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2009年4月

4月30日の日本の昔話 クジラと海のいかり

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月30日の日本の昔話

クジラと海のいかり

クジラと海のいかり

 むかしむかし、クジラとりの村で、長いこと不漁がつづき、村のみんなは困っていました。
 そのころは、お百姓(ひゃくしょう→詳細)が米をねんぐとして代官所(だいかんしょ→江戸時代、地方をおさめた役所)などへおさめたように、そこの漁師たちも、クジラの肉を殿さまへおさめていたのです。
 クジラがやってこなくては、ねんぐをおさめたくてもおさめられません。
 ほんとうにこまっていると、ある夜、親方がふしぎなゆめを見ました。
 紋付き(もんつき)の着物をきたクジラの親がきて、
「わたしらは、あす、熊野まいり(くまのまいり→和歌山県熊野三社へのおまいり)に、子クジラをつれて、この沖を通ります。どうか、こんどばかりはお見のがしください」
と、熱心にたのむのです。
 親方は、熊野まいりだというので、
「よろしい。あすは船をださん」
と、かたくやくそくしました。
 つぎの朝早く、山の見はりに、あいずののろしがあがりました。
「クジラがきたぞ!」
と、漁師たちは小おどりして、浜へいそぎました。
 親方はおどろいて、「船を出すな!」と、とめましたが、みんなききません。
 ゆうべのふしぎなゆめの話をすると、漁師たちはわらって、つぎつぎに船をこぎだしました。
 しおをふきあげ、沖にすがたをあらわしたのは、子づれのセミクジラでした。
 このセミクジラが、いちばんお肉がおいしく、お金ももうかりました。
 親方とのやくそくを信じきっていたのか、船が近づいてきても、セミクジラの親子は、ゆうゆうと泳いでいきます。
 やがて、漁師たちの船は、親子クジラをとりまき、親クジラの頭にアミをかけました。
 ハザシとよばれる漁師が、船をこぎよせ、一番モリを親クジラにうちこみました。
 そのとたん、おこった親クジラは、おそろしいいきおいで、漁師たちの船におそいかかりました。
 ふかくもぐったかとおもうと、たちまち山のような巨体をあらわして、漁師の船を空へもちあげ、また、つよい大きな尾で、べつの船をこっぱみじんにたたきわりました。
 しかも、空がにわかにくもり、すみをながしたように、まっくらになったのです。
「シケがきたぞ。つなを切れ」
 漁師たちが気づいたときは、おそすぎました。
 突風がふきだし、海はあわだって、二、三十そうもの船は、かたっぱしから波にのまれていきました。
 ぶじに浜へもどることができた漁師は、ひとりもいなかったそうです。
 そして、このことがあってから、
「セミ(セミクジラ)の子づれは、ゆめにもみるな」
と、どこの浜でもいわれるようになったのでした。

おしまい

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4月29日の日本の昔話 タコとり長兵衛

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4月29日の日本の昔話

タコとり長兵衛

タコとり長兵衛

 むかしむかし、あるところに、まい日タコをとり、それを売ってくらしている、タコとり長兵衛(ちょうべえ)という男がいました。
 ある日、ずっと遠くのにぎやかな町まで、タコ売りにいったところ、大きな家の前に『おれの家のむすめをもらいたいとおもう人は、だれでもなかに入ってこい』という、かんばんを見つけました。
 長兵衛は、
「おれのようなものがいっても、あいてになってくれるだろうか?」
と、思いましたが、そのまま入っていきました。
「あの、かんばんをみて、まいりました」
 すると、おくから番頭(ばんとう→詳細)がでてきて、
「おまえは、なんていう名前の人だ?」
「おれは、あしのくらの千軒町(せんげんちょう)からきた、タコとり長兵衛というもの。そこは、ねていて朝日夕日をおがむにいいところだ」
「それは、たいしたところだなあ」
と、おくにとりついでくれました。
 親たちはそれをきいて、むすめをよび、
「ずいぶん遠いところのようだが、おまえはどうするつもりかな」
と、ききました。
 すると、いつもへんじをしなかったむすめが、
「いくことにする」
と、いったのです。
 長兵衛はよろこんで、
「いついつかの、いつごろむかえにくるから」
と、やくそくして、その日はかえっていきました。
 いよいよその日になりましたが、長兵衛からは、なんのたよりもありません。
 父はしかたなく、むすめと荷物を車にのせ、みんなで海ぞいの道を歩いていきました。
 そして、道とおる人に、
「あしのくらの千軒町は、ここからなんぼぐらいあるべか」
と、ききました。
「そこは、ここからまだ三里も四里(一里は、約四キロメートル)もあって、なんにもないたいへんなところだ、もどったほうがよい」
 むすめをおくってきた人たちは、それをきいて、
「そんなに遠いところまで、いっしょについていかれねえ。おまえももどったほうがよい」
と、いいましたが、むすめは、
「おれはいくとけっしんして、へんじをしてしまったから、ひとりでもいく」
と、いって、おくってきた人たちと、わかれることにしました。
 そして、たずねたずねして、やっと夜になってつきました。
 そこは千軒町といっても、海べに家は一けんしかありません。
 その家も、四方のかべもないあばら家です。
 たしかにこれなら、ねていて朝日夕日をおがむにいいわけです。
 長兵衛は、
「よくきてくれたなあ。こういう遠いところだから、とてもきてもらえないとおもっていた。むかえにもでなくて、すまなかった」
と、いって、たいそうよろこびました。
 こうしてむすめは、長兵衛のあねちゃ(→奥さん)になりました。
 嫁をもらった長兵衛は、いっそうタコとりにせいだして、町に売りに歩きました。
 ある日、近くの町にいってみると、大きいあき家に、
《この家を買う人があれば、三十文(千円ほど)で売る》
と、たてふだがたっていました。
 長兵衛は心のなかで、「こりゃあやすい」とおもいましたが、とおりがかりの人が、
「この家は、ばけものやしきだよ」
と、教えてくれたので、そのまま家にもどってきました。
「町に三十文で売るという、大きな家があったども、ばけものやしきだというし、三十文の銭こもねくて、買えねかった。ざんねんだなあ」
 それきいたあねちゃは、
「ばけものやしきだって、なんもおっかなくねえもんだ。おらのさいふに三十文の銭こはあるから、今からいって買ってこい」
と、いって、おくから三十文を持ってきました。
 そして、二人はその大きい家にひっこしたのです。
 長兵衛はまい日、朝早くからタコとりにいくので、まい日あねちゃは、大きな家でるすばんをして、はり仕事をしていました。
 ある日、とつぜんおくざしきのほうから、
 ドンドン、ドンドン
と、ゆか板ならして、六尺(百八十センチ)の坊主があねちゃの前に、でんとたちふさがりました。
 さすがのあねちゃもビックリして、ブルブルふるえていましたが、だまって知らないふりをして、はり仕事をつづけました。
 すると、しばらくして、
 ドンドン、ドンドン!
と、どこかにいってしまいました。
 でも、またすぐ、
 ドンドン、ドンドン
と、音がして、こんどは三つ目の坊主が出てきて、あねちゃをジッと見つめています。
 あねちゃは目をつぶって、知らないふりをしていたら、やがてそれも、
 ドンドンと、行ってしまいました。
 あねちゃがホッとしているところに、また、おくのほうから、パタパタと足音がして、こんどは年とったおばあさんが、赤い手ぬぐいをかぶってでてきました。
 そのおばあさんは、あねちゃのそばにベッタリとくっついて、
「あねちゃ、おれたちはばけものではねえんだよ。じつは金の精だ。この家のなかにある金をわたしたくて、今までになんどもなんどもでてきたが、ひっこしてきた人たちは、みなにげていってしまった。おまえにその金をみなわたすから、おれについてこい」
と、いって、おくのざしきにつれていきました。
 そこであねちゃが、おばあさんにいわれてゆか板をはがすと、大きなかめがでてきました。
 おばあさんが、
「ふたをとってみれ」
と、いうので、ふたをとってみたら、なかにはピカピカひかる小判がいっぱい入っていました。
「なんとまあ!」
 あねちゃがビックリしているまに、おばあさんは、いなくなっていました。
 タコをとってかえってきた長兵衛は、小判のいっぱい入ったかめをみて大よろこび。
 二人は大金持になり、それから一生なかよく楽しくくらしたということです。

おしまい

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きょうの誕生日 → 1977年 一色紗英(俳優)

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4月28日の日本の昔話 力太郎

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4月28日の日本の昔話

力太郎

力太郎

 むかしむかし、あるところに、ふろに入ったことのない、おじいさんとおばあさんがおりました。
 ふたりには子どもがありません。
 ある日、はじめてふろに入ってアカを落としました。
 すると、アカの出ること出ること、あんまりたくさんのアカがたまったので、これであかちゃんの人形を作りました。
 するとふしぎなことに、このアカでできた人形が動き出し、人間のあかちゃんになってしまったのです。
「ありがたい、ありがたい。これは、神さまがさずけてくださった子だ」
 おじいさんとおばあさんは、このあかちゃんを「力太郎」と名付けて、大切に育てることにしました。
 ところが、このあかんぼうは大変な大食らいで、ごはんを食べさせれば食ベた分だけ大きくなり、十五才のころには、名前のように、村一番の力持ちに育ちました。
 おじいさんおばあさんは、えらく年をとってしまったので、これ以上はたらいて、力太郎にごはんを食ベさせてやる自信がありません。
 どうしたものかと、なやんでいますと、
「おらは旅に出る。百貫目(ひゃくかんめ→約375㎏)の鉄の棒をつくってくれ」
 力太郎がいいだしたので、さっそく百貫の棒をつくってやると、力太郎はそれをブンブンふり回して旅に出ました。
 しばらくいくと、大男が石をげんこつでくだいて、人を集めています。
 力太郎は、石割り男に力比ベをもうしこみました。
「おらの鉄棒を三回半ふり回せたら、おまえの子分になろう。どうだ?」
「いいだろう。できなければ、おれが子分になってやる」
 石割り男は鼻で笑って、鉄の棒を手に取りましたが、一ふり半しか回せません。
 そこで石割り男は、力太郎の子分になりました。
 ふたりが旅をつづけると、お堂を背負って、いばっている男に出会いました。
「おらの鉄棒を三回半ふり回したら、子分になるぞ」
 力太郎がもちかけますと、お堂男は、
「なんのこれしき!」
 鉄棒を持ちあげましたが、二ふり半しか回せません。
 そこで力太郎は、この男も子分にしました。
 しばらくすると、人影のない村で、娘がひとりで泣いています。
 力太郎がわけをたずねますと、
「じつはこの村には、まいばん化け物がやってきて、つぎつぎと村人をのんでしまいます。今夜は、わたしが食ベられる番なのです」
と、答えるのです。
「そんな化け物くらい、おらたちがやっつけてやる」
 力太郎は力強くいうと、かまいっぱいにめしをたかせ、それをペロリとたいらげて、夜を待ちました。
 夜中になると、化け物が現れました。
 家よりも大きな、大男です。
「まずは、おれがやってやろう」
 はじめに、石割り男が立ち向かいましたが、あっけなくのみこまれ、つぎにとびかかったお堂男も、一口でペロリです。
「よし、最後はおらが相手だ! 百貫目の鉄棒を受けてみろ!」
 力太郎が鉄棒をふり回しましたが、自慢の鉄棒は、かんたんにねじまげられてしまいました。
「それじゃあ、これならどうだ!」
 力太郎は「えい!」とばかりに、化け物のまたの急所をけりあげました。
 さすがの化け物もこれにはたまらず、ひっくり返ってうなりました。
 力太郎は化け物の腹の上にとび乗ると、あたりかまわずふみつけます。
 とたんに、化け物の口からは、これまで飲んだ人たちが、つぎつぎと飛び出してきたのです。
 化け物をやっつけた力太郎は、娘を嫁にもらうと、おじいさんとおばあさんを山奥から呼びよせ、村人たちがお礼にと運んでくるめしをたらふく食べながら、しあわせに暮らしたということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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4月27日の日本の昔話 おばあさんにばけた古オオカミ

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4月27日の日本の昔話

おばあさんにばけた古オオカミ

おばあさんにばけた古オオカミ

 むかしむかし、ひとりの飛脚(ひきゃく→詳細)が、あるとうげにさしかかりました。
 そろそろ暗くなりかけていましたが、旅にはなれていたので、今夜はとうげで野宿(のじゅく)をして、あすの朝早くむこうの村へおりようと、すたすた山道をのぼっていました。
 とうげへでて、あたりをみまわすと、少しさきのほうに大きな木があります。
「よし、あの木の上がいい。あそこなら、オオカミ(→詳細)に食われることもなし、ねごこちもよさそうだ」
 飛脚は荷物になわをつけて、そのなわのはしをこしにゆわえると、木をスルスルとよじのぼっていきました。
 大きなえだにこしをおろすと、なわをひっぱって荷物をひきあげました。
 月のない暗いばんで、もの音ひとつありません。
 飛脚は、いつのまにかグッスリとねこんでしまいましたが、なにかもの音がしたような気がして、ふと目をさまします。
 ジッと耳をすましていると、なにやら木の根もとのあたりで、ザワザワしたけはいがあります。
 よくみてみると、そこにはひかった目が、なん百とうごめいていました。
「オオカミだ!」
 飛脚は、ゾゾゾッと、せすじが寒くなった。
 やがてオオカミたちは、木の根もとをとりかこむと、一ぴきのオオカミが、ヒョイと、べつのオオカミのかた車にのりました。
 また一ぴき、また一ぴき。
 ヒョイヒョイヒョイと、オオカミがつぎからつぎへとかた車をして、上へ上へとのぼってきます。
「これがうわさにきく、オオカミばしごっちゅうもんか」
 飛脚はもう、生きたここちがしません。
 だんだん、だんだん、オオカミが飛脚のいるえだへ近づいてきます。
 ところが、もうちょっとのところで、オオカミの数がつきてしまいました。
「こりゃ、あかん」
 一番上のオオカミがいいました。
「だれか、七兵衛(しちべえ)のとこのおばばをよんでこい」
 一ぴきのオオカミが、いそいで村のほうへ走っていきました。
「なに? 七兵衛とこのおばばだと。あのおばばとオオカミと、なんのつながりがあるだ?」
 飛脚は首をかしげました。
 しばらくすると、まだらの毛なみをした大きな古オオカミがやってきました。
「これが、七兵衛とこのおばばか。どうもわからん」
 飛脚がかんがえこんでいると、古オオカミは、
「よーし、わしがのぼっていって人間を食ってやる」
と、いいながら、ガサガサ、ゴソゴソとオオカミばしごをのぼりはじめました。
 飛脚のいるえだに、古オオカミの前足がかかりました。
 そして、もうかたほうの足をのばして、飛脚の着物のすそをつかもうとします。
 そのとき、飛脚はむがむちゅうで、ふところに入れていた短刀をぬくと、いきなり古オオカミのかた足にきりつけました。
「ギャーーーッ!」
 ひめいとともに、古オオカミが地面へ落ちました。
と、どうじに、オオカミばしごが、
 ドドドドドー!
と、地ひびきたててくずれ落ち、起き上がったオオカミたちは、バラバラに逃げていきました。
 やがて、長い夜がやっと明けました。
 飛脚は木からおりると、七兵衛の家をたずねました。
「どうだ、ばあさまはたっしゃか?」
「うん、元気は元気なけど、ゆうべ手をけがしてなあ。おくにねてるわ」
と、いいました。
「そうか、じゃあちょっと、ばあさまをみまうか」
 飛脚がおくのへやへいってみると、
「いたい、いたい」
と、おばあさんがうなりながらねています。
「どうした、ばあさま」
 飛脚がきくと、
「ゆうべ夜中にしょうべんにいって、つまずいてころんで、手をけがしてしもうたんや。ほいでねとるんや」
 おばあさんは、むこうをむいたまんまでこたえます。
 飛脚は、これはゆうべの古オオカミにちがいないとおもいました。
「よし、ばけの皮をひんむいてやろ!」
 飛脚はいきなりふところから短刀をぬくと、おばあさんの首へグサリとつきさしました。
「ギャーーーッ!」
 おばあさんは、ひめいといっしょにてんじょうまでとびあがると、一ぴきの大きなまだらの古オオカミとなって、ドサッと落ちてきました。
「やっぱり」
 もの音にビックリしてかけこんできた家の人たちに、飛脚はゆうべのとうげのできごとをはなしてきかせました。
 七兵衛のおばあさんを、この古オオカミが食い殺して、そしておばあさんにばけていたというわけです。

おしまい

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4月26日の日本の昔話 あき寺の大入道

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4月26日の日本の昔話

あき寺の大入道

あき寺の大入道

 むかしむかし、旅の僧がやってきて、村はずれのあき寺へとまることにしました。
 やねはかたむき、かべははんぶんほどもくずれおちていて、まるでおばけやしきです。
(それにしても、なんてひどいあれようだ)
 僧はクモの巣をはらい、本堂のゆかの上にすわりました。
 そのゆかも、あちこちがやぶれていて、ゆか下から草がのびています。
 いろんなあき寺にとまりましたが、こんなひどい寺ははじめてです。
(まあ、草の上にねるよりはましだ)
 僧は、旅のとちゅうでもらったにぎりめしを食べると、ほこりだらけのゆかの上へよこになりました。
 やがて日がしずんで、あたりがくらくなりました。
 その晩は空がくもっていて、月もでません。
 風がでてきたらしく、庭の草がザワザワとゆれています。
 僧は、なかなかねつけず、ゆかの上にすわりなおすと、ゆっくりお経をとなえはじめました。
 すると、ゆかがゆれだし、ミシッ、ミシッという足音が近づいてきます。
 僧はにもつのなかから、煮たき用の鉄なべをだして頭にかぶり、しっかりとつえをにぎりました。
 顔をあげると、目の前に大入道がたっています。
 目玉が三つに、大きな歯がふたつ。
 大入道は目玉をギラギラ光らせながら、僧のそばへ近よると、いきなり太いうでをふりあげ、僧の頭をたたきました。
 ガーン!
 頭にかぶった鉄なべが、大きな音を立てました。
「なんて、なんてかたい頭だ」
 鉄なべをかぶっているとも知らず、大入道はおどろいたようにいいました。
 それでも僧はつえをつかんだまま、ジッと大入道をみあげました。
 するとふたたび大入道がいいました。
「さっさと、でていけ! ここはわしのすまいだ。ぐずぐずしているとひねりつぶすぞ!」
 そのとたん、僧はつえをつかんでとびあがるなり、
「かぁぁぁっ!」
と、さけんで、大入道の頭につえをふりおろしました。
「ギャーッ!」
 ふいのこうげきに、大入道はドタリと、僧の前にたおれこんできました。
 僧はその頭めがけて、
「えい、えい、えい!」
と、つえをうちおろしました。
 すると、大入道のすがたがみるみるきえて、なぐられた頭が小さな木のかたまりのようになりました。
 僧は、そのかたまりをつかむと、庭にむかって力いっぱいなげつけました。
 ガシンッ!
 かたまりは、庭にある大きな石にあたってわれました。
 それっきり、あたりはしずかになりました。
 あやしいものは、もう二どとでてくるようすがありません。
 それでも、僧はねむることができず、朝までゆかの上にすわっていました。
 やがて夜が明けました。
「さて、大入道の正体は、いったい、なにものなのか?」
 僧が明るくなった庭へでてみると、なんと、まっぷたつにわれた古げたがころがっていました。
「タベの大入道は、げたのおばけであったか」
 僧は、われた古げたを本堂のすみにおくと、ゆっくり寺をでていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

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4月25日の日本の昔話 ネコの恩返し

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4月25日の日本の昔話

ネコの恩返し

ネコの恩返し

 むかしむかし、ひどい貧乏寺(びんぼうでら)に和尚(おしょう→詳細)さんが一人ですんでいました。
 一匹の三毛ネコを、自分の子どものようにかわいがっていましたが、そのネコもすっかり年をとりました。
 ある日、和尚さんが村人の法事(ほうじ)に出かけ、夜おそく寺にもどってきたら、寺の中でなにやらさわがしい音がします。
(どうしたんだろう?)
 和尚さんがふしぎに思って、こっそり中をのぞくと、でっかくなった三毛ネコが和尚さんの衣(ころも)を着て、袈裟(けさ)までかけて、楽しそうにおどっているではありませんか。
 しかも、三毛ネコのまわりには、たくさんのネコが集まって、首をふったり、足でひょうしをとったりしています。
(こりゃ、おどろいた!)
 和尚さんは、しばらく見ていましたが、
(ネコを長い間かっていると、化けネコになるというが、うちの三毛ネコも、とうとう化けだしたか)
と、こわくなってきました。
 そこで、せきばらいを一つしてから戸を開けました。
「三毛や、今、もどったよ」
 そのとたん、ネコたちはビックリして外へとびだし、三毛ネコも、あわててもとのネコにもどると、和尚さんのそばへかけよってきて、あまえるように、
「ニャーオ」
と、鳴きました。
 和尚さんはそれでも知らん顔で、さっさと奥の部屋に行き、ピシャリとふすまをしめます。
 いつもとちがう和尚さんの態度にガッカリして、三毛ネコはしばらく鳴いていましたが、やがて静かになりました。
 さて、夜もふけたころ、ふとんのえりをひっぱりながら、
「和尚さん、和尚さん」
と、呼ぶ者があります。
 ハッとしてとび起きると、まくらもとに三毛ネコが座っています。
「今、わしを呼んだのはおまえか?」
「はい、わたしです」
 ネコが口をきいたので、和尚さんはおどろいて立ちあがると、三毛ネコが言いました。
「長い間、かわいがってもらいましたが、わたしも、とうとう化けるような年になりました。化けるところを和尚さんに見つかってしまっては、もうここにいることはできません。朝になればおいとまします」
 いくら化けるようになっても、自分の子どものようにかわいがってきたネコです。
 和尚さんは、三毛ネコと別れるのがつらくなり、
「よかったら、いつまでもここにいておくれ」
「ありがとうございます。でも、いつかは別れなくてはなりません」
 三毛ネコは、ていねいに頭をさげると、部屋を出ていきました。
 和尚さんは、もう一度横になりましたが、三毛ネコのことを思うと、眠ることができません。
(そういえば、おかしなことがあった。衣のおいてある場所が変わったり、袈裟(けさ)がまるまっていたり。それも三毛ネコのせいであったか)
 和尚さんは、夜が明けるのを待って起きだし、白いご飯をかまいっぱいたいて、ご飯の上にかつおぶしをたっぷりかけてやりました。
「今日で、わしのつくった飯を食うのも最後だ。しっかり食べていってくれ」
 三毛ネコはご飯を食べおわると、ジッと、和尚さんの顔を見つめていましたが、いきなり外へとび出し、門のところでもう一度ふりむき、「ニャアー」と鳴きました。
 三毛ネコがいなくなると、寺の中は急に静かです。
 和尚さんは、さみしくて、なにをする気にもなれません。
 ただボンヤリと、日を過ごすようになりました。
 それから十日ばかりたったころ、村の長者(ちょうじゃ→詳細)の家でおじいさんがなくなり、葬式(そうしき)をだすことになりました。
 ところが、いざ葬式を始めようとすると大雨が降ってきて、しかたなく日を変え、べつの寺の和尚さんをよんできて、葬式を始めようとすると、またまた嵐になるやら雷が鳴るやら、どうにも野辺(のべ→火葬場や埋葬場)の送りができません。
 そこでまた、日を変えることになったのですが、仏さま(この場合、死んだ長者)を五日も六日も置いておくわけにはいかず、長者や親戚(しんせき)の人たちもあせるばかりです。
 明日こそと思っていたら、ひにくなことに、その日の夜から雨になりました。
 さてその晩、和尚さんがいろりのそばにションボリ座っていると、三毛ネコがやってきました。
「おう、よくもどってきた」
 和尚さんがよろこんんで、だきあげようとしたら、三毛ネコが言いました。
「しばらくでした。わたしが今夜、顔を出したのは、長い間かわいがってもらったおれいをしたいからです。この間、長者の家のおじいさんがなくなったのは、和尚さんもごぞんじでしょう。ところが、いまだに葬式(そうしき)が出せなくてこまっています。そこで、和尚さんが出かけていって、『わしに葬式をさせてくれ』と言ってください。必ず葬式を出せるようにしますから」
「でも、わしみたいな貧乏寺の和尚が行ってもな」
「大丈夫。わたしにまかせてください」
 言ったかと思うと、三毛ネコはさっさと寺を出ていきました。
 朝になっても雨はやまず、ますます大ぶりです。
 和尚さんは、どうしようかとまよいましたが、かわいがっていた三毛ネコの言うことだと考えなおして、衣をつけ、袈裟(けさ)をかけて長者の屋敷(やしき)に出かけました。
 長者の屋敷では、今日も葬式が出せずに困っています。
 和尚さんは胸をはって、
「わしに葬式をさせてくれ。必ず天気にしてみせるから」
 長者や親戚(しんせき)の人たちは、りっぱな坊さんが来ても葬式を出せないのに、こんな貧乏寺の和尚さんになにができるかと思いましたが、とにかく早く葬式をすませたくて、
「まあ、そんならやってみてくれ」
と、言いました。
「それじゃ、始めるから」
 和尚さんは、お棺(かん)の前に座って、ゆっくりお経を読みはじめました。
 すると、どうでしょう。
 雨が小ぶりになってきたかと思うと、たちまち太陽が顔をのぞかせてきました。
 長者は喜んで、すぐに村人たちに知らせます。
 大勢の人たちがやってきて、待ちに待った葬式が始まり、無事に野辺(のべ)の送りがすみました。
 長者はえらく喜んで、和尚さんにたっぷりお礼をはずみました。
 そればかりか、和尚さんの評判が遠くまで伝わり、大きな葬式には必ず和尚さんをよぶようになったのです。
 おかげで、いまにもつぶれそうだった貧乏寺は、りっぱな寺へたてなおし、弟子や小僧もふえて、和尚さんは一生しあわせにくらしたということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 国連記念日
きょうの誕生花 → フロックス
きょうの誕生日 → 1970年 鶴田真由 (俳優)


きょうの日本昔話 → ネコの恩返し
きょうの世界昔話 → キツネと獲物
きょうの日本民話 → 寿限無(長い名前の子ども)
きょうのイソップ童話 → たくはつ僧
きょうの江戸小話 → 遠めがね

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4月24日の日本の昔話 ひとをおそうキノコ

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月24日の日本の昔話

ひとをおそうキノコ

ひとをおそうキノコ

 むかしむかし、ある山のなかに古いやしろがありました。
 なんでも、やしろのまわりには、おいしいキノコがはえているというので、まい年秋になると、近くの村びとたちがキノコとりにでかけます。
 ある年のこと、キノコとりにでかけた男が、夜になっても、もどってきませんでした。
 村びとたちがしんぱいして、つぎの日の朝早く山のなかへいきましたが、どこへきえたのか、男の持ちものひとつのこっていません。
「神かくしにでも、あったのだろうか?」
「いや、そんなはずはない」
 村びとたちは、やしろのなかまで、ていねいにさがしてみました。
 それでも、まるで人のいる様子はありません。
 ところが、しばらくたって、キノコとりにいった老婆(ろうば)が、またもゆくえふめいになりました。
 おまけに、その老婆をさがしにいった嫁さんまでも、もどってこないというのです。
 こんどは村じゅうそうでで、やしろの近くばかりでなく、山のなかのあちこちをさがしてみましたが、ついにみつけだすことができませんでした。
 そんなことがあってから、この山のなかへキノコとりにいくものは、ひとりもいなくなりました。
 さて、ふもとの村に、近所でもひょうばんのきもっ玉の太いわかものがいました。
 わかものは、
「いまどき、神かくしなんてばかなことがあるものか。もしかして、かいぶつがかくれているのかもしれない。よし、わしが正体をみとどけてやる」
と、いって、ひとりで山へでかけていきました。
 ついでに、だれもとりにいかないキノコを、ドッサリととってこようとおもいました。
 やしろのそばにくると、おいしいキノコが、あちこちにはえています。
 わかものはむちゅうになってキノコをとり、カゴのなかに入れました。
 それでも、ときどき手をとめて、あたりのようすをさぐってみましたが、かいぶつらしいものはどこにもいません。
(よし、こん夜はここのやしろにとまってみよう。きっとかいぶつがあらわれるにちがいない)
 わかものはやしろのなかに入ると、ゆかの上へ大の字になりました。
 そのうち、ねむたくなってウトウトしていたら、だれかが足をひっぱります。
「だれだ!」
 わかものが、ハッと目をあけると、なんと、ゆかの上に人間の手のような大きなキノコがはえていて、足をひっぱっているのです。
(まさか、キノコがひとをひっぱるなんて)
 さすがのわかものもビックリして、おばけキノコをにらみつけました。
 すると、おばけキノコはゆかのやぶれから下へ、スルスルと、ひっこんでしまいました。
「待てえ!」
 わかものはゆか板をはがして、下へとびおりました。
 明りをつけて、くらいゆか下をてらしてみるとどうでしょう。
 あちこちにひとの骨がちらばっていて、さっきのおばけキノコが、のびたりちぢんだりして、ゆらゆらゆれています。
(さては、このおばけキノコが、キノコとりのひとをおそったな)
 わかものは、ゆか下にころがっていたぼうきれをひろうなり、おばけキノコのかさをなぐりつけました。
 ところがふしぎなことに、キノコのかさがこわれても、あっというまに新しいかさができて、おまけに胴のぶぶんがグングンとのびてきて、わかもののからだにまきつこうとします。
 そのとき、わかものは「キノコはみそ汁によわい」と、いう、年よりのことばをおもいだしました。
 わかものはゆかのはしをつかんで上へあがると、やしろをとびだし、大いそぎで家にもどりました。
 それからなべにたっぷり水とみそをいれ、ぐらぐら煮たてました。
 あついみそ汁ができあがると、しっかりとふたをして、なべごと山へはこんでいきました。
 やしろのなかへ入ると、おばけキノコはゆかの上までのびていて、ゆっくりかさを動かしています。
「これでもくらえ!」
 わかものはなべのふたをとるなり、あついみそ汁を、おばけキノコにかけました。
 すると、おばけキノコは、みるみるちぢまっていき、ついになくなってしまいました。
「やれやれ。これで、もう二どとひとをおそうことはあるまい」
 わかものは村へもどると、みんなにおばけキノコのことをはなしました。
 みんなはビックリするやらふしぎがるやら、さっそくなくなったひとの骨を村へはこんで、ねんごろにとむらってあげたそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 日本ダービー記念日
きょうの誕生花 → むれすずめ
きょうの誕生日 → 1962年 山咲千里 (俳優)

きょうの新作昔話 → たごかつぎ
きょうの日本昔話 → ひとをおそうキノコ
きょうの世界昔話 → 魔法のぼだいじゅ
きょうの日本民話 → 首なしウマの行列
きょうのイソップ童話 → ゼウスとサル
きょうの江戸小話 → ひろった手紙

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4月23日の日本の昔話 みそのにおい

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4月23日の日本の昔話

みそのにおい

みそのにおい

 むかし、あるところに、おばあさんがいました。
 おばあさんは、ためたお金をどろぼうに取られてはたいヘんと、みそがめのそこにかくしておきました。
 ところがある日、おばあさんがちょっと家をあけたすきに、みそがめのそこのお金を、全部ぬすまれてしまったのです。
「どうか、どろぼうをつかまえてください」
 おばあさんは、町奉行(まちぶぎょう)の大岡越前守(おおおかえちぜんのかみ→詳細)にうったえました。
「よしよし、まかせておきなさい」
 越前守(えちぜんのかみ)は、おばあさんの家の近くに住んでいる人たちを集めて、
「この中に、どろぼうがおる。犯人はみそがめのお金を取るとき、みそをかきまわしたはずじゃ。みそに手をつっこむと、半年は、においがなくならん。かくしても、しらべればすぐにわかるぞ」
と、いいました。
 すると、うしろのほうにすわっていた男が、そっと手を出して、においをかいでいます。
 越前守の話しを聞いて、みそのにおいがついているかどうか、心配になったのでしょう。
「その男をひっとらえよ」
 越前守は、こうして犯人(はんにん)をつかまえ、ぬすまれたお金をおばあさんにかえしてあげたのです。
「うむ、これにて、一件落着!」

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → サン・ジョルディの日
きょうの誕生花 → はなみずき
きょうの誕生日 → 1976年 IZAM (ミュージシャン)


きょうの日本昔話 → みそのにおい
きょうの世界昔話 → 白雪姫
きょうの日本民話 → いきをふきかける亡者
きょうのイソップ童話 → ロバと植木屋
きょうの江戸小話 → しりから入る

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4月22日の日本の昔話 おきだした死人

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4月22日の日本の昔話

おきだした死人

おきだした死人

 むかしむかし、ある村に、ひとりの魚売りの男がいました。
 町へ魚をしいれにいこうとして、山の近くの野道を歩いていると、キツネたちが二、三匹かたまって、ひなたぼっこをしていました。
 男はキツネをおどかしてやろうとおもい、草のかげにかくれて、コッソリと近づき、いきなりたちあがって、
「わっ!」
と、さけびました。
 さすがのキツネも、これにはとびあがっておどろき、ころがるようにして山のほうへにげていきました。
 男はそれをみて大よろこびです。
「あんなキツネにだまされるなんて、よっぽどまぬけなひともいるものだ」
と、いいながら、町へいきました。
 男は町であう人ごとに、さっきのできごとをはなして、
「キツネは千日さきのことでもわかるというが、やっぱりただのけだもの。わしのひとことでこしをぬかしおった」
と、むねをはりました。
 さて、男は町で魚をしいれ、それをかたにかついで村へもどっていきました。
 ところが、町でキツネのことをはなして歩いたおかげで、かえり道のとちゅうで日がくれてしまいました。
 あいにく空がくもっていて、星ひとつみえません。
(よわったぞ。こんなところで、野宿するわけにもいかんし)
 男がくらやみのなかを手さぐりで歩いていると、むこうのほうに明りがみえました。
(しめた。あそこでとめてもらおう)
 男はきゅうに元気がでて、明りのほうへ近づいていきました。
 そこには古びた家が一けんだけたっていて、戸のやぶれからなかをのぞくと、白髪(はくはつ)の老婆(ろうば)がひとりで糸をつむいでいました。
 なんだか、きみのわるそうな老婆でしたが、男はおもいきって戸をあけました。
「日がくれてこまっている。こん夜ひと晩、とめてもらえぬか」
「それはお気の毒に。こんなところでよかったら、どうぞ」
 老婆は、心よく男をむかえると、いろりのふちにすわらせました。
「あいにく、夕はんをすましたあとで、なんもないが」
「いや、めしのしんぱいはいらない。おそくなるとおもい、町ですましたところだ」
 男は魚の入ったカゴを、こわきにおきました。
 老婆はそのにもつにチラッと目をやったあと、すぐ笑顔にもどっていいました。
「お客さん、どうしても、となりの家までいかなくちゃいけないようじがあって、ほんのしばらくるすにするが、気がねなくいろりにでもあたっていておくれ」
「となりの家?」
「なに、この原っぱのさきに、わしのしんせきの家があっての。なれているので、ほんのひとっ走りじゃ」
 老婆はそういうと、まっくらな外にでていきました。
 男はひとりになると、きゅうに心ぼそくなりました。
 いかに知らない老婆といっても、ふたりでいるほうがよほどおちつきます。
(おそいなあ。早くかえってこないかなあ)
 男はなんども戸をあけて外をみましたが、だれもやってくるようすはなく、野原の草がザワザワと風にゆれるばかりです。
 そのうちに、いろりの火も小さくなり、いまにもきえそうになりました。
 男がどこかにたきぎはないかと、まわりをみまわしたら、なにやらへやのすみに白いものがよこたわっています。
(だれかねているのかな。たしか老婆ひとりのはずだが)
 男はたちあがって、こわごわ、近よってみました。
 なんとそこには、まっ白いきものをきた人が、あおむけになってねていました。
 まるでガイコツのようにやせほそり、ジッと目をむいたままです。
(なんだ。病人がいたのか)
 男は、こわごわのぞきこんでみました。
 ところがよくみてみると、病人はピクリとも動きません。
 そっとひたいに手をあててみると、こおりのようなつめたさです。
(し、しっ、死んでる)
 男はビックリして、うしろへとびのきました。
 そのとたん、死人が、うんうんとうなりだし、ガイコツのような手をゆっくりと動かしはじめたのです。
 気の強い男も、これにはビックリして、
「ギャアアアアー!」
と、さけぶなり、はだしのまま家の外へとびだしました。
 くらやみのなかをメチャクチャに走って、なに気なくうしろをふりむくと、なんとさっきの死人が、口をパクパクさせながら、ズンズンと近づいてくるではありませんか。
「た、たすけてくれえー」
 男がまたむちゅうでかけだすと、目の前に大きな木が一本たっていました。
 男はひっしで、木のみきをよじのぼり、葉のしげみにかくれました。
 すると死人は、木の下までやってきて、上をみあげると、ニタッとわらいました。
 男はおもわず目をつむり、木にしがみつきました。
 死人は、しばらく木の上をみあげながら、ニヤニヤと、わらっていましたが、どうやらあきらめたらしく、一けん家のほうへもどっていきました。
(やれやれ、たすかった)
 男はホッとして、むねをなでおろします。
 それでも下におりるのがこわくて、夜が明けるまで木の上にすわっていました。
 さて、あたりがすっかり明るくなってみると、男は野原のはしにある大きなカキの木の上にすわっていました。
 まっ赤なカキの実が、あちこちにぶらさがっています。
 すっかりはらのすいていた男は、目の前にさがっているカキの実をとろうとして、そのえだにのりうつったとたん、ポキリとえだがおれ、そのまま下へまっさかさま。
 ところが、その下は川になっていて、男は頭から水のなかへとびこみました。
 さいわいけがもなく、男はやっとのことで川からはいあがると、きのうのキツネたちが、ばかにしたような顔でこっちをみています。
(なっ、なんだ。これはきのうの仕返しか? ぐずぐずしていたら、なにをされるかわからない)
 男は、あともみずにかけだしました。
 せっかくしいれてきた魚も、カゴごとキツネたちにとられてしまい、いのちからがら家にもどったそうです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 清掃デー
きょうの誕生花 → こでまり
きょうの誕生日 → 1970年 篠原たえ子(タレント)

きょうの新作昔話 → 黒いつばきの花
きょうの日本昔話 → おきだした死人
きょうの世界昔話 → アラジンのランプ
きょうの日本民話 → 弥陀ケ原の弘法清水
きょうのイソップ童話 → 人殺し
きょうの江戸小話 → きいた名前

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4月21日の日本の昔話 フクロウの染め物屋

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4月21日の日本の昔話

フクロウの染め物屋

フクロウの染め物屋

 むかしむかし、フクロウが染め物屋(そめものや)の店を出しました。
 お店にはカンバンをかけて、入りロには、のれんをさげて大はりきりです。
「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい。ふくろうの染め物屋は、なんでもじょうずに染めますよ。仕事は早く、お値段のほうもぐっと勉強して、お安くなっております。さあ、さあ、どなたでもいらっしゃい」
 仲間の鳥たちが、めずらしそうにやってきて、
「じゃ、わたしの羽を赤く染めてくださいな」
「わたしは、緑がいいわ」
と、たのみました。
「はい、はい、かしこまりました。さあ、どうぞこちらへ」
 お客は、あとからあとからやってきました。
 カナリアは黄色に、ウグイスは黄緑に、おしゃれなツルは、頭の上を帽子のように赤く染めてもらってゴキゲンです。
「まあ、すてき。あなたもすてきよ」
 みんなは大喜び。
 おかげでフクロウの染め物屋は、大評判です。
「よし、ぼくもひとつ、染めてもらおうかな」
 カラスが、やってきました。
「はい、いらっしゃいまし。お色は、なににいたしましょう」
「そうだねえ・・・」
 カラスは、いばっていいました。
「今まで、だれも持ってないような、すばらしい色でなくちゃね。まあ、ひとつ頼むよ」
「今まで、だれも持っていない色ね。・・・はい、承知しました。さあ、どうぞこちらへ」
 フクロウは大きなつぼの中へ、染め粉をといて入れました。
「さあさあ、この中で行水(ぎょうすい)してください。すばらしい色になりますよ」
 そこでカラスは、つぼの中にスッポリ入ってたずねました。
「どう? もう染まった?」
「ほう、こりゃ、いい色になった」
 フクロウは、ほめました。
「どんな色かな?」
 カラスは大喜びで、小川の水に自分の姿をうつしてみました。
 すると、どうでしよう。
 頭から尾の先まで、まっ黒けです。
 カラスはカンカンにおこって、フクロウにくってかかりました。
「やい、やい、なんでこんな色に染めた!」
「なんでといったって、こんなすてきな色はだれもいませんよ。あなた、おひとりです」
「だれもいないからといって、よくもまっ黒けにしてくれたな。このばかぁ、ばかぁ、ばかぁ!」
 カラスは、フクロウにつかみかかりました。
「ごめん、ごめん」
 フクロウは、あわてて逃げ出しました。
 けれど、いくらカラスがおこっても、一度染めた色はどうにもなりません。
 それからカラスは、ずーっとまっ黒のままです。
 フクロウの染物屋は、それでお店をしめてしまいました。
 そしてフクロウは、カラスにけんかをしかけられるのがこわくて、今でも昼間は森にかくれているのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 民放の日
きょうの誕生花 → スイートピー
きょうの誕生日 → 1943年 輪島功一 (ボクシング)


きょうの日本昔話 → フクロウの染め物屋
きょうの世界昔話 → 獲物をとられたキツネ
きょうの日本民話 → イヌが鳥を殺した罰
きょうのイソップ童話 → 狩りゅうどとイヌ
きょうの江戸小話 → いじっぱり

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4月20日の日本の昔話 病気のお見舞い

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4月20日の日本の昔話

病気のお見舞い

病気のお見舞い

 むかしむかし、きっちょむさん(→詳細)と言う、とてもゆかいな人がいました。
 あるとき、庄屋(しょうや→詳細)さんがかぜをひいてしまいました。
「庄屋さんは口うるさいから、見舞い(みまい)にいっておかんと、あとでなにをいわれるかわからん」
 村の人たちは、つぎつぎに見舞いにでかけましたが、つむじまがり(→ひねくれもの)のきっちょむさんは、みんなが見舞いをおえたあとに、ひとりでノコノコとでかけていきました。
「庄屋さん、おかげんはいかがでしょうか?」
「村のものが、みんなはやく見舞いにきてくれたというのに、おまえはいったい、いまごろまでなにをしておった。なにをさておいても、見舞いにかけつけるのが、れいぎというものではないか」
 庄屋さんは、プリプリと文句を言いました。
「いえ、じつは、庄屋さんにもしものことがあってはと、お医者さんをよびにいったのです。あいにく、お医者さんはでかけてましたんで、またかえりに、よってたのんでいきます」
 すると、庄屋さんはたちまちきげんをなおして、
「そうか、そうか。さすがはきっちょむさんじゃ。よく気がきく。しかったりして、わしがわるかった。お医者さんには、もうだいじょぶだからといってくれまいか」
と、きっちょむさんを、酒やごちそうでもてなしました。
 ところが、いくにちかたつと、庄屋さんのかぜがぶりかえしたというので、村のみんながまた、ぞろぞろと見舞いにでかけました。
 きっちょむさんが、いちばんあとから見舞いにゆくと、庄屋さんはいきもたえだえで、
「ああ、よくきてくれた。こんども気をきかして、お医者さまをよんできてくれたか?」
と、きっちょむさんの手をとりました。
 ところが、
「いやいや。どうも、こんどばかりはたすかりそうもないとおもって、お寺のお坊さんをよびにいったり、お葬式(そうしき)の棺(かん)おけやら、おつやのあとに出す、料理の材料のてはいをしてきまして。それで、すっかりおそくなりました」
 きっちょむさんの、あまりのてまわしのよさに、庄屋さんはおこったのなんの。
「バカ者! わしは、まだまだ死なんぞ! 気をきかすにも、ほどがある!」
 カンカンにおこったいきおいで、庄屋さんの病気はなおってしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 逓信記念日
きょうの誕生花 → かいどう
きょうの誕生日 → 1959年 片山まさゆき (漫画家)

きょうの新作昔話 → ひげの長者
きょうの日本昔話 → 病気のお見舞い
きょうの世界昔話 → 水晶のオンドリ
きょうの日本民話 → 養老の滝
きょうのイソップ童話 → オオカミとサギ
きょうの江戸小話 → しゃっくりざむらい

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4月19日の日本の昔話 にせ本尊

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4月19日の日本の昔話

にせ本尊

にせ本尊

 むかしむかし、一休さん(いっきゅうさん→詳細)と言う、とんちで評判の小僧さんがいました。
 なかまの小僧と寺のそうじをしていると、近くの家のおかみさんがやってきて、
「ぼたもちつくったから、食ベておくれ」
と、言ってくれました。
「こりゃ、うまそうだ」
 さっそくガブリとかぶりついたら、
 ガチッ!
 よくよく見たら、丸っこい石ころでした。
「けけけ、おいらのぼたもちは、うまかったかあ?」
「あっ! キツネにだまされたぞ。それ、つかまえろ!」
 みんなで追いかけましたが、どこへどう逃げたのやら、どこにもいません。
 そんなとき、本堂の方から和尚(おしょう→詳細)さんの大声がしました。
「みんなきてくれ。大変だあ!」
 いってみてビックリ。
 お堂には一体の仏さましかないはずなのに、そっくり同じ仏さまが、二体ならんですわっているのです。
「ははん、キツネが化けているな」
と、気がついたけれど、どっちが本物で、どっちがにせ物か、さっぱり見分けがつきません。
 和尚さんがいいました。
「しっぽはないか?」
「ありません。和尚さん、こうなれば、棒で頭をたたきましょうか?」
「いかん、本物をたたいたら大変じゃ」
 すると一休さんが、
「見分けるのは簡単(かんたん)ですよ。本物の仏さまは、和尚さんがお経を読むと、いつも舌をペロリと出すではありませんか」
 そういって、和尚さんに目で合図を送りました。
「おお、そうじゃった、そうじゃった。よく気が付いたな、一休。・・・では、さっそく始めよう」
 ポクポクポク、なむなむなむ。
 ポクポクポク、なむなむなむ。
と、和尚さんがお経を読むと、一つの仏さまが長い舌をペロリと出しました。
「それっ、舌をペロリと出したのがキツネだぞ!」
 キツネはあっというまにつかまり、柱にしばりつけられました。
 さすがのキツネも、コンコンと泣きだしました。
「コンコン、かんにんしてくれ。コンコン」
「もう、悪さをしないな!」
「コンコン、もうしない。コン」
 キツネは、泣きながら山に帰っていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → トークの日
きょうの誕生花 → いちりんそう
きょうの誕生日 → 1976年 坂下千里子(タレント)


きょうの日本昔話 → にせ本尊
きょうの世界昔話 → トウモロコシドロボウ
きょうの日本民話 → たからものをくれたお化け
きょうのイソップ童話 → 冬と春
きょうの江戸小話 → なりたがる

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4月18日の日本の昔話 くらいふしあな

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4月18日の日本の昔話

くらいふしあな

くらいふしあな

 むかしむかし、ある村に、人をだましてわるさをする、いたずらダヌキがいました。
「おれもばかされて、べんとうをとられた」
「おれは、まぐそ(ウマのウンコ)のまんじゅうをくわされたぞ」
 そんなうわさがひろがると、村でいちばんちからじまんの男が、
「ばかされるやつがまぬけなんだよ。おれは、ぜったいばかされん。そんなタヌキなどはつかまえて、こらしめてやる」
と、タヌキの出る野原へでかけていきました。
 すると、草のかげでタヌキが頭に葉っぱをのせて、ドロンと娘にばけているではありませんか。
「ははん。ひとにわるさをするタヌキは、こいつだな」
 男があとをつけていくと、タヌキのばけた娘は町にやってきて、お酒屋さんに入りました。
「酒屋か。ひるまから人をだまして、酒を手に入れるつもりだな」
 男はお酒屋さんの入り口に、ふしあながあるのを見つけると、そこから中をのぞきこみました。
「なんだ、ずいぶんとくらい店だな。まっくらで、なにもみえやしないぞ」
 男がなおも、ふしあなに顔を近づけると、
「ああ、あぶない、あぶない!」
 大きなこえで、ちゅういするひとがいました。
「なにがあぶないもんか。もうすぐ、いたずらダヌキをつかまえてやる」
 男がそういったとたん。
 ウマのうしろ足で、ポカーンと、けとばされてしまいました。
 と、いうのも、男がふしあなだと思ってのぞいていたのは、野原で草をたべていた、うまのおしりの穴だったからです。
「おう、いててて・・・。やられたわい」
 タヌキにばかされた男は、すごすご、かえっていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 発明の日
きょうの誕生花 → アルストロメリア
きょうの誕生日 → 1974年 伊藤裕子(俳優)


きょうの日本昔話 → くらいふしあな
きょうの世界昔話 → 神さまのけだものと悪魔のけだもの
きょうの日本民話 → 弘法さまの寄り木
きょうのイソップ童話 → うそつき
きょうの江戸小話 → おれがいない

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4月17日の日本の昔話 こわいみやげ

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4月17日の日本の昔話

こわいみやげ

こわいみやげ

 むかしむかし、つる平(へい)さんという人が、ひがんの休みに、お嫁さんの実家へ出かけました。
「よく来てくれたのう」
 お嫁さんの実家の人は、みんな大よろこびです。
「おひがんだから、むこどのに、おいしいものをごちそうしよう」
と、台所で、何かを作っています。
 台所へ、子どもたちが行くと、
「これこれ、よるんじゃない。おそろしいものだからね」
「きゃーっ、おそろしいもんだって!」
 子どもたちは、にげて行きました。
 さて、これを聞いていたつる平さんも、なんだかおそろしくなりました。
 しばらくして。
「さあ、できましたぞ」
と、つる平さんの前にはこんで来ました。
 けれども、つる平さんはおそろしくてたまりません。
 まっさおな顔をして、ブルブルと、ふるえていました。
「さあ、たんと作ったから、食べてくださいよ」
 そう言われても、おそろしくて手が出せません。
 出されたものをチラリと見ると、まっ黒な、きみのわるいものがならんでいます。
「あの、その、・・・わしは、はらが、いっぱいで」
「そんなら、おじゅうにつめて、おみやげにもって行きなされ」
と、こわいものをつめたふろしきづつみを、つる平さんの首にゆわえてくれました。
 こわいふろしきづつみを首に、つる平さんは生きた心地がしません。
「もし、こわいものが食いついてきたらどうしよう。こわいが、せっかくのもらいものを、すてるわけにもいかんし、・・・あっ、いいものがおちている」
 つる平さんは、道におちている長い木のぼうをひろうと、ふろしきづつみをぼうの先の方にゆわえつけて、さわらないようにして歩いて行きました。
「よし、これならだいじょうぶ」
 安心して歩いて行くと、石につまずいてころびそうになりました。
「あっ!」
 そのひょうしに、ぼうの先のつつみがすべって、つる平さんの首にペタンとすいついてきました。
「ひゃあっ、たすけてくれえー!」
 おどろいたつる平さんは、ふろしきつつみをなげだして、家にかけ出しました。
 家にかけこんだつる平さんは、大いそぎで、お嫁さんにこわいおみやげの話をしました。
「まあまあ、それはきっと、おはぎですよ」
 お嫁さんはそう言うと、つる平さんといっしょに、ふろしきづつみをひろいに出かけました。
 ふろしきづつみはすぐに見つかり、お嫁さんがつつみをひらくと、中からおはぎが出てきました。
「ほら、やっぱりおはぎですよ。ほら」
 お嫁さんに言われて、つる平さんがそれを見てみると、おはぎのあんこのところがくずれて、中の白いごはんが見えました。
「あっ、白いきばをむいてる!」
 つる平さんは、まっさおな顔をして、とぶようににげて行ってしまいました。
「おいしいおはぎが、どうしてこわいのかしら?」
 お嫁さんはふしぎに思いながら、うちへ帰って行きました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 恐竜の日
きょうの誕生花 → ラークスパー
きょうの誕生日 → 1967年 ゴルゴ松本 (芸人)

きょうの新作昔話 → キノコ問答
きょうの日本昔話 → こわいみやげ
きょうの世界昔話 → ゴルゴーンたいじ
きょうの日本民話 → ふるさとへ飛んだ侍
きょうのイソップ童話 → 金持ちと泣き女
きょうの江戸小話 → 身内のもの

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4月16日の日本の昔話 カエルになったぼたもち

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4月16日の日本の昔話

カエルになったぼたもち

カエルになったぼたもち

 むかしむかし、お百姓(ひゃくしょう→詳細)さんたちの食べものは、とてもとてもまずしいものでした。
 白いごはんなどは、めったに食べられません。
 ある村に、あまり仲のよくない、嫁さんとばあさんがいました。
 二人は顔をあわせると、けんかばかりしています。
 朝おきたときも、
「嫁のくせに、なんておきるのがおそいんじゃろう」
「年よりは、用もないのに早おきして、こまったものじゃ」
 イモの入ったおかゆを食べるときでも、
「わしのほうが、イモがすくねえ」
「わしより多く食ったくせに、なにをいう」
と、悪口のいいあいばかりです。
 そんなある日、いそがしかった田植えがようやくおわりました。
「毎日毎日、イモがゆばかりじゃのう。たまには、うめえもんが食いてえのう」
 ばあさんがいうと、嫁さんも賛成しました。
「田植えもおわったことだし、今日は、ぼたもちでもつくるべか」
「なに~っ、ぼ、た、も、ち、じゃと。それはいい。すぐつくるべえ」
 いつもは悪口をいうばあさんも、今日は大よろこびです。
「ゆんべな、夢の中で、ぼたもちを見たんじゃよ。食おうとすると、どんどん消えていってしもうてな」
「夢の中でまでぼたもちが出てくるとは、食いいじのはったばあさまじゃな。アハハハハハッ」
「ところで、アズキはあるのけ?」
 ばあさんが心配そうにきくと、嫁さんは胸をドンとたたきます。
「あるともさ。こんなときのために、ちゃんとしまっておいたんじゃよ」
 二人は仲よく、ぼたもちをつくりはじめました。
 まず、米をたきます。
 次に、アズキをにます。
 そして、米をつきます。
 最後に、もちをまるめて、あんこをつけます。
「どうじゃ、味見をすべえか」
「ばあさん、一人で味見をするのは、ずるいぞ」
「じゃあ、二人でいっしょに味見をするかや?」
 めずらしく二人は、わらいあいながら、声をそろえていいました。
「うめえ」
「うめえ」
 二人は、むちゅうでぼたもちを食べ始めました。
「ばあさん、いくつ食った?」
「おらぁ五つ、いや三つじゃ。おめえはいくつじゃ?」
「おらぁ、六つ。いや三つじゃ」
 二人は、また、パクパク食べ始めました。
「ふわっ、もう食えねえ。おなかがわれそうだ」
 嫁さんは食べるだけ食べると、となりの部屋にいってしまいました。
 そこには、一つだけ、ぼたもちがのこってしまいました。
 ばあさんは、そのぼたもちをなべにかくしながら、ぼたもちにいいました。
「ええか、ぼたもちよ。嫁の顔を見たら、カエルになるんだぞ」
 このようすを、嫁さんはしょうじのすきまから見ていたのです。
 嫁さんは、次の朝早くおきると、なべの中のぼたもちを食べてしまいました。
「ああ、うまかった。さて、ぼたもちのかわりに、このカエルを入れておいてと」
 嫁さんは、なべの中にカエルを入れてしらんぷり。
 そうとは知らないばあさんは、嫁さんが田んぼにいったすきに、なべのふたをあけました。
 すると、ビョーン。
 飛び出したのはカエルです。
 ばあさんは、逃げ出すカエルをあわてておいかけます。
「これ、待て、ぼたもち。わしじゃ、嫁じゃないぞ。待て、待て」
 ばあさんは、田んぼににげこんだカエルを見て、なきだしました。
「わ~ん、おらのぼたもちが、およいでいってしもうただよ~」

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → チャップリンデー
きょうの誕生花 → スノーフレーク
きょうの誕生日 → 1867年 ウィルバー・ライト (ライト兄弟の兄)


きょうの日本昔話 → カエルになったぼたもち
きょうの世界昔話 → パンを踏んだ娘
きょうの日本民話 → 頭をそられた男
きょうのイソップ童話 → 狩りゅうどと馬にのった人
きょうの江戸小話 → 竹の刀

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4月15日の日本の昔話 カモとりごんべえ

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月15日の日本の昔話

カモとりごんべえ

カモとりごんべえ

 むかしむかし、あるところに、カモ取りのごんべえさんという人がいました。
 ある朝、ごんべえさんは、近くの池へ行ってみてビックリ。
 仕掛けておいたワナに、数え切れないほどのカモが、かかっていたのです。
 おまけに池には氷が張っているので、カモたちは動けずにいる様子です。
 ごんべえさんは大喜びで、ワナのアミを集めると、池の氷が溶けるまで見張る事にしました。
 そして、うっかり居眠りしてしまい、気がついた時には、もう池の氷は溶けていたのです。
「おっと、大変」
 あわてたときは、もう遅く、目を覚ましたカモたちがバタバタバタと飛び立ち、それと一緒にごんべえさんもカモたちに引っぱられて、空へ舞いあがってしまいました。
 カモたちはごんべえさんをぶらさげたまま、野をこえ、山をこえ、谷をこえ。
「たっ、たすけてくれー!」
 叫んでいるうちに、うっかりアミをはなしてしまいました。
 ごんベえさんは、まっさかさまに空から落っこちると、畑で働いていたお百姓(ひゃくしょう)さんの前へ、ドスン!
「なになに、カモをつかまえようとして、反対にさらわれたって?」
 話を聞いたお百姓さんは、気の毒に思って、
「どうだい、ここでしばらく、くらしていっては」
「はい、よろしくお願いします」
 こうして次の日から、ごんべえさんは畑をたがやしたり、種をまいたり、一生けんめいに働きました。
 そんなある日、アワ畑で刈り入れをしていると、三本だけ、特別に大きな穂をつけたアワがありました。
「ようし、こいつを刈ってやれ」
 手元へ引き寄せて、穂を刈ろうとしたとたん、くきがバネのようにビョーンと、はね返ったから大変です。
「たっ、たすけてくれー!」
 ごんべえさんは、ピューと飛ばされて、遠く離れたかさ屋のお店の前へ、ドスン!
「なになに、アワを刈ろうとして、飛ばされたって?」
 話を聞いたかさ屋の主人も、気の毒に思って、
「それでは、しばらくここで働いて、お金をかせいでいくがいい」
「はい、よろしくお願いします」
 こうして次の日から、ごんべえさんは、お店の手伝いをして、せっせと働きました。
 そんなある日、出来上がったかさを干そうとしていると、風がピューと吹いてきて、ごんベえさんはかさと一緒に、またまた空の上です。
「なんだって、こう、飛ばされてばかりいなけりゃならないんだ」
 ブツブツいいながら飛ばされていくうちに、屋根のような所に足が着きました。
「フー、やれやれ、助かった。だれかさんの家の上に降りたらしいぞ。・・・へぇ!?」
 ところがそこは、なんと、お寺の五重の塔のてっぺんだったのです。
「たっ、助けてくれー!」
 そこへ走ってきたのが、四人のお坊さんです。
 お坊さんは、持ってきたふとんを広げると、
「おーい、大丈夫かー? ここへ飛び降りろー」
「そんなこと言っても、こわいようー」
「大丈夫、大丈夫。しっかり持っているから、はやく飛び降りろー」
 こうなったら、しかたありません。
「よっ、ようし。飛び降りるぞ。それ、一、二の三!」
 ヒューーーン、ドスン!
 ごんべえさんは見事、ふとんのまん中へ飛び降りました。
 しかし、そのひょうしに、ふとんを持っていたお坊さんたちの頭がぶつかり合って、お坊さんたちの目から火花が飛び出しました。
 そしてその火花があたりへ飛んで、五重の塔が焼け、お寺が焼け、何もかもが残らず焼けてしまったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ヘリコプターの日
きょうの誕生花 → きんぎょそう
きょうの誕生日 → 1965年 野口聡一 (宇宙飛行士)

きょうの新作昔話 → かめかつぎ
きょうの日本昔話 → カモとりごんべえ
きょうの世界昔話 → おくびょうものと大男
きょうの日本民話 → ナメクジ土俵
きょうのイソップ童話 → アリとハト
きょうの江戸小話 → こやしとおもう

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4月14日の日本の昔話 しびれのくすり

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月14日の日本の昔話

しびれのくすり

しびれのくすり

 むかしむかし、あるところに、たいへんケチで、せつやくをじまんしている男がいました。
 おならを一つしても、むだにはしません。
「おならは、こやしになるいきだ」
と、言って、おならを紙ぶくろに入れ、はたけの土の中にいけてくるほどでした。
 あるばん、あまりじまんするので、じまんのはなをへしおってやりたいものだと、一人の友だちが男の家をたずねて行きました。
 家に入ってみると、中はまっくらです。
 明かりをつけるのを、せつやくしてるんだなと思って、よく見ると、男がくらやみの中に、すっぱだかになってすわっています。
「おい、おい、はだかになって、何をしてる?」
「これもせつやくよ。こうしていれば、きものもいらんからな」
と、男はすましていいます。
「せつやくもいいが、秋も終わりで、そろそろさむくなる。かぜでもひいたらどうする」
「かぜどころか、あせがながれてこまるくらいよ」
「これはまた、どうして?」
 友だちがおどろいてきくと、
「あれを見ろ、あれを」
と、男が言います。
 見ると、天じょうに岩のように大きい石が、ほそいひもでしばってつるしてあります。
「あのひもがいつ切れるかと思いや、こわくてあせが出る」
 これには、友だちもビックリしました。
 ヒヤヒヤしながら、せつやくのじまん話を聞いて、さて、帰ろうとすると、くらくてげたが見つかりません。
「ちょっと、明かりをかしてくれないかい」
 友だちがたのむと、男はものも言わず、土間(どま→家の中で地面のままのところ。この場合は台所)におちていたまきで、友だちの頭をなぐりました。
「いてえ! 何をする。目から火が出た!」
 友だちがさけぶと、男はすかさず言いました。
「その火で、げたをさがしてくれや」
「・・・・・・」
 あきれた友だちは、頭のこぶをなでながら帰りました。
「まったく、ひどいめにあった。そのうちに、きっと、じまんのはなをへしおってやる」
 間もなく、その年もくれてお正月になりました。
「よし、いいことを思いついた。これならあいつもかなうまい、きょねんのしかえしができるぞ」
 わらしべを一本、ていねいに紙につつんだものをもって、新年のあいさつに行きました。
「これで、キセル(→詳細)についた、ヤニでもとっておくれ」
(さすがに、これいじょうケチな物は、あいつにも用意できないだろう)
と、友だちは思いましたが、さすがはケチ男、今度は友だちの家に新年のあいさつに来て、紙につつんだものを出しました。
 見るとそれは、あのわらしべを小さく切ったものです。
「これは、ほんのお年玉だが、しびれのくすり(そのむかし、わらをきざんだ物は、しびれにきくとされていました)にでもしておくれ」
 これには友だちも、あいた口がふさがらなかったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → SOSの日
きょうの誕生花 → どうだんつつじ
きょうの誕生日 → 1970年 工藤静香 (歌手)


きょうの日本昔話 → しびれのくすり
きょうの世界昔話 → 力比べ
きょうの日本民話 → イモほり藤五郎
きょうのイソップ童話 → カラスと水差し
きょうの江戸小話 → めじるしの犬

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4月13日の日本の昔話 ニワトリのお告げ

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月13日の日本の昔話

ニワトリのお告げ

ニワトリのお告げ

 むかしむかし、とり小屋で、たくさんのニワトリとヒヨコをかっている、貞蔵(さだぞう)さんという人がいました。
 ある夜のこと、この貞蔵さんの家で、ふしぎなことがおこりました。
 みんながねしずまった真夜中、一わのニワトリがためいきをつきながら、天じょうを見上げ、とつぜんけたたましく鳴きだしたのです。
「コケコッコーッ! コケコッコーッ!」
 おどろいてとびおきた貞蔵さんは、まっさおになりました。
「これはたいへんなことになった!」
 このあたりでは、夜にニワトリが鳴くと、よくないことがおこると信じられていたのです。
 そして、夜鳴きしたニワトリは川へ流してしまう、というならわしがありました。
「かわいそうに、なにもわるさをしたわけではないが」
 しかたなく、貞蔵さんはニワトリをわらぶくろにつめて、くびだけはふくろから出して、川へとむかいました。
 貞蔵さんは、川岸に立つと、そっとつめたい水の中に、ニワトリを流しました。
 そうして、あとも見ないで走って家に帰りました。
 すてられたニワトリは、川を流されていきましたが、とちゅうでひっかかってしまい、そのまま夜を明かしたのでした。
 そのニワトリがひっかかったところの近くに、虎吉(とらきち)さんという人が住んでいました。
 虎吉さんは、その夜、それはふしぎな夢をみました。
 その夢とは。
 トントントン。
「だれじゃ?」
 だれかが戸口をたたくので、出てみると、一わのニワトリがそこにいて、虎吉さんにこんなことをいいました。
「わたしは、土手町(どてちょう)にすむ貞蔵という者のニワトリじゃ、主人の家では、せんぞのいはいが一まい、ニワトリ小屋の上にころがっている。このままにしておったら、ばちがあたって、家はほろびてしまうじゃろう。どうか、早くわたしをつれていって、主人にそういってくだせえ。わたしはいま川の中、わらぶくろごとひっかかって、どうすることもできません。どうか手をかしてください。おねがいしますだ」
 そういうと、ニワトリは空高くとんでいったのです。
「ニ、ニワトリがしゃべった!」
 虎吉さんはとびおきました。
「・・・? 夢か、ふしぎな夢をみたもんじゃ」
 さっそく虎吉さんは、夢のなかでニワトリがつげた川にいってみました。
 するとどうでしょう。
 そこには、わらぶくろからくびを出したニワトリがいたではありませんか。
「おお! 夢でみたとおりじゃ」
 虎吉さんがかけよると、ニワトリは、
「コケコッコー」
と、元気よく鳴いたのです。
 虎吉さんは、すぐにニワトリを助けあげて、貞蔵さんの家をたずねていきました。
 そして、昨夜の夢の話をしたところ、貞蔵さんもビックリ。
「ほんに、そんなことがあるんかのう」
 二人はさっそく、ニワトリ小屋の天じょうの上を調べました。
 すると、ふしぎやふしぎ。
 ごせんぞのいはいが一まい、ほこりまみれでころがっていたのです。
「あっ、あった! 虎吉さん、ありましたよ」
「なんとふしぎなことよのう」
 貞蔵さんの家では、せんぞのいはいを集めて、おぼんや正月におまつりしていたのですが、その中の一まいを、ネズミがニワトリ小屋の上に運んだのでしょう。
「これで家がほろびずにすみました」
 貞蔵さんは虎吉さんに、たくさんのおれいをしました。
「おまえのおかげで助かったよ。これからは気をつけるで、ゆるしてくれや」
 ニワトリは、そのことばがわかったのか、
「コケコッコー!」
と、元気に鳴きました。
 それからは貞蔵さんの家では、おつげをしたニワトリを、とてもだいじにしたということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ボーイスカウトの日
きょうの誕生花 → いちご
きょうの誕生日 → 1955年 西城秀樹 (歌手)

きょうの新作昔話 → とり年生まれ
きょうの日本昔話 → ニワトリのお告げ
きょうの世界昔話 → トルーデおばさん
きょうの日本民話 → お坊さんに手を貸した男
きょうのイソップ童話 → イルカとクジラとハゼ
きょうの江戸小話 → サルがにる

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4月12日の日本の昔話 きんぴかのやかん

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月12日の日本の昔話

きんぴかのやかん

きんぴかのやかん

 むかしむかし、あるお寺のゆかしたに、はげダヌキがすんでいました。
 ほかのタヌキより、頭の毛がうすいことから、はげダヌキとよばれていたのですが、なんとこのタヌキは、ひとだすけがだいすきなのです。
 こまっているひとがいると、もう、ジッとしていられません。
 すぐに、こまっているひとをたすけるのです
 あるとしの、くれのことでした。
 はげダヌキが、お寺のまえのとうふやへ、あぶらあげをもらいにいくと、主人がためいきをついています。
「よわったなあ。おかねがなくては、としがこせん。とうふをつくるマメもかえん・・・」
 これをきいたはげダヌキは、
「おいらに、いいかんがえがある。しんぱいしなさんな。いつもおいしいあぶらあげをいただいているのだがら、おんがえししなくちゃ」
と、さっそく、きんぴかのやかんにばけました。
「おおっ、これはみごとなやかんだ。ぜひとも、わしにゆずってくれ」
 やかんはまもなく、とおりかかった金もちのだんなにかいとられました。
「ほんとうに、すばらしいやかんだ。だが、みがけばもっと、ひかるかもしれんぞ」
 さっそくだんなは、やかんみがきをはじめました。
 はげダヌキはくすぐったいやら、いたいやら、でも、ばれてはいけないので、じっと、がまんしていましたが、みがかれすぎて、うすい頭の毛を、ツルツルにされてしまいました。
(ああっ、たいせつな頭の毛が・・・)
 これいじょう、みがかれてはたまりません。
 だんなが手をはなしたすきに、とっとこにげだして、お寺のゆかしたにかくれました。
「こんなツルツル頭では、はずがしくて、であるけやしない。でも、とうふやがぶじにとしをこせたから、いいや。よかった、よかった」
 それがらしばらく、はげダヌキは毛が生えるまで、どこにもすがたをみせなかったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 世界宇宙飛行の日
きょうの誕生花 → あんず
きょうの誕生日 → 1966年 広瀬香美 (歌手)


きょうの日本昔話 → きんぴかのやかん
きょうの世界昔話 → リップ、バン、ウィンクル
きょうの日本民話 → ヒヒと力くらべをした源助
きょうのイソップ童話 → ヘビのしっぽと胴体
きょうの江戸小話 → 気のきく男

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4月11日の日本の昔話 おとうふ下さい

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月11日の日本の昔話

おとうふ下さい

おとうふ下さい

 むかしむかし、あるお寺に、わすれん坊の小僧がいました。
 ある日のこと、和尚(おしょう→詳細)さんが「おとうふを買ってこい」と、小僧にいってから、こうつけくわえました。
「おまえはわすれん坊だから、『おとうふ、おとうふ』と、いいながら買いにいくといい」
「わかりました。おとうふですね」
 小僧さんは和尚さんにいわれたとおり、
「おとうふ、おとうふ」
と、いいながら道を歩いていきました。
 ところが、とちゅうに小さな川があったので、小僧さんは、
「どっこうしょ」
と、いって、川を飛びこえました。
 そのとたん、小僧さんの言葉が、
「どっこうしょ、どっこうしょ」
に、かわってしまいました。
 おとうふ屋さんにつくと、小僧さんはいいました。
「どっこうしょ、ください」
「・・・・・・?」
 おとうふ屋さんは首をひねりました。
 いくら考えても、おとうふ屋さんにどっこうしょは売っていません。
「お寺に帰って、もう一度きいておいで」
 小僧さんはしかたなく、お寺に戻っていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ガッツポーズの日
きょうの誕生花 → ヒヤシンス
きょうの誕生日 → 1949年 武田鉄矢 (俳優)


きょうの日本昔話 → おとうふ下さい
きょうの世界昔話 → イワンのバカ
きょうの日本民話 → 風呂のぬか団子
きょうのイソップ童話 → 山の猟師と海の漁師
きょうの江戸小話 → 紛失の師匠

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4月10日の日本の昔話 かるい帰り道

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月10日の日本の昔話

かるい帰り道

かるい帰り道

 むかしむかし、彦一(ひこいち→詳細)と言う、とてもかしこい子どもがいました。
 ある春の日のこと。
 殿さまが、お花見にでかけることになりました。
 おそばにつかえる、二十人ばかりの家来たちといっしょに、殿さまお気に入りの彦一も、連れて行ってくれることになりました。
 お花見の荷物がそろって、いよいよ出かけるというとき、殿さまが、おともの者たちに言いました。
「さて、きょうはみんなに、花見の荷物をはこんでもらおう。どれでもよい。すきなものを持っていくがよいぞ」
 家来たちは、
(よし。なにを持っていこうか)
と、まえにならんだ荷物を、グルリと見まわしました。
 殿さまがこしをかけるいす、下にしく毛せん、ご紋(もん)の入ったかこいのまく。
 茶わんや皿や土びん。
 つづみやたいこなどの、鳴物道具(なりものどうぐ)。
 とっくりやさかづきなどの、酒もり道具。
 歌をよむときの筆やすずりやたんざくなどもあります。
 家来たちは、われ先にと、かるい荷物をえらんでいきます。
 ところで、家来たちにえんりょして、ジッと最後まで待っていた彦一が、のこっている荷物はと見ると、竹の皮にくるんだにぎりめしや、おかずの入っている包みだけでした。
(ははん、重いから持ち手がいないな。しかし、いい物がのこってくれたぞ)
 彦一は、わざとガッカリした様子で言いました。
「なんと、こんなに重たい物しか残っていないとは」
 そして、弁当の包みをかつぐと、みんなのあとをついて行きました。
 だれも持ちたがらない、重い包みをかついでいる彦一を見た家来たちは、
(知恵者とひょうばんじゃが、あんなものをかつぐとは、バカなやつじゃ)
と、クスクス笑っています。
 中には、わざわざ彦一のそばまできて、
「彦一どの。重たい荷物を、ごくろうじゃな」
と、ひやかしていく者もいます。
 さて、一行がお目当ての山についたのが、お昼の少し前です。
 家来たちは、かこいのまくをはり、毛せんをしいて荷物をひろげると、彦一の持ってきたお弁当を食べることにしました。
 それからあとは、花をながめるやら、おどるやら、歌をつくるやら、酒もりをするやらして、みんな思うぞんぶん楽しみました。
 そして、いよいよお城ヘ帰るということになりました。
 そこで、家来たちが持ってきた荷物をかたづけていると、彦一が殿さまに言いました。
「殿さま。このままおなじ道を帰るのは、どうもちえがなさすぎます」
「ふむ」
「ごらんくだされ。むこうの山も、あのとおりみごとな花ざかり。いかがでしょう。ひとつあの山の花をながめながら、お帰りになっては」
「なるほど、それはよいことに気がついたな」
 殿さまは、大喜び(おおよろこび)で、さっそく家来たちに言いました。
「せっかくここまできたのじゃ。むこうを山ごえして帰るぞ。まだ日も高いし、ゆっくりと、あちらの花もながめて帰ろうと思うが、どうじゃ?」
 家来たちは、荷物をかついで、これからむこうの山をこえるなんてまっぴらと思いましたが、殿さまの言葉には逆らえません。
「はい。おともいたしましょう」
と、しんみょうに頭をさげました。
 そこで彦一は、
「では殿さま。ご案内を」
と、みんなの先にたって歩きます。
 殿さまが家来たちを見ると、みんな荷物を持っています。
 けれど、彦一は手ぶらです。
 ふしぎに思って、殿さまは彦一にたずねました。
「これ、彦一。おまえの荷物は、どういたした?」
 すると彦一は、ニッコリ笑って、
「はい、わたしの荷物は、みなさんのおなかの中にございます」
と、言ったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 駅弁の日
きょうの誕生花 → チューリップ
きょうの誕生日 → 1950年 和田アキ子 (歌手)

きょうの新作昔話 → 山を持ってくる
きょうの日本昔話 → かるい帰り道
きょうの世界昔話 → ヒヨコ星
きょうの日本民話 → げんこつのほうび
きょうのイソップ童話 → 2つのつぼ
きょうの江戸小話 → ためしぎり

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4月9日の日本の昔話 だんまりくらべ

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4月9日の日本の昔話

だんまりくらべ

だんまりくらべ

 むかしむかしあるところに、おじいさんはおばあさんが住んでいました。
 ある日、近所の人がきていいました。
「きのう、もちをついたでな、食べてもらおうとおもって、もってきただよ」
 白くてやわらかそうなおもちに、おじいさんとおばあさんは大よろこびです。
 おもちは七つあります。
 二人は1つずつ、おもちを食べました。
「うまい、うまい」
「ほんとうにおいしいですねえ」
 もう一つずつ、食べました。
「こんなにやわらかくてうまいもちは、食べたことがない」
「ほんとうに。でも、明日までおいておくと、かたくなりますねえ」
 そういうと、また1つずつおもちを食べました。
 これで、残るおもちは1つです。
 さあ、どうしましょうか。
「よし、だんまりくらべをして勝った方が、残りのもちを食べることにしよう」
「いいですねえ」
 だんまりくらべは、先にしゃべった方が負けです。
 なかの良いおじいさんとおばあさんですが、その夜はおしゃべりができません。
 つまらないので、二人とも、早めにねてしまいました。
 さて、その日の夜中、家にどろぼうが入ってきました。
 おじいさんもおばあさんもどろぼうに気づきましたが、だんまりくらべをしているので、口をきくわけにはいきません。
 どろぼうは、ぬすんだ物をせおって逃げようとしました。
 そのとき、お皿の上にあのおもちがおいてあるのを見つけました。
「あっ、うまそうなもちがあるぞ。いただきまーす」
 どろぼうがおもちを食べようとした、そのとき、ついにおばあさんが大声でいいました。
「こらっ、そのもちを食うな!」
 ビックリしたどろぼうは、ぬすんだ物を全部放り出して逃げていきました。
 すると、おじいさんはうれしそうに、
「わーい。ばあさんがしゃべった。わしの勝ちじゃ。もちはわしが食べるぞ。もぐもぐ・・・」
「あーあ、あのときわたしが声をださなけりゃ、そのもちはどろぼうに食べられてしまったのに」
 おばあさんは、うらめしそうにいいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 大仏の日
きょうの誕生花 → アカシア
きょうの誕生日 → 1970年 伊藤美紀 (俳優)


きょうの日本昔話 → だんまりくらべ
きょうの世界昔話 → ウサギのしっぽ
きょうの日本民話 → 人を食わなくなったオニ
きょうのイソップ童話 → 水のかれた沼のカエル
きょうの江戸小話 → 身投げ

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4月8日の日本の昔話 八つ化けずきん

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月8日の日本の昔話

八つ化けずきん

八つ化けずきん

 むかしむかし、あるところに、いたずら者の和尚(おしょう→詳細)さんがおりました。
 ある日、和尚さんが村はずれの道を歩いていると、道はずれのやぶの中で、一ぴきのキツネが古びた手ぬぐいを前にして、ばけ方の練習をしているのです。
「これはおもしろい」
 和尚さんがのぞいているとも知らず、キツネは手ぬぐいを頭にのせ、クルリンパ! と、若い娘になりました。
「ははん、あの手ぬぐいがばけ道具なんじゃな。なんとかだまくらかして、ちょうだいするか」
 和尚さんは、わざとしらん顔で歩きだしました。
 すると、キツネがばけた娘が、しゃなりしゃなりとやってきます。
「これは、美しいあねさまじゃのう。だが、ばけ方がなっとらん! 上のほうはよいが、足もとがまだまだ」
 正体を見破られて、キツネはビックリ。
 キツネはドロンともとの姿に戻ると、
「どこの和尚さまかぞんじませぬが、そんなにだめでやんすか?」
「だめ、だめ。そこへいくと、わしはどうだ。キツネに見えるかな?」
 キツネはたまげて、和尚さんをすっかりなかまだと思いこんでしまいました。
「わしのばけ道具は、ほれ、八つ化け頭巾(ずきん)。わしのだいじなたからものじゃよ」
と、いって、和尚さんはかぶっていた、ただの頭巾を見せびらかしました。
「どうだ、おぬしのと、取りかえてやろうか?」
「はっ、はい。ぜひとも」
 こうして、和尚さんはキツネの手ぬぐいを手に入れました。
「やった、やった! うまくいったぞ」
 寺へ帰ると、寺から寺へと見まわり役をつとめる僧正(そうじょう→一番えらいお坊さん)さまが、おともの小坊主をつれて、おいでになられました。
 二人をむかえた和尚さんは、すましてこんなことをいいます。
「このろうかの先に、二つの部屋がござります。どちらでも、お気にめす部屋でお休みくださりませ。わしは、お茶のしたくを」
 僧正さまがかたほうの部屋のふすまを開けると、きれいな娘がいました。
 僧正さまは、顔をまっ赤にしながら、
「ああ、いや、わしのような修行のできたものはな、おなごにはきょうみはないんじゃよ」
 小坊主の手前、むりにそういうて、もうかたほうの部屋に入ると、そこにはありがたい仏像がまつってありました。
「おお、これこそわしにふさわしい。なんまいだ、なんまいだ」
 まじめな顔して、お経をとなえたものの、やはり、さっきの娘が気にかかります。
 そのうち、小坊主がいねむりをはじめたので、コッソリととなりのへやに行ってみました。
 娘は、僧正さまにニッコリして、
「まあ、お坊さま、お酒を一ぱい。ささ、えんりょなさらずに、オホホ」
 憎正さまは、たらふく飲んで食って、上きげんです。
 するととつぜん、娘が、カッ! と目をむいた不動明王(ふどうみょうおう)さまになりました。
「こりゃあ、ぼうずが酒を飲んだな! そのしたを、引っこぬくぞ!」
「ひゃあ、おゆるしくださいませ!」
 僧正さまは庭へにげだしましたが、そこにいたウマにパカーンとけられて、どこかへふっとんでしまいました。
 じつは、娘も仏像も不動明王も、みんな和尚さんのいたずらだったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → タイヤの日
きょうの誕生花 → いかりそう
きょうの誕生日 → 1978年 遠藤久美子 (タレント)

きょうの新作昔話 → すす竹売り(きっちょむさん)
きょうの日本昔話 → 八つ化けずきん
きょうの世界昔話 → ジメリのお山
きょうの日本民話 → タコとしゃれこうべ
きょうのイソップ童話 → オウムとネコ
きょうの江戸小話 → 立てば出ます

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4月7日の日本の昔話 ニワトリのおなら

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月7日の日本の昔話

ニワトリのおなら
イラスト Smile STATION

ニワトリのおなら

アニメバージョン(アニメ紙芝居)

 むかしむかし、ある家に、一羽のニワトリがいました。
 ある日のこと。
 ニワトリが庭の木にとまってないていると、その下をキツネが一ぴき通りました。
 キツネはニワトリを見ると、何とか取って食いたいと思い、
「ニワトリさん、とてもいい声ですね。でも、もっと下で鳴けば、もっといい声が出ますよ」
 キツネの言葉に、ニワトリは下の枝に飛び移ってなきました。
 するとキツネは、
「ニワトリさん、前よりもずいぶんいい声になりました。でも、もう一つ下がらないと」
 ニワトリはよろこんで、もう一つ下の枝にとまってなきました。
 ところが、そこはキツネの頭のすぐ上だったので、ニワトリはたちまちキツネにつかまってしまいました。
「ヒッヒヒヒ。バカなニワトリさん。では、いただきまーす」
 大きな口をあけるキツネに、ニワトリはあわてていいました。
「まっ、待ってください、キツネさん。じつは、おらの家でも、今夜おらを食うといっていたから、おら、たたかう武器として、針を一本ぬすんでおいたんだ。しっぽのところに隠してあるから、おらを食うんだったら、その針をぬいてからのほうがいいよ」
「そうか、それはごしんせつに」
 キツネはさっそく、しっぽのまわりをさがしてみました。
 すると、ニワトリはキツネの顔めがけて、「ブッ!」と、おならをあびせました。
「わあっ!」
 キツネがビックリして手をはなしたすきに、ニワトリは木の上に逃げてしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 世界保健デー
きょうの誕生花 → ディモルフォセカ
きょうの誕生日 → 1954年 ジャッキー・チェン) (俳優)


きょうの日本昔話 → ニワトリのおなら
きょうの世界昔話 → クモにされた女の子
きょうの日本民話 → 白いオオカミと温泉
きょうのイソップ童話 → ラクダとゼウス
きょうの江戸小話 → あごとかかと

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4月6日の日本の昔話 キツネのしかえし

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4月6日の日本の昔話

キツネのしかえし

キツネのしかえし

 むかしむかし、やまぶしが、村のひとからおいのりをたのまれてでかけていくと、キツネが一ぴき、川のくさむらでひるねをしていました。
「よし、おどかしてやれ」
 やまぶし(→詳細)はキツネの耳のそばに、ほらがいをあてて、
「ブオーッ!」
と、ひとふきしました。
「コンコーン!」
 おどろいたキツネは、とびあがったはずみで、川にころがりおちてしまいました。
「ワハハハハッ。これはゆかい」
 さて、やまぶしはまもなく、おいのりをたのまれた家につきました。
 すると、主人が、
「おいでいただくのがひと足おそく、びょうきの女房が、いま死んでしまいました。人をよんでくるあいだ、るすをおねがいします」
と、あわてて、かけだしていきました。
「なんと、いやなことをたのまれたものだが、しかたがない」
 やまぶしがすわりこんでいると、やがて、びょうぶがガタガタと、うごきました。
 そして、死んだという女房が、かみをふりみだしたまま、おきあがってきて、
「わたしはまだ、死んではおりません。よーく、顔をごらんくださいまし・・・」
と、おそろしい顔をちかづけてきました。
「わかった、わかった。もうちかよるな」
 やまぶしはこわくなり、ジリジリと、あとずさりしはじめました。
 そのとたん、川にドブーン! と、おちてしまいました。
 あたりには、家などありません。
 やまぶしはようやく、きがつきました。
「さっき、ほらがいでおどかしたキツネに、しかえしされたのか」
 そのころ、やまぶしにおいのりをたのんだ家の人たちは、あまりにおそいのでむかえにでてみました。
 すると、川のなかで、だれかがおぼれかかっています。
 たすけあげてみると、おいのりをたのんだやまぶしです。
「キツネにばかされるようなやまぶしでは、おいのりのききめもあやしいもんだ。かえってもらって、べつのやまぶしをよぼう」
と、うちの人にいわれて、やまぶしはふんだりけったりです。
 ビショビショの、ぬれネズミでかえっていきました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → コーンビーフの日
きょうの誕生花 → きぶし
きょうの誕生日 → 1973年 宮沢りえ (俳優)

きょうの新作昔話 → こぶとり(きっちょむさん)
きょうの日本昔話 → キツネのしかえし
きょうの世界昔話 → すずの兵隊
きょうの日本民話 → 赤児の授かり小判
きょうのイソップ童話 → ライオンを見たことのないキツネ
きょうの江戸小話 → まんじゅうのためしぎり

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4月5日の日本の昔話 つぼを買う

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4月5日の日本の昔話

つぼを買う

つぼを買う

 むかしむかし、きっちょむさん(→詳細)と言う、とてもゆかいな人がいました。
 ある日、おかあさんがきっちょむさんに、
「きっちょむや、うめぼしを入れるつぼを買ってきておくれ」
と、いいました。
 きっちょむさんが、すぐに出かけようとすると、
「ちょっとお待ち。あんたはそそっかしいから、つぼを買う前に落ちついてよく調ベてみるのですよ」
「はい、気をつけて買います」
と、きっちょむさんはうなずいて、家を出ました。
 町へくると、瀬戸物屋(せとものや)がありました。
 きっちょむさんは中へ入って、
「ごめんなさい。つぼを一つください。うめぼしを入れるつぼです」
 瀬戸物屋のおばさんは、店先で本を読んでいたので、
「いらっしゃい」
と、いっただけで、きっちょむさんのほうをふり向きもしません。
「つぼなら、そこに並んでいるから見てくださいな」
「はい、わかりました」
 きっちょむさんは、店の中を見回しました。
 なるほどそこには、つぼがたくさんならべてあります。
 でも、どのつぼも口を下にして、底のほうを上にしています。
 それを見ると、きっちょむさんは、不思議そうに首をかしげて、
「おばさん、ここにあるつぼは、みんな口のないつぼですね」
と、いいました。
 おばさんは、まだ本を読みながら、
「ひっくり返してごらんなさいよ」
と、いいました。
 きっちょむさんは、いわれたとおりに、つぼをひっくり返してみました。
 すると、こんどはもっとビックリしたような顔になって、
「あれれ? 底に穴があいている。このつぼはロがなくて、おまけに底もないつぼだ」
と、いいました。
 きっちょむさんは、つぼの口と底とをまちがえたのですが、それに気がつきません。
「ここのつぼは、みんなだめだ」
と、そのまま店を飛び出して、うちへ帰ってきました。
「おかあさん、瀬戸物屋へいきましたが、だめなつぼばかりなので、買ってきませんでしたよ」
「おや、なぜだめだったの?」
「はい。どのつぼもみんな、口も底もない物ばかりだったのですよ。あんなつぼをつくった人は、よっぽどのあわて者ですね」
と、いいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → ヘアカットの日
きょうの誕生花 → むらさきはなな
きょうの誕生日 → 1955年 鳥山明 (漫画家)

きょうの新作昔話 → 少年たちとカエルたち
きょうの日本昔話 → つぼを買う
きょうの世界昔話 → ひな鳥とネコ
きょうの日本民話 → テングのおどかし
きょうのイソップ童話 → 漁師と小さな魚
きょうの江戸小話 → きいておいた

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4月4日の日本の昔話 和尚のしっぱい

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4月4日の日本の昔話

和尚のしっぱい

和尚のしっぱい

 むかしむかし、あるお寺に、和尚(おしょう→詳細)さんとふたりの小僧がいました。
 さて、ある冬のばんのこと。
  和尚さんが『でんがくどうふ(とうふを長方形に切って串にさし、味噌をぬって火にあぶった料理)』を二十串、いろりに、グルリとならべてさし、
「寒いときは、これがいちばんじゃ。さあ、やけてきたぞ」
 こうばしいかおりに、はなをヒクヒクさせました。
 とうふにぬりつけたあまいみそが、こんがりとやけて、たまらなくいいにおいです。
 そこへ、においをかぎつけたふたりの小僧がとんできました。
 和尚さんは、『でんがくどうふ』をひとりでぜんぶ、たべるつもりでしたが、いまさらかくすわけにはいきません。
 そこで、
「ちょうど、いいところにきた。おまえたちにもわけてやろう。だが、ただわけてやったのではつまらん。串のかずをよみこんだ歌をつくりあって、そのかずだけ、たべることにしよう。では、わしからはじめる。いいかな、『小僧ふたり、にくし(二串)』」
と、ふた串とってたべました。
 小僧が来なかったら、ひとりで食べられたのに。
 ふたりの小僧がにくい、という意味です。
「おまえたちには、こんなまねができまい」
 ところが、小僧はニコニコ顔です。
 まず、年下の小僧が、
「ならば、これはどうでしょう。『おしゃかさまのまえの、やくし(八串)さま』」
 みごとに、八串もせしめました。
 病気を治す神さまの薬師如来(やくしにょらい)と、八串をひっかけたのです。
 和尚さんは、あてがはずれてしまい、しぶい顔をしました。
 でも、まだ十串のこっています。
 まさか、これをそっくり、とられることはあるまいと、たかをくくって年上の小僧に歌をよませたところ、
「小僧よければ、和尚とくし(十串)」
 できのよい小僧がいれば、和尚さんはとくをするという意味のうたで、みごと、のこりの十串を、のこらずたべてしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → あんパンの日
きょうの誕生花 → すもも
きょうの誕生日 → 1974年 照英 (俳優)

きょうの新作昔話 → けんかがうつる
きょうの日本昔話 → 和尚のしっぱい
きょうの世界昔話 → サルとカメ
きょうの日本民話 → ウシになったお坊さん
きょうのイソップ童話 → バラとケイトウ
きょうの江戸小話 → きりょうじまん

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4月3日の日本の昔話 はんごろしと、みなごろし

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4月3日の日本の昔話

はんごろしと、みなごろし

はんごろしと、みなごろし

 むかしむかし、あまさん(ほとけのみちにつかえる女の人)が、たびをしていると、日がくれてしまいました。
 そこで、ある家にとめてもらうことにしました。
「さあ、どうぞ」
 家の夫婦(ふうふ)は、ありあわせのもので、ばんごはんをつくって、あまさんをもてなしてくれました。
 ところがそのばん、夫婦はあまさんをねかせると、夜遅くまでヒソヒソ話しをつづけました。
「あしたは、どうするか?」
「はんごろしにするか?」
「いいえ、みなごろしのほうがよいのでは」
「そうだなあ、やっぱり、みなごろしのほうがよさそうじゃのう」
「そうそう、みなごろしにしましょう」
 このやりとりをきいたあまさんは、ビックリ。
「ここにねていたのでは、ころされてしまう」
と、にもつをまとめて、よなかにコッソリとにげだしてしまいました。
 つぎの朝、夫婦はあまさんがいないことにきがついて、
「あーあ、ゆうべおそくまで、なにをごちそうしようかとそうだんして、みなごろしをつくろうとおもったのに」
 ガッカリしてしまいました。
 あまさんは知りませんでしたが、この地方では、
『はんごろし』とは、ぼたもちのこと。
『みなごろし』は、よくついたもちのことだったのです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → インゲン豆の日
きょうの誕生花 → ゼラニューム
きょうの誕生日 → 1961年 エディ・マーフィ (俳優)

きょうの新作昔話 → 犬と鏡
きょうの日本昔話 → はんごろしと、みなごろし
きょうの世界昔話 → ラプンチェル
きょうの日本民話 → 真剣勝負
きょうのイソップ童話 → ガチョウとツル
きょうの江戸小話 → 低い

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4月2日の日本の昔話 千里の靴

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月2日の日本の昔話

千里の靴

千里の靴

 むかしむかし、あるところに、まずしい親子が住んでいました。
 母親は三人の息子のために、寝るまもおしんで働きましたが、暮らしはいっこうに楽になりません。
 そこで母親はある日、息子たちを家から連れ出すと、山奥へ入っていきました。
「おっかあ、どこへいくだ?」
 子どもたちがたずねると、母親は、
「いいとこへ連れていってやるから」
と、答えるだけです。
 そして、森の奥まで来ると、
「ここでジッと待ってろや。うまい木の実をとってやるから」
と、そういうなり、
「かんにんなあ・・・」
と、逃げ出してしまいました。
 そうとも知らずに待っていた子どもたちは、日もくれて心細くなってくると、
「おっかあ!」
 母親を呼んで、泣きだしました。
 そのとき、末っ子が二人の兄をなぐさめました。
「あそこに家のあかりが見えるぞ。いってみベえ」
 末っ子が、ベソをかく兄たちを引っぱって家へいってみますと、ひどいあばら屋に、おばあさんがひとり、いろりに火をくベています。
「道に迷って帰れん。とめてけれ」
 末っ子がたのみますと、
「とめてやりたいが、ここは鬼の家じゃ。鬼が帰ってくれば、とって食われるぞ」
 おばあさんが答えるまもなく、鬼の足音が近づいてきました。
 おばあさんは急いで、三人の子をかくします。
と、帰ってきた鬼は鼻をひくつかせて、
「くせえぞ、くせえぞ、人間くせえぞ。だれかいるのか?」
 おばあさんにたずねました。
 おばあさんは、
「じつは、人間の子が三人たずねてきたが、今しがた逃げ出しただよ」
 そう、答えました。
 そのとたん、鬼はひと駆け千里のくつをはくと、表へ飛び出しました。
 そのすきにおばあさんは、子どもたちをうら口から逃がしてやります。
 ところが、子どもたちの逃げ出した道は、鬼の駆け出した道といっしょでした。
 やがて子どもたちは、走り疲れて寝ている鬼を見つけました。
「わあ、どうするベえ」
 兄たちがうろたえるのを、末っ子は押しとどめると、鬼の足からそっと千里のくつをぬがせ、ふたりの兄の足にはかせて、自分は兄たちの背中につかまって、
「さあ、千里のくつで、家までひとっ飛び!」
 兄たちにいいました。
 その声で鬼は目をさましましたが、千里のくつで逃げ去っていく子どもたちを、追いかけることはできません。
 こうして三人の子が家につくと、母親はおどろくやらよろこぶやら、
「ごめんね。もう二度と、おまえたちをすてたりはせんよ!」
 涙を流して抱きしめるのでした。
 子どもたちはつぎの日から、千里のくつを使って働き、大金持ちになったということです。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → 図書館開設記念日
きょうの誕生花 → さくら
きょうの誕生日 → 1951年 岡本綾子 (ゴルフ)

きょうの新作昔話 → 芝居見物
きょうの日本昔話 → 千里の靴
きょうの世界昔話 → パイプをもらったクジラ
きょうの日本民話 → おりょう坂
きょうのイソップ童話 → きりょうよしをじまんしあうツバメとカラス
きょうの江戸小話 → わすれ草

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4月1日の日本の昔話 カチカチ山

福娘童話集 > きょうの日本昔話 > 4月の日本昔話

4月1日の日本の昔話

カチカチ山

カチカチ山
カチカチ山のぬりえ

♪朗読再生

 むかしむかし、おじいさんの家の裏山に、一匹のタヌキが住んでいました。
 タヌキは悪いタヌキで、おじいさんが畑で働いていますと、
「やーい、ヨボヨボじじい。ヨボヨボじじい」
 と、悪口を言って、夜になるとおじいさんの畑からイモをぬすんでいくのです。
 おじいさんはタヌキのいたずらにがまんできなくなり、畑にワナをしかけてタヌキをつかまえました。
 そしてタヌキを家の天井につるすと、
「ばあさんや、こいつは性悪ダヌキだから、決してなわをほどいてはいけないよ」
と、言って、そのまま畑仕事に出かけたのです。
 おじいさんがいなくなると、タヌキは人のよいおばあさんに言いました。
「おばあさん、わたしは反省しています。もう悪い事はしません。つぐないに、おばあさんの肩をもんであげましょう」
「そんな事を言って、逃げるつもりなんだろう?」
「いえいえ。では、タヌキ秘伝(ひでん)の、まんじゅうを作ってあげましょう」
「秘伝のまんじゅう?」
「はい。とってもおいしいですし、一口食べれば十年は長生きできるのです。きっと、おじいさんが喜びますよ。もちろん、作りおわったら、また天井につるしてもかまいません」
「そうかい。おじいさんが長生きできるのかい」
 おばあさんはタヌキに言われるまま、しばっていたなわをほどいてしまいました。
 そのとたん、タヌキはおばあさんにおそいかかって、そばにあった棒(ぼう)でおばあさんを殴り殺したのです。
「ははーん。バカなババアめ、タヌキを信じるなんて」
 タヌキはそう言って、裏山に逃げていきました。
 しばらくして帰ってきたおじいさんは、倒れているおばあさんを見てビックリ。
「ばあさん! ばあさん! ・・・ああっ、なんて事だ」
 おじいさんがオイオイと泣いていますと、心やさしいウサギがやってきました。
「おじいさん、どうしたのです?」
「タヌキが、タヌキのやつが、ばあさんをこんなにして、逃げてしまったんだ」
「ああ、あの悪いタヌキですね。おじいさん、わたしがおばあさんのかたきをとってあげます」
 ウサギはタヌキをやっつける方法を考えると、タヌキをしばかりに誘いました。
「タヌキくん。山へしばかりに行かないかい?」
「それはいいな。よし、行こう」
 さて、そのしばかりの帰り道、ウサギは火打ち石で『カチカチ』と、タヌキの背負っているしばに火を付けました。
「おや? ウサギさん、今の『カチカチ』と言う音はなんだい?」
「ああ、この山はカチカチ山さ。だからカチカチというのさ」
「ふーん」
 しばらくすると、タヌキの背負っているしばが、『ボウボウ』と燃え始めました。
「おや? ウサギさん、この『ボウボウ』と言う音はなんだい?」
「ああ、この山はボウボウ山さ、だからボウボウというのさ」
「ふーん」
 そのうちに、タヌキの背負ったしばは、大きく燃えだしました。
「なんだか、あついな。・・・あつい、あつい、助けてくれー!」
 タヌキは背中に、大やけどをおいました。
 次の日、ウサギはとうがらしをねって作った塗り薬をもって、タヌキの所へ行きました。
「タヌキくん、やけどの薬を持ってきたよ」
「薬とはありがたい。まったく、カチカチ山はひどい山だな。さあウサギさん、背中が痛くてたまらないんだ。はやくぬっておくれ」
「いいよ。背中をだしてくれ」
 ウサギはタヌキの背中のやけどに、とうがらしの塗り薬をぬりました。
「うわーっ! いたい、いたい! この薬はとってもいたいよー!」
「がまんしなよ。よく効く薬は、痛いもんだ」
 そう言ってウサギは、もっとぬりつけました。
「うぎゃーーーーっ!」
 タヌキは痛さのあまり、気絶してしまいました。
 さて、数日するとタヌキの背中が治ったので、ウサギはタヌキを釣りに誘いました。
「タヌキくん。舟をつくったから、海へ釣りに行こう」
「それはいいな。よし、行こう」
 海に行きますと、二せきの舟がありました。
「タヌキくん、きみは茶色いから、こっちの舟だよ」
 そう言ってウサギは、木でつくった舟に乗りました。
 そしてタヌキは、泥でつくった茶色い舟に乗りました。
 二せきの船は、どんどんと沖へ行きました。
「タヌキくん、どうだい? その舟の乗り心地は?」
「うん、いいよ。ウサギさん、舟をつくってくれてありがとう。・・・あれ、なんだか水がしみこんできたぞ」
 泥で出来た舟が、だんだん水に溶けてきたのです。

かちかちやま

「うわーっ、助けてくれ! 船が溶けていくよー!」
 大あわてのタヌキに、ウサギが言いました。
「ざまあみろ、おばあさんを殺したバツだ」
 やがてタヌキの泥舟は全部溶けてしまい、タヌキはそのまま海の底に沈んでしまいました。

おしまい

きょうの豆知識と昔話

きょうの記念日 → エイプリルフール
きょうの誕生花 → マーガレット
きょうの誕生日 → 1961年 高橋克実 (俳優)

きょうの新作昔話 → 動くかかし
きょうの日本昔話 → カチカチ山
きょうの世界昔話 → クルミ割り人形とネズミの王さま
きょうの日本民話 → テッジ
きょうのイソップ童話 → ライオンにばけたロバ
きょうの江戸小話 → かわをむく

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