ、このままお帰り!」
 家来やお付きたちは、みんな飲み食いをやめて、ジッと彦一を見つめています。
 人数が、五人とか、七人とか、九人だったら、右左どちらからかぞえても、ちょうどまん中になる席ができます。
 けれども、八人ではそうはいきません。
「あの小僧。知恵者だと評判だが、どうするつもりだろう?」
「しかし、殿さまもお人が悪い。八人では、どう考えても、まん中にはすわれんではないか」
 けらいたちは、声をひそめて話していましたが、やがて大広間は、水を打ったようにシーンとなりました。
「おい、彦一。こりゃむりだ。あやまって帰るべえ」
 ひや汗をながしながら、庄屋さんは彦一のそでを引きました。
 その時、彦一に名案(めいあん)がうかびました。
「殿さま、私がまん中になれば、どんなすわり方をしてもいいのですか?」
「ああ、いいとも。ただし、上にかさなるのはだめじゃ」
「承知しました」
 彦一はニッコリ笑うと、
「みんな、私をかこんで、まるくなっておくれ。これなら、どこから見ても、私はちょうどまん中だ」
 みんなはいわれたとおり、彦一を中心(ちゅうしん)にして、まるく車座(くるまざ→輪になってすわること)にすわりました。
 これなら、七人でも八人でも、ちゃんとまん中ができます。
「うむ、あっぱれだ! 彦一よ。今度もそちの勝ちじゃ」
 殿さまの言葉に、家来も庄屋さんたちも、どっと声をあげました。
「これ、はやくお膳(ぜん)を用意をせい。それから、ほうびもじゃ」
 庄屋さんたちは、彦一のとんちのおかげで、たっぷりとごちそうになり、上機嫌(じょうきげん)で帰って行きました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 砂糖の日
きょうの誕生花 → ルピナス(のぼりふじ)
きょうの誕生日 → 1975年 山田花子 (タレント)

きょうの新作昔話 → ばめんの猫
きょうの日本昔話 → 八人の真ん中
きょうの世界昔話 → 動物のことば
きょうの日本民話 → ドロボウを追い出したおばけ
きょうのイソップ童話 → カメとワシ
きょうの江戸小話 → 外のほうがまし

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3月9日の日本の昔話 空き家でおどるネコ

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3月9日の日本の昔話

空き家でおどるネコ

空き家でおどるネコ

 むかしむかし、ある家に一匹のネコが飼われていました。
 みんなからかわいがられ、まるで人間みたいにいばっていましたが、年をとってヒゲは白くなり、一日中いねむりばかりしています。
 ところが、いつのころからか、夜になると家をぬけだし、朝までもどってこないことが多くなりました。
(はて、いったい、どこへ行くのだろう?)
 ふしぎに思ったおやじさんが、ある晩、こっそりネコの後をつけてみました。
 そんなこととは知らないネコは、後をふり向きもせず、ドンドン歩いていき、村はずれの一軒家へ入っていきました。
 その家は、ずっと前から空き家になっていて、手入れをする者もいないため、まるでお化け屋敷のようです。
(はて、こんな家にいったい、なんの用があるのか)
 おやじさんが、破れたしょうじの穴から中をのぞいてみると、明かりもないのに、部屋の中がハッキリと見えます。
 壁には古蓑(ふるみの→わらなどをあんでつくった雨カッパ)や古笠(ふるがさ→雨をさけるためのぼうし)がかけてあり、ほころびたたたみの上には、古ザルや茶がまや、お酒を入れるとっくりがころがっています。
と、ふいにどこからともなく、にぎやかな三味線(しゃみせん→詳細)の音が聞こえてきました。
 そのとたん、古蓑や古笠が、ひとりでに壁からはなれて、ピョンピョンとおどりはじめたのです。
 そればかりか、古ザルや茶がまやとっくりまでが、フワリと浮きあがり、三味線の音にあわせておどります。
 おやじさんはビックリして、
(おらの家のネコはどこへ行った?)
と、目でさがしてみたら、なんと古だなの上にいて、足をあげたりさげたり。
 そのうちに、大きな声で、
♪古みの、古がさ、よいこらしょ。
♪古ザル、茶がまに、とっくりこ。
♪それ、スチャラカ、チャンチャン。
と、歌いだしました。
 その、にぎやかで楽しいこと。
 おやじさんも、ついにがまんできなくなり、
♪古みの、古がさ、よいこらしょ。
♪古ザル、茶がまに、とっくりこ。
♪それ、スチャラカ、チャンチャン。
と、歌いながら、その部屋に入っていき、そこに落ちていたしゃもじを持って踊りはじめました。
 すると、古だなの上にいたネコが、ビックリした顔でとびおり、外へとび出していきます。
 同時に道具たちも踊りをやめ、見る見る部屋の中が暗くなりました。
 おやじさんは急にこわくなり、しゃもじを持ったまま外へ出て、そのまま後も見ずにかけだしました。
 無事に家へもどって、ネコが帰るのを、いまかいまかと待っていましたが、それっきりネコは帰ってこなかったそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → レコード針の日
きょうの誕生花 → あせび
きょうの誕生日 → 1959年 バービー (人形)

きょうの新作昔話 → 永平寺(えいへいじ)の五百羅漢(ごひゃくらかん)
きょうの日本昔話 → 空き家でおどるネコ
きょうの世界昔話 → 旅にでた神さま
きょうの日本民話 → 美しい山姫
きょうのイソップ童話 → 牛追いとヘラクレス
きょうの江戸小話 → 走る名人

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3月8日の日本の昔話 エビの腰はなぜまがったか

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月8日の日本の昔話

エビの腰はなぜまがったか

エビの腰はなぜまがったか

 むかしは、だれもが一生に一度は、お伊勢(いせ)まいりをしたいと考えていました。
 ある日、この世で自分がいちばん大きいと思っているヘビが、お伊勢まいりにいくことになりました。
 大きな体をズリズリひきずりながら、ヘビは太陽がギラギラとてりつける道をはっていきます。
「なんて暑いんじゃ、かなわんのう」
と、そこへ、なんともすずしげな日かげが、目の前にひろがりました。
「へっへっへ、こりゃありがたい。まるで生きかえったようじゃあ」
 日かげで休んで元気になったヘビは、またズリズリとすすみます。
 するととつぜん、ものすごい風がふいたかと思うと、ヘビはふっとばされてしまいました。
 なんとそれは、大きな大きなワシの羽ばたきだったのです。
 あのすずしい日かげは、ワシのかげでした。
 あまりのことに、ヘビがぼうぜんとしていると、ワシがいいました。
「ははは、おどかしてわるかったのう。なにせ、わしくらい大きいものは、この世におらんけん。わしが一度羽ばたけば、下はあらしになるほどじゃよ」
「・・・・・・」
「そんなにおどろかんでもええ。べつにとって食ったりはせんから。・・・さて。これから、お伊勢まいりにいくとするか。そこのちっこいの、なにかにつかまっていたほうがええぞ、とばされるでな」
 ワシが大きく羽ばたくと、すごい風がまきおこりました。
 そして三度ほど羽ばたくと、そこはもう、海の上でした。
 それでも、お伊勢さまにはなかなかつきません。
 日のくれるころには、さすがのワシもつかれてきました。
 すると、なにやら棒のようなものが、海からつきでています。
 ワシは、これに止まって休むことにしました。
「これは楽じゃ」
 こうして、一晩ゆっくり羽をやすめたワシは、つぎの朝、またお伊勢さまめざしてとびたちました。
 それから一日じゅうとびつづけましたが、まだお伊勢さまにはつきません。
「ふう、お伊勢さまとは、えらい遠いところじゃ。そろそろ休みたいが、どこかによい場所は・・・。おおっ、あったあった」
 ゆうべ休んだのとおなじような棒が、また、海の中からつきでていました。
 ワシは、やっとの思いで、この棒にしがみつきましたが、
「こりゃあ! だれじゃい、わしのひげの上にのっかっとるのは? くすぐったくてたまらんよ、はよ、おりんか」
と、いう声とともに、棒が波をわって、ドドドーーッと持ちあがりました。
「ヒェーー!」
 上に持ちあげられたワシは、下を見てビックリ。
 ワシがのっかっていたのは、大きい大きい伊勢(いせ)エビのひげの先だったのです。
 つまり、ワシは伊勢エビの片方のひげからもう片方のひげへと、一日かかってとんだだけだったのでした。
「ウヒャーー! 海には、こんな大きいやつがいたんかあ」
「これ、いつまでひげの上にのっかっとるんじゃ。くすぐったくてたまらん」
と、エビがうるさそうにひげをふりまわすと、その勢いで、ワシは遠くへふっとんでしまいました。
 こんどは、伊勢エビがお伊勢まいりに出かけました。
 ところがそんな伊勢エビでも、なかなかお伊勢さまにはつきません。
 やがて夕方になり、つかれた伊勢エビは、大きな山のまん中に、体を休めるのにちょうどいい穴を見つけて、その中にもぐりこみました。
 つかれていた伊勢エビは、すぐにねむってしまいました。
「ああー、よくねた。さて、そろそろ出発しようか」
と、穴から出ようとしたとき、穴から水がふきだして、伊勢エビは空高くふきとばされてしまいました。
 なんと、伊勢エビが休んでいた穴は、大きな大きなクジラのしおふきの穴だったのです。
 そして、クジラにふきとばされた伊勢エビは、はるかかなたまでとんでいって、岩の上に落ちたのですが、そのときにひどくこしをうってしまい、こしがまがってしまいました。
 それからだそうです。
 エビのこしがまがったのは。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ミツバチの日
きょうの誕生花 → ニゲラ(くろたねそう)
きょうの誕生日 → 1939年 高木ブー (タレント)

きょうの新作昔話 → チョウチョウの姉妹の雨宿り
きょうの日本昔話 → エビの腰はなぜまがったか
きょうの世界昔話 → 三人兄弟
きょうの日本民話 → テングの鼻いれ穴
きょうのイソップ童話 → ヒツジ飼いと海
きょうの江戸小話 → つらの皮

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3月7日の日本の昔話 ばか坊主

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月7日の日本の昔話

ばか坊主

ばか坊主

 むかしむかし、ある村に吾作(ごさく)という、のんきな男がいました。
 その吾作は大の酒好きで、朝から晩まで酒ばかりのんでいるのです。
 酒をのめば、フラフラと外へ出かけ、所かまわずに寝てしまうので、女房もホトホト困りはてていました。
 ある日のこと、吾作はいつものように大酒をくらい、道の上に大の字になって眠りこけていました。
 するとそこへ、村の若いものが三人通りかかり、
「おお、なんとだらしない男じゃ。女房子供がありながら、働きもせんとまっぴるまから、酒ばかり飲みやがって。こんな奴は頭を丸坊主にしてやろう」
 そこで三人の若者は、眠りこけている吾作の頭をかみそりでツルツルにそってしまいました。
 さて、そうとは知らない吾作は、眠りからさめると、ゆっくり立ち上がりました。
 ところが、なんだか頭がすずしいではありませんか。
 そっと頭に手を当ててみると、髪の毛は一本もなく、丸坊主になっているではありませんか。
 吾作はビックリ。
「こっ、これはどうしたことじゃ。この坊主は本当にわしか? いや、わしではあるまい」
 吾作は、自分が自分でないような気がしました。
 そこで、吾作は急いで家に帰り、女房に確かめてもらおうとしました。
「これ、女房、この坊主頭の男は本当にわしか?」
 すると、丸坊主にされた吾作の姿にあきれかえった女房は、怒ってどなりつけました。
「このばか坊主! どこへでも出て行け!」
 ばか坊主といわれた吾作は、
「ああ、やっぱり、わしは今までのわしではない、坊主になってしもうたんじゃ」
と、かんちがいして自分の家を飛び出すと、そのままなんと、ほんとうのお坊さんになってしまい、家には二度と帰ってこなかったそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 消防記念日
きょうの誕生花 → カンパニュラ(ふうりんそう)
きょうの誕生日 → 1957年 オール阪神 (漫才師)

きょうの新作昔話 → お姫さまと松の木
きょうの日本昔話 → ばか坊主
きょうの世界昔話 → 命のランプ
きょうの日本民話 → ネコとちゃんちゃんこ
きょうのイソップ童話 → 自分のかげにとくいになったオオカミとライオン
きょうの江戸小話 → 字のよめぬ犬

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3月6日の日本の昔話 運のいい鉄砲打ち

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3月6日の日本の昔話

うんのいいてっぽううち

運のいい鉄砲打ち

 むかしむかし、あるところに、腕のいい鉄砲打ちがいました。
 あるとき、鉄砲打ちが山へ出かけるしたくをして、家を出ようとすると、うっかり手が滑ってしまい、大切な鉄砲を石の上に落としてしまいました。
「ああ! 鉄砲の先が曲がってしまった。・・・でもまあ、鉄砲の先が曲がっても、何か取れるだろう」
と、そのまま曲がった鉄砲を持って、猟に出かけました。
 鉄砲打ちが出かけた山には大きな池があり、その池にはカモがいて、あちこちで羽を休めています。
「ひい、ふう、みい・・・」
 数えていくと、全部で十六羽います。
「まあ、これだけいれば、曲がった鉄砲でも一羽ぐらいは取れるだろう」
 そう思って、鉄砲打ちは一発撃ちました。
ズドーン!
 すると、その鉄砲の玉はジグザグに飛んでいって、何と全部のカモに当たったあげく、岩に跳ね返って、やぶへ飛び込んでいきました。
「こりゃあ、大漁だ! 曲がった鉄砲のおかげで、大もうけができたわい」
 鉄砲打ちは、ジャブジャブと池に入ると、十六羽のカモを残らずつかまえて、岸にあがりました。
 すると、ふんどしのあたりが、いやにムズムズします。
「なんだ?」
 ふんどしをみると、大きなウナギとナマズが三匹ずつ、中であばれていました。
 ついでに、わらぐつの中もムズムズするので脱いでみると、中からカニやドジョウが出てきました。
「何とも、こんな事もあるもんだな。さあ、もう帰るか」
 鉄砲打ちが引き上げようとすると、やぶの中で、何かが暴れています。
「何だ?」
 見てみると、岩に跳ね返った鉄砲の玉が命中したクマが、苦し紛れに土を引っかいていました。
 クマが引っかいて出来た穴には、おいしそうな山イモがのぞいています。
「ほう。ついでに、これも取っていこう」
 こうして鉄砲打ちは、山イモと、クマと、カニとドジョウと、ナマズとウナギと、十六羽のカモを背負って、山をおりていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → スポーツ新聞の日
きょうの誕生花 → 木立性ベゴニア
きょうの誕生日 → 1984年 ベッキー (タレント)

きょうの新作昔話 → 釣り舟清次のお札
きょうの日本昔話 → うんのいいてっぽううち
きょうの世界昔話 → イーダちゃんの花
きょうの日本民話 → 髪の長い娘とナマズ
きょうのイソップ童話 → しっぽを切られたキツネ
きょうの江戸小話 → ほらふき

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3月5日の日本の昔話 馬に乗る

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月5日の日本の昔話

馬に乗る

馬に乗る

 むかしむかし、きっちょむさん(→詳細)と言う、とてもゆかいな人がいました。
 きょうは朝から、よい天気です。
 きっちょむさんはウマを引いて、山をテクテク登っていきました。
 たきぎを取りにきたのです。
「ほう、よいたきぎがある」
 きっちょむさんは、オノでポンポンと枯れ木の枝を切っていきます。
 しばらくして、たきぎがいっぱいたまりました。
「きょうは、思ったよりもたくさんとれたぞ」
 きっちょむさんは喜んで、ホクホクしながらそれらをなわでむすんで、いくつものたきぎの束(たば)をつくりました。
「さあ、これを背負っておくれ」
と、そのたきぎの束をみんな、ウマの背中へつみあげました。
 やせたウマは、たくさんのたきぎを背負って重いので、まるで地面をはいずるようなかっこうになりました。
 でも、のんきなきっちょむさんは、そんなことを気にもしないで、
「では、帰るとしようかな」
と、ウマの腰を、ポンポンとたたきました。
 ウマはヨタヨタしながら、山の坂をおりていきます。
 その坂の途中まできたとき、きっちょむさんは、やっと、ウマの歩き方がノロノロしていることに気がつきました。
「おや、なんだかヨタヨタしているなあ。おおっ、そうか、そうか。これは気がつかなくて悪かった。こんなにたくさん荷物を背負っては、さぞ重かったろうなあ」
と、ウマの首をなでながら、
「だが、もう安心しろよ。わたしも手伝ってやる。そのたきぎを少し背負ってやるからな」
 そういって、きっちょむさんはウマの背中から、たきぎを二わほどおろしてやりました。
 そしてそれを、
「うんとこしょ!」
と、自分の背中に背負いました。
 それからウマといっしょに歩いていくのかと思いきや、そうではありません。
 たきぎを背負ったきっちょむさんは、そのまま自分もウマの背中の上に乗りました。
「たきぎを二わも背負うと、なかなか重いものだわい」
と、きっちょむさんは汗をかきながら、ウマの背中に乗っています。
「だが、わたしがこれだけでも手伝ってやれば、ウマも助かるだろう」
と、きっちょむさんは、安心したような顔をしています。
 ウマは、そんなきっちょむさんとたきぎを乗せて、前よりも、もっとヨタヨタしながら歩いていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 珊瑚の日
きょうの誕生花 → くんしらん
きょうの誕生日 → 1957年 北条司 (漫画家)

きょうの新作昔話 → 大蛇になった八郎
きょうの日本昔話 → 馬に乗る
きょうの世界昔話 → タニシ王子
きょうの日本民話 → 観音さまと殿さま
きょうのイソップ童話 → 戦争の神とらんぼうの女神
きょうの江戸小話 → 春はさぞかし

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3月4日の日本の昔話 生あるものは

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月4日の日本の昔話

生あるものは

生あるものは

 むかしむかし、ある寺に、和尚(おしょう→詳細)さんと小坊主がすんでいました。
 和尚さんは、カキが大すきです。
 秋になると、寺のカキの実を自分一人で、毎日うまそうに食べていました。
 さて、秋も終りに近いある日のこと。
 和尚さんが外出し、一人で留守番をしていた小坊主は、カキの木に真っ赤に色づいた実が二つだけぶらさがっているのをながめていました。
「ああ、なんとうまそうなカキの実じゃ。せめて一つだけでも食うてみたいものよ」
 そんなことを思っていた小坊主は、とうとうがまんできずに木に登り、カキの実を一つ食べてしまいました。
 そのカキのおいしいこと。
 小坊主は、われを忘れて、二つとも食べてしまいました。
 ところが、ふと、われにかえった小坊主は大あわてです。
 和尚さんの大好物(だいこうぶつ)のカキを食べてしまったからには、和尚さんはカンカンになって怒るはず。
 なんとか和尚さんを怒らせない方法はないかと、考えました。
 あれこれ考えて寺の中をうろうろしていると、うんわるく、和尚さんが大事にしていた、ちゃわんを割ってしまいました。
 カキのことはともかく、大事なちゃわんまでも。
 さて、夕方になり和尚さんは帰ってきました。
 その和尚さんに、小坊主はこういいました。
「和尚さまの留守中に、旅の坊さんが来られまして、私に問答(もんどう→ちしきをきそいあう修行)されました。『生あるものは・・・』と、聞かれましたが、私には答えることができませんでした」
 それを聞いた和尚さんは、ニッコリ笑って、
「そうか、そうか、そのように問われたならば『必ず滅(めっ)す』と答えるのじゃ。生あるものは必ず滅す。そして形あるものは必ずこわれるもの。それはしかたのない事じゃ」
 和尚さんがこういったとたん、小坊主はサッとわれたちゃわんを目の前にさし出しました。
「和尚さま、許して下さい。大事なちゃわんをわるやら、おまけに、カキまでも食べてしまいました」
 これには、さすがの和尚さんもまいりました。
 怒るに怒れず、にがわらいで小坊主をゆるしてやりました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ミシンの日
きょうの誕生花 → アザレア
きょうの誕生日 → 1961年 浅野温子 (俳優)

きょうの新作昔話 → 大浪の池
きょうの日本昔話 → 生あるものは
きょうの世界昔話 → おばあさんの子ブタ
きょうの日本民話 → 嫁さんになったイチョウの木の精
きょうのイソップ童話 → ロバをかう人
きょうの江戸小話 → やっとわかった

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3月3日の日本の昔話 タヌキの糸車

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月3日の日本の昔話

タヌキの糸車

タヌキの糸車

 むかしむかし、山奥に、きこりの夫婦が住んでいました。
 きこりは木を切って炭を焼き、おかみさんは糸車を回して、糸をつむいで暮らしていました。
 きこりが仕事でいない昼間、タヌキがときどきやってきて、食ベ物を食いちらかすようになりました。
 それで夫婦は、なベやおひつに大きな石をのせて、タヌキが取って食べないようにしましたが、それでもタヌキは、夜になるとやってきて、家の前でポンポコ腹つづみを打ったり、踊ったりのイタズラをします。
 きこりは腹をたてて。
「さわがしいやつだ。今にワナをしかけて、つかまえてやる!」
 月のよい晩、おかみさんが糸車を回していると、しょうじの破れ目から、タヌキの黒い目玉がクルクルクルと動いています。
 そして、今度はおかみさんのまねをして、タヌキは糸車を回すかっこうをしました。
「かわいいタヌキじゃのう」
 こうして、タヌキはおかみさんを喜ばせました。
 そして、ある晩のこと。
「ギャンギャン!」
 裏山でタヌキの声がしました。
 おかみさんが見に行くと、あのタヌキがワナにかかって、木からぶらさがっています。
「かわいそうに、うちの人がかけたワナにかかったのだね」
 おかみさんは、そっとワナを取ってやりました。
「気をつけないと、タヌキ汁にされてしまうよ」
 タヌキは何度もふり返りながら、森の中へ帰っていきました。
 山に冬がくると、きこり夫婦はふもとにおりて小さい家で暮らします。
 おかみさんは、
(あのタヌキはどうしているかのう?)
と、ときどきタヌキを思い出していました。
 さて、春が来て、夫婦はまた山の家へ戻ってきました。
 家に入り、座敷にあがったおかみさんは、「あっ!」とおどろきました。
 白い糸が、山のように積まれているのです。
 ほこりだらけになっているはずの糸車は、みがかれてピカピカに光っています。
「なんと、ふしぎな」
 おかみさんが、ボーッと見ていると、
「さあさあ、いつまでもつっ立っていないで、家のそうじをしろ」
 きこりはそういうと、炭焼きがまを見に出ていきました。
 おかみさんはそうじをして、ごはんをたきに、かまどの前にすわっていると、
 キイカラ、キイカラと、糸車の回る音がしてきました。
「おやっ?」
と、思って、そうっと座敷のほうを見ると、
「あれっ、タヌキだ」
 おかみさんは息をのみました。
 いつのまにかやってきたタヌキが、それはじょうずに糸車を回して、糸をつむいでいたのです。
 キイカラ、キイカラ
 キイカラ、キイカラ
 おかみさんは、声もたてずに見とれていました。
 タヌキは、ひととおり巻き終わると、糸をはずして、いつもおかみさんがしていたとおり、きれいにまとめて積みかさねます。
 そして、タヌキは満足そうな顔をして、あたりを見回しました。
 その目が、おかみさんの目とあうと、タヌキはうれしそうにおじぎをして、森へ帰っていきました。
「ありがとよ、タヌキ。おまえは一年分の糸をつむいでくれたんだね」
 おかみさんは、いつまでもいつまでも、タヌキの後ろ姿を見送りました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 雛祭り(ひなまつり)
きょうの誕生花 → はなもも
きょうの誕生日 → 1958年 栗田貫一 (タレント)

きょうの新作昔話 → 島女(しまじょ)の祠(ほこら)
きょうの日本昔話 → タヌキの糸車
きょうの世界昔話 → ふしぎな楽人
きょうの日本民話 → カエルの恩がえし
きょうのイソップ童話 → 王さまライオン
きょうの江戸小話 → オオカミと山犬のちがい

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3月2日の日本の昔話 岩になった鬼

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 3月の日本昔話

3月2日の日本の昔話

岩になった鬼

岩になった鬼

 むかしむかし、深い山おくに、鬼の親子が住んでおりました。
 ある日のこと、鬼は子鬼を肩に乗せて、山のふもと近くまでおりてみました。
 すると、ひとりのおじいさんが、小さな女の子の手を引いて、トボトボとやってきます。
 おじいさんは空をあおいで、手を合わせておがみだしました。
 鬼は思わず、
「じい、なにをしとる」
と、声をかけました。
 おじいさんは、いきなり雷のような声がふってきたので、ビックリして見あげると、おそろしい鬼の顔が見おろしています。
「ヒェーーッ!」
 腰をむかしたおじいさんに、鬼は今度はやさしく、
「こわがらんでもよい。なにをしとるか、いうてみれ」
と、声をかけてきました。
「あの、わしらはこの下の浜辺の者だが、毎年、夏になると、海が荒れて、家の者が大波にひとりさらわれ、ふたりさらわれ、とうとうこの孫と、ふたりぼっちになってしまいましたのじゃ。そこで神さまに、海が荒れんよう、お祈りしとるところですじゃ」
 鬼は手をかざして、海を見おろしました。
「そうか、それは気の毒にのう」
 それからしばらくたった、ある日の朝。
 鬼が目をさますと、外はたいへんなあらしでした。
 鬼は、ハッとあのおじいさんのことを思い出し、うなり声をあげて立ちあがりました。
 鬼はいきなり、小山ほどもある岩に抱きつくと、
「うりゃあっ!」
と、持ちあげて、ズデーンとほうり出しました。
 続けて鬼は、もう一つの大岩もゆさぶり持ちあげ、ズデーンとほうり出しました。
 そして鬼は、長い鉄棒で二つの岩に穴をあけると、だんごのようにつきさし、岩を通した鉄棒をかつぎあげて、子鬼にやさしくいいました。
「おとうは浜へいく。おまえはここで、おとなしゅう待っとれ」
「いやだ、いやだ、おれもいくぅ」
「・・・そんなら、この岩の上に乗れ」
 鬼は腰がくだけそうになるのをこらえて、一足、一足と、山をくだっていきました。
 海は白いキバのような波をもりあげ、ドドーッと押し寄せてきます。
 村人が波に押し流されまいと、家やクイに、必死でしがみついています。
 鬼は子鬼に、
「おりろ、ここで待つんだ」
と、いいましたが、子鬼は首を振っておりません。
「ようし、そんなら泣くなよ!」
 鬼はそういうと、足を海へふみ出しました。
 波はくるったように押し寄せ、鬼にぶつかってきます。
 鬼は首を振り、うなり声をあげて進みましたが、すさまじい波に足をさらわれて、ドテンと倒れました。
 しかし、鬼は倒れながらも、岩の上の子鬼をおぼれさせまいと、岩を高くさしあげ、そのままズブズブと海に入り、ついに姿が見えなくなってしまいました。
 波は鬼のからだと、さしあげた岩にさえぎられ、やがて海は静かになっていきました。
 そしていつのまにか、鬼の体は岩になりました。
「おとう!」
 岩の上で子鬼はワンワンと泣きました。
 泣いて泣いて、泣き疲れて、その子鬼もとうとう小さな岩になりました。
 今でもこの浜には、2つの大岩と、その上にちょこんとのっている小岩が残っているそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 遠山の金さんの日
きょうの誕生花 → アイスランド・ポピー
きょうの誕生日 → 1956年 原順子 (歌手)

きょうの新作昔話 → 安国寺の桜
きょうの日本昔話 → 岩になった鬼
きょうの世界昔話 → 四人の子ども
きょうの日本民話 → 龍神さまの掛軸
きょうのイソップ童話 → (うれしいこと)と(いやなこと)たち
きょうの江戸小話 → トンビとカラスの話

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3月1日の日本の昔話 ツルの恩返し

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3月1日の日本の昔話

ツルのおんがえし

ツルの恩返し

♪ 朗読再生

 むかしむかし、貧しいけれど、心のやさしいおじいさんとおばあさんがいました。
 ある寒い冬の日、おじいさんは町へたきぎを売りに出かけました。
 すると途中の田んぼの中で、一羽のツルがワナにかかってもがいていたのです。
「おお、おお、かわいそうに」
 おじいさんは、かわいそうに思って、ツルを逃がしてやりました。
 するとツルは、おじいさんの頭の上を三ベん回って、
「カウ、カウ、カウ」
と、さもうれしそうに鳴いて、飛んでいきました。
 その夜、日ぐれごろから降りはじめた雪が、コンコンとつもって大雪になりました。
 おじいさんがおばあさんに、ツルを助けた話をしていると、表の戸を、トントン、トントンと、たたく音がします。
「ごめんください。開けてくださいまし」
 若い女の人の声です。
 おばあさんが戸を開けると、頭から雪をかぶった娘が立っていました。
 おばあさんはおどろいて、
「まあ、まあ、寒かったでしょう。さあ、早くお入り」
と、娘を家に入れてやりました。
「わたしは、このあたりに人をたずねてきましたが、どこをさがしても見あたらず、雪はふるし、日はくれるし、やっとのことで、ここまでまいりました。ご迷惑でしょうが、どうか一晩、泊めてくださいまし」
 娘は、ていねいに手をついて頼みました。
「それはそれは、さぞ、お困りじゃろう。こんなところでよかったら、どうぞ、お泊まりなさい」
「ありがとうございます」
 娘は喜んで、その晩は食事の手伝いなどをして、働いてやすみました。
 あくる朝、おばあさんが目をさますと、娘はもう起きて働いていました。
 いろりには火が燃え、なべからは湯気があがっています。
 そればかりか、家中がきれいに掃除されているのです。
「まあ、まあ、ごはんばかりか、お掃除までしてくれたのかね。ありがとう。」
 次の日も、その次の日も大雪で、戸を開けることもできません。
 娘は、おじいさんの肩をもんでくれました。
「おお、おお、なんてよく働く娘さんじゃ。なんてよく気のつくやさしい娘さんじゃ。こんな娘がうちにいてくれたら、どんなにうれしいじゃろう」
 おじいさんとおばあさんは、顔を見あわせました。
 すると娘が、手をついて頼みました。
「身寄りのない娘です。どうぞ、この家においてくださいませ」
「おお、おお」
「まあ、まあ」
 おじいさんとおばあさんは喜んで、それから三人、貧しいけれど、楽しい毎日をすごしました。
 さて、ある日の事。
 娘が機(はた)をおりたいから、糸を買ってくださいと頼みました。
 おじいさんが糸を買ってくると、娘は機の回りにびょうぶを立てて、
「機をおりあげるまで、決してのぞかないでください」
と、いって、機をおりはじめました。
 キコバタトン、キコバタトン。
 娘が機をおって、三日がたちました。
 ようやく機をおりおえた娘は、
「おじいさま、おばあさま、この綾錦(あやにしき→美しい布の事)を町へ売りに行って、帰りにはまた、糸を買ってきてください」
と、娘は空のくものように軽い、美しいおり物を二人に見せました。
「これは、素晴らしい」
 おじいさんが町へ売りに行くと、それを殿さまが高い値段で買ってくれました。
 おじいさんは喜んで、糸を買って帰りました。
 すると娘はまた、機をおりはじめました。
「ねえ、おじいさん。あの娘は、いったいどうして、あんな見事な布をおるのでしょうね。・・・ほんの少し、のぞいてみましょう」
 おばあさんが、びょうぶのすきまからのぞいてみると、そこに娘はいなくて、やせこけた一羽のツルが、長いくちばしで自分の羽毛を引きぬいては、糸にはさんで機をおっていたのです。

つるの恩返し

「おじいさん、おじいさんや」
 おどろいたおばあさんは、おじいさんに、この事を話しました。
 キコバタトン、キコバタトン・・・。
 機の音がやんで、前よりもやせ細った娘が、布をかかえて出てきました。
「おじいさま、おばあさま。もう、かくしていても仕方ありませんね。わたしは、いつか助けられたツルでございます。ご恩をお返ししたいと思って娘になってまいりました。けれど、もうお別れでございます。どうぞ、いつまでもおたっしゃでいてくださいませ」
 そういったかと思うと、おじいさんとおばあさんが止めるのも聞かず、たちまち一羽のツルになって空へまいあがりました。
 そして、家の上を三ベん回って、
「カウ、カウ、カウ」
と、鳴きながら、山の向こうへ飛んでいってしまいました。
「ツルや。いや、娘や。どうか、お前もたっしゃでいておくれ。・・・今まで、ありがとう」
 おじいさんとおばあさんは、いつまでもいつまでも、ツルを見送りました。
 それからのち、二人は娘のおった布を売ったお金で、しあわせに暮らしました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 豚の日
きょうの誕生花 → エリカ
きょうの誕生日 → 1952年 峰竜太 (俳優)

きょうの新作昔話 → 泡原(あわら)の長者
きょうの日本昔話 → ツルのおんがえし
きょうの世界昔話 → 青い鳥
きょうの日本民話 → 目玉だらけ
きょうのイソップ童話 → 馬とロバ
きょうの江戸小話 → 目をさます

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